つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

日本戦ラグビーの観戦恐がる小心者

 今さら、ラグビーW杯日本対スコットランド戦の話題を取り上げるのもちょっと気が引けますが、日曜日に南アフリカ戦があるので、触れておきます。実は、スコットランド戦を楽しみにしていたのですが、当日、観戦するのが恐くなってしまったのです。というのは、相手は世界ランキングで格上なので、恐らく負けるのではないかという強い先入観を持っていたからです。でも、結果として大勝利。台風で意気消沈しているわれわれを十分に慰めてくれました。

 台風が来ているので、試合ができないのではないかという話が出ました。そうなれば、ドローとなり、相互に点数は2ポイントずつですから、日本がA組2位で、決勝トーナメントに進みます。それで怒ったのがスコットランドラグビー協会で、試合中止となったら、ワールドラグビー協会を提訴すると言い始めたのです。彼らは、試合をやったら勝てると思っていた。それだけ、自信があったんでしょう。

 小生は当日、東京で用事があったが、夕方には横浜に帰れたので、酒でも買い込んでみなとみらい地区のパブリックビューイングに寄ろうかと考えました。でも、やはり負けそうだと思ったし、負ける試合を大勢で見たくないとまっすぐ帰宅。家でテレビ観戦しました。案の定、開始早々にスコットランドが右側にキックを出し、そのままウイングがボールを抑えてトライ。コンバージョンキックも決まって7点。世界ランキング通りの展開になりそうな雲行き。このままいくと、数十点の差でぼろ負けと覚悟したので、すぐにテレビを切ってしまいました。

 その後、アルバイト原稿を書いていたのですが、やはり試合経過は気になる。40分くらいたって前半が終わるころ、再びスイッチを入れたところ、びっくり仰天。敵側は7点のままなのに、日本は20点ほど取っていたからです。「えー」って思いました。信じられない感じ。この点差ならもうひっくり返らないだろうと、以後はずっと見続けました。福岡が敵のボールを奪って独走でゴール下にトライしたところなどは実に気持ち良かった。

 でも、敵も後半は必死でしたね、メンツにかけても負けられないという気迫で、こちらが敵陣に入り込んでも彼らの防御ラインは完璧で、サモア戦で見せたようなモールで押し込んでトライなどという芸当はできませんでした。そうこうしているうちに、敵は2つのトライを重ねました。やばい、7点差じゃないか。4トライしているのでボーナスポイントがあり、ドローでも決勝トーナメント進出は確実にしていたけど、それでも勝ちとドローではえらい違い。

 日本も最後は必死にボールを確保しました。スクラムハーフの田中がわざとボール出しを遅らせたり、モールでの抑え込みを長くしたりの時間稼ぎ。どうにか80分のタイムアップまで日本チームがボールを守ったので、タイムアップ即ノーサイドとなりました。それにしても、まさか日本がスコットランド相手に4トライもあげられるなど夢にも思いませんでした。これなら、パブリックビューイングでもいい、どこのスポーツバーでもいい、多くの人と喜びを分かち合いたかったと後悔しました。

 勝ちが分かったあと、酒を呑みながら、改めてNHKの録画放送にチャンネルを合わせ、一人で最初から最後までゆっくり観戦、勝利を堪能しました。今度は最初の敵方7点も安心して見ていられる。でも、録画テレビを見て、一人喜び、拍手するのは今一つ寂しい。本当に実況が見られない小心者のスポーツ観戦です。

 今度の日曜日の南アフリカ戦、どうなるか。前回W杯では同じグループで、初戦で当たりました。最後の最後のところで敵は苦杯をなめているので、雪辱を期してくるでしょう。事前のトライアルでも日本は負けています。ちょっと心配です。でも、今の勢いでぜひ勝ってほしいですね。決勝でオールブラックスに負けるのは仕方ないにしても、決勝まではぜひ行ってほしい。

 で、南アフリカ戦ですが、自宅のテレビ観戦か、パブリックビューイングか。やはりテレビでちょろ見し、負けそうになったら、原稿書きなどのなんだかの理由をつけてテレビを消してしまうか、チェンネルを替えてしまうかも。またまた、小心者のテレビ観戦になりそうです。

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 上の写真は、五反田のROCビルの展示会で見た布の絵。

横浜カジノ、反対じゃないけど、場所がねー

 横浜市がIRの施設誘致に手を挙げました。IRとはIntegrated Resortの略、すなわち統合型のレジャーリゾート施設を意味するらしいのですが、要はその中心アトラクションはカジノです。横浜のカジノについて周囲の人に聞いてみると、内人は反対、友人は「横浜はすでにブランド付きの観光地なんだから、今さらカジノなど要らない」と言う人もいれば、「税収を増やす手助けになるのなら、いいんじゃない」という人もいて、バラバラでした。でも、若干反対派が多かったかな。

 横浜IRは、山下公園の先にある新山下埠頭に造る計画とのこと。場所的にはどん詰まりのところにあり、ゲートをしっかり管理すれば、子供が近づけるわけはなく、影響はなさそう。これで税収が上がり、われわれ横浜市民の住民税が安くなるのなら、好都合ではないのか。ギャンブル依存症を増やすという意見もあるけど、それを言うならすでにパチンコ、競馬などで相当の依存症がいる。カジノが始まって、さらに依存症”患者”が激増するわけでもないでしょう。

 小生は、横浜にカジノがあってもいいとずっと思っていました。でも、林文子市長が最近の記者会見で、本格的に誘致を宣言し、動きが具体化すると、小生の考え方は若干変わってきました。カジノ自体は決して悪いアトラクションではないと思うけど、ただ、改めて気になるのは場所の問題。すでに相当な観光地である横浜、それも既存の名所観光地の一角に造る必要があるのかという点。横浜は明治維新以降の異文化、文明開化を真っ先に取り入れた地域として、日本の中でも特異な存在であり、いろいろな歴史的な施設や場所が残っている。観光地・横浜の魅力はそれで十分ではないのか。

 昔、香港で仕事をしていたとき、たまにテニスをやったり、ゆっくり浜辺でポルトガルワインを飲んだりするために泊りがけでマカオに行きました。マカオではどのホテルにもスロットマシンがあるので、そのスロットマシンをいじったことがあります。でも、それも少額のかけ金。ルーレット、バカラなどがあるホテル「リスボア」のような本格的なカジノ場は、見学したことがありましたが、腰を据えたことはありません。小生自身はばくちが好きではないのです。

 そのマカオには、ポルトガル植民地時代の遺跡、文化が残っていて、カジノを除いてもそれなりに魅力がありました。ポルトガル料理も然り。でも、結局は、香港、大陸からマカオに行く人のほとんどはカジノや競馬が目的のようで、歴史的施設に足を踏み入れません。カジノによって、マカオの異国文化は忘れ去られてしまった感がありました。夜になると、カジノ場のホテルだけがネオン煌々として、ひっそりした街中とは好対照を見せていました。

 横浜・新山下埠頭にカジノができたからといって、マカオみたいにカジノとその他街中とのアンバランスが際立つことはないと思います。横浜がこれまで持っていた魅力がすべて損なわれることもないでしょう。でも、一抹の不安はあります。もし横浜にカジノを造るのなら、歴史的遺産が多い山下公園近くでなく、夜ほんとんど人が来ない大黒ふ頭とか、シーサイドライン(JR新杉田駅京急金沢八景駅間)の沿線埋め立て地ではどうでしょうか。

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 上の写真は、久しぶりに行った原宿・表参道の風景。街路樹が道路に覆いかぶさっているのにびっくりしました。 

 

極端なヴィーガンには困ったものだ

 前にも登場していただいたスウェーデンの16歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんは自然環境に対してばかりでなく、食生活にもに強い関心を持っているとのこと。つまり、肉食を拒否するベジタリアン、それも強度のベジタリアンで、巷間ではヴィーガン(完全採食主義)と言われている運動家でもあるようです。個人的に肉食を拒否するなら、それは個人の勝手、どうぞ好きにしてくださいと言うことですが、困ったことに中には極端な運動家がいて、他人にはそれを強要する人がいるのです。

 以前、テレビのワイドショーで放映していましたが、韓国の中年女性のヴィーガンが焼き肉屋の店内に乗り込み、「あなた方は肉を食べるのはおかしい」と叫んで、客が肉を食べるのを妨害している光景がありました。焼き肉と言えば韓国料理の代名詞。韓国人から、最も好む食べ物である焼き肉を奪う人が現れたというのは、驚きであり、衝撃的であり、ある意味とても新鮮、痛快でもありました。

 で、客の反応はどうか。一瞬なんのことか分からず、きょとんとした感じ。それはそうでしょう、もし日本で鮮魚を売り物にしている料理店に突然、わけの分からぬ人が入ってきて、「刺身を食うな。トロ食は止めろ」などと言ったら、びっくりしてしまうでしょう。韓国で焼き肉はそれだけ特別の存在だと思います。そこで、きょとんとした焼き肉屋の客は全然動かないのですが、しばらくして店員が飛んできて、営業妨害のこのヴィーガンを外に連れ出していました。まあ、これは立派な威力業務妨害で、刑事事件にしてもおかしくない話です。

 昔、クマやミンクなど動物の毛皮を着た女性に対し、動物虐待などと言って裸で抗議した女性グループがいました。小生などは極端な活動だなと思いましたが、裸の抗議というのはそれはそれで、見ている方は楽しい。それはともかく、この極端な活動が奏効して、今、街中で毛皮のコートを着ている人はほとんど見なくなりました。毛皮を着ている人は動物虐待者と見られるのが嫌だねと思う人が増えてきたせいだと思います。でも、ミンクなどは野生のものでなく、飼育場で計画的に生産しているので、虐待にはならないと思うのですが、、。

 われわれは、無機物だけでは生きられない。石や土を食べることはできません。食べるものはすべて「生」あるものばかりです。ベジタリアンだって、肉食は嫌っても、しっかりと植物は食べている。植物だって生き物だ。生物はことごとく他の何かを殺生して生きているのです。ですから、動物だけ食べるなというのは実におかしいイズムと思うのですが、ヴィーガンはそのおかしさが分かっていないようです。

 ついでに肉食のことを言えば、ウシ、ブタ、ヒツジは食べるのに、イヌは問題視します。この差って何なんだろう。イヌを食べる韓国人に対し、西洋人は「動物虐待だ」と激しい非難、これに対し韓国人は「イヌ食はわれわれの文化。お前らだってウシを食べているじゃないか。どこが違うんだ」と怒りました。西洋人はその違いについて、ウシ、ブタは食物として計画的に生産されるものだが、イヌは愛玩用で、人間の近くにいるからというのです。じゃ、食用に計画的に生産されるイヌならOKなのか。西洋人側の説明も分かったようで、分からない部分があります。

 確かに、我が家のようにイヌをいつくしんで飼ってきた立場から言えば、イヌを食用にすると言えば、いい気持ちにはなれません。が、それが民族の食文化だと言われれば、返す言葉はありません。

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 上の写真は、五反田の展示会の入口付近で見掛けたワニ。ワニも食用にもなるし、皮は工芸品にもなります。

「越後屋、そちも悪じゃのう」の世界が今もあるなんて

 

 「お代官さま、これはささやかなお礼ですが、、」「ほう、越後屋、あの一件でしこたま儲けたようじゃのう。・・そちも悪じゃのう」「いやいや、お代官さまほどでは。ウォホ、ホ、ホ」などと、互いににたついた会話も想像できそうなのが、今回の福井県高浜町の元助役と関西電力幹部とのやり取りの一件です。菓子折りの底にゴールドを忍ばせて相手に贈るなどというのは時代劇の話だけだと思っていましたが、現代でもある芸当なんですね。本当に驚きました。

 小生は記者出身なので、およそビジネス上の賄賂とは無縁でしたが、昨日、ある会合でその件が話題になった時に、大企業の退職者が、今でも金目のものを贈答品に忍ばせることはありますよと言うのです。それは、現金なのか、それとも黄金の板か延べ棒かは分かりません。でも、貰った方は、菓子折りにしてはちょっと重いと感じ、これは明らかに何か”余計なもの”が入っていると感じますから、賄賂性は十分に認識して受け取っていることでしょう。

 いや、山吹色が入った菓子折りというのはあまりにもストレート過ぎる。現代では、もっと巧妙な賄賂の形があるに違いありません。自分の息のかかった企業を一見分からない形で公的な事業に絡ませるとか、第三者の銀行口座に調査費、協力費などの何らかの経費として振り込ませるとか。昔、取材の中で、中国の幹部が子弟を海外に留学させるときに、関係企業に現地で世話をさせるという話を多く聞きました。遠い海外の話であり、しかも便宜供与の形が分かりにくいので、よく使われるパターンです。

 今回、町役場助役からリタイヤして民間企業にいる町の顔利きが、関西電力幹部に金品を送ったという構図。元はと言えば、関電が高浜町原発を造り、口止め料その他の理由で大量の資金を同町に流して、くだんのボスの企業も潤わせたという背景があります。早い話、関電が電気代として広く利用者から徴収した金を高浜町に流し、その金が当該ボスを通じて回りまわって関電幹部に還流されたもので、関電幹部が利用者の金を横取りしたと言っても過言ではないでしょう。

 一般の民間企業同士ならそれほど問題にはならないのでしょうが、こと公的な機関、地域独占的な企業が絡むとなるとわれわれも無視できません。電力会社は鉄道、通信、ガス、NHKなどと同様に、民間であっても非常に公益性の高い企業体です。本来なら”みなし公務員”とし、刑法の贈収賄罪が適用されていいのかも知れません。ただ残念ながら、実際はそこまで行くのは相当なハードルがあり、贈収賄罪は難しそうです。結局、特別背任罪などでしか罪科は問えない感じです。

 亡くなった人を非難するのはためらいがありますが、高浜町元助役なる男、原発という”厄介者”の存在を奇貨として私腹を肥やすなど言語道断、許されざることです。なんでこんな男の跳梁跋扈を許してしまったのか。管理能力がない町長が問題ですし、恩恵を受けたために黙っていた町民も問題です。関電幹部も記者会見で、被害者ズラをしていたけど、事件の元凶は彼らでしょう。誰かが言っていたけど、テレビに映った関電の幹部たち、特に社長、関西経済界をリードすべき企業のトップにしてはすこぶる品のない顔でした。思わず、着物姿で行燈を前に、こそこそと「越後屋、そちも悪じゃのう」のセリフを言わせてみたくなりました。

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 上の写真は、品川プリンスホテルの階上レストランから見た風景。

 

若い世代がそれほど環境に関心を持っていたとは

 スウェーデンの16歳の女性、いや、むしろ女の子と言ってもいいくらいに幼さが残るグレタ・トゥーンベリさんが9月23日、ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットで演説し、地球温暖化に強い懸念を表明。「放置するなら、私たちはあなた方を許さない」という強い口調で居並ぶ各国の指導者に警告を発しました。この在席指導者の中に、「温暖化は放出ガスの影響でなく、時期循環による地球気候の変化」などの論に与するトランプ大統領もいたのは面白かった。気まずい様子も見せなかったけど、すぐに退出しましたね。

 グレタさんについてまず驚いたのは、立派な英語を話していた点。普段はスウェーデン語で話しているのだと思いますが、16歳であれだけきちんと外国語を話せるのは、彼女は相当優秀な生徒なんでしょう。しかも、世界が注目する国際会議の場で、あれだけ表情を含めて正々堂々と演説できるのは、アジテーターとしても一流だと思います。皮肉な意味でなく。

 今、彼女は母国で週のうち1日を休んで環境問題啓発の運動に充てているとか。それに各国の若者が賛同し、協調して動き始めました。小生、グローバルに展開されるこの動きを最初に目にした時、若い世代はそれほど真剣に地球環境悪化を憂いているのかと新鮮な驚きでした。でも、よくよく考えれば、確かに小生の寿命など長くてもせいぜいあと20年。それに比べて、彼女らは場合によっては22世紀まで生きる人たちなんだから、真剣になるのは当然と言えば当然かもしれません。

 ネットの動画でよく見かけるのが、南、北極の氷山が崩れ落ちるシーン。それを見る観光ツアーもあるそうです。環境劣化を見世物にするのは、ある種無責任さを感じさせるツアーだと思いますが、実際に見に行く人はどう思っているのだろうか。単に火山の噴火を遠くから眺めるように「splendid(素晴らしい)」「自然はすごい」などとノー天気な感想しかないのか、それともこれを契機に地球温暖化を深刻に受け止める気持ちになったのか。

 実を言うと、小生自身は申し訳ないのですが、地球温暖化をそれほど深刻に受け止めていませんでした。それはまあ20年以内の寿命だとして、地球があと20年で壊れることはないだろうとの楽観視が一つの理由です。さらに、小生は希代の寒がりで、地球寒冷化よりは嬉しい。ですから、今年のように10月になっても30度を超える陽気が続くことは大歓迎なのです。経済活動の面で見ても、北極海が夏季に通行可能になり、日本と欧州がかなり近くなりました。良いこともありますね。

 だが、毎年のようにある集中豪雨、以前に比べてかなり激しくなった台風、その被害状況を見ると、そんなノー天気でいいのかと思い始めています。先進国は海面上昇に鈍感ですが、南太平洋の国々では深刻な影響を受けているところがあります。熱帯雨林火災や砂漠化も温暖化の影響でしょう。やはり次世代の人たち、22世紀まで生きる人たちのために、sustainable earth(持続可能な地球)に関心を持つべきなんでしょうね。

 

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 上の写真は、五反田ROCで開かれた展示会の風景。一部の団体がワークショップを開いていました。
 

こんな番狂わせは何度あってもいい

 こんな”まさか”の結果、番狂わせは何度あってもいい。WCラグビーの日本代表が世界ナンバーワン(試合直前にはナンバーツーに下がったらしいが、、)のアイルランドチームを破るなんて、前回大会で南アフリカを撃破した以上の感動でした。涙が出ました。小生は飲み会があったのでライブでは見てなかったのですが、と言うよりどうせ大敗してしまうのだろうと思っていたから、見たくなかった気持ちもありました。でも、気になるので、スマホで途中経過を追っていました。

 福岡堅樹選手が逆転トライしても、まだ勝てると思っていなかったので、高揚することもなく淡々と酒を呑んでいたのですが、そのうち、LINE仲間から「勝った」との情報が入ったのです。こいつ逆転トライで早合点しているなと思いましたが、実際に試合はノーサイドになっていて、日本は勝利を手にしていたのですね。驚きました。日本中が興奮するのも無理ありません。小生も思わず、隣で呑んでいた外国人グループに「We have won」と叫んでしまいました。彼らもすでに情報を得ていたようで、手をたたいて喜びを共有してくれました。

 家に帰って、勝ちが分かっている試合をあとでゆっくり見ました。戦前の小生の予想では、背の違いからアイルランド軍はハイパントを使ってくると思っていましたが、実戦では、体力を生かしての中央突破が多かったです。でも、日本チームの防御ラインは見事でした。敵が何度ぶつかってもなかなか突破できない。大型の敵フォワードがボールを取ると、日本側は2人、3人がかりで挑んでタックルし、タックル後の相手のパスも自由にさせない。日本の防御ラインってそんなに素晴らしかったっけと思いました。敵も多分そのように思ったことでしょう。

 中央突破できないと分かると、アイルランド軍は最後にようやく体力勝負をあきらめ、ショートキックで切り込もうとの作戦に替えました。でも、日本チームのバックス陣がすぐにボールに追いつき、必ずしもキック後のボールを敵の自由にさせませんでした。アイルランド軍は、日本チームのタフさぶりに半ばあきれ、最後はへとへとになっていたように見受けられました。まあ、彼らに日本チームをちょっと甘く見ていたところがあったと思います。

 世間は、この試合勝利で最大の功労者は逆転トライをした福岡選手だと言っています。小生も福岡が最大の功労者だと思いますが、トライのところを評価したわけではありません。あれは大外にいた彼に当然のように回されたパス受けでした。それより評価したいのは、終了直前、敵のボール回しをインターセプトしてゴール下付近まで独走したこと。これが素晴らしかった。タックルを受けてトライにはならなかったが(福岡に追いつきタックルした相手の選手も素晴らしい)、敵陣深く5メートルラインでのスクラムとなったので、彼らにワントライ、ワンコンバージョンキックで追いつく期待をかなりの部分で消し去ってしまったことです。

 日本のフォワード陣は世界最強と言われるアイルランド軍に対し、一歩も引けを取らなかった。逆に、敵フォワードが力負けして意図的なスクラム崩しがあったようにも見受けられました。それだけ強くなったのは、もちろん純粋な日本人だけでなく、ニュージーランドなどの西洋人、サモア系の人々という”肉体派”が日本チームに加わっていたことが大きな理由です。リーチ・マイケルはじめ日本のために一丸となって戦ってくれる彼らに感謝したいと思います。

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 上の写真は、横浜・みなとみらい地区で係留する海上保安庁の船と、ランドマークタワー、コスモワールドの夜景。

女性が生でサッカーが見られないとは異常だ

 いやー、小生、イスラム諸国のルールはある程度知っていたつもりでしたが、イランではサッカーの試合を女性がスタジアムの中で観戦できないなどとは、この事件が起こるまでつゆ知りませんでした。その事件とは、首都テヘランでの試合に、ある若い女性が男装の恰好でスタジアムに入ろうとして拘束され、保釈後に裁判所の前で抗議の焼身自殺を図った事件です。なんとむごたらしい、悲惨なことか。明らかに女性差別であるこんなルールを今まで認めてきた国家に呆れてしまいます。

 テヘランに住むサハル・ホダヤリと言う29歳の女性。地元の「エステグラル」という人気チームの大ファンということで、一度は生で試合が見たかったのでしょう。今年3月に、男装して入場しようとして怪しまれ、身体検査の結果、ばれてしまいました。男性の服を着て、普通のイスラム男性の姿を真似て付け髭までつけていたようですが、何となく挙動不審だったのでしょう。まあ、慣れない人の”性転換”は無理があります。

 イランでは、女性は公の場で女性らしい服装をすることが義務付けられており、それに違反したことで起訴され、この9月初めに6カ月の禁固刑が言い渡される見通しだったとのことです。ボダヤリさんは、保釈されていましたが、公判のために出頭した今月2日、裁判所の前でガソリンを体にかけて着火。全身大やけどとなり、運ばれた病院で死亡しました。明らかに、これは抗議の焼身自殺でしょう。

 サッカーグランド、ピッチに女性を入れないというのなら、まだ理解できます。でも、生で試合を見させない、スタジアムの観客席にも入れないというのはあまりにも異常なルールです。ボダヤリさんが焼身自殺という過激な抗議に走った真意は不明ですが、彼女は何もサッカースタジアムに女性を入れないことばかりを怒っていたわけではないと思います。あるいは、イランばかりでなく、イスラム諸国全体での女性差別に憤慨しての抗議行動だったのではないかと、小生は思えてなりません。

 以前、小生が担当する「国際関係論」の授業で、学生に「ブルカやヒジャブのような黒ベール服着用を女性に強いるイスラムの習俗は女性差別だと思うかどうか」と聞いたところ、「女性もイスラムを信仰していて、その教義、習俗に納得しているのだから、それはそれでいいんじゃないか」という答えが結構多かったことに驚きました。確かに、服装に関しては、教義の言うなり、趣くままにという面はあるのでしょう。

 でも今回は違った。女性がスタジアムで生でサッカーが見られないことに関して聞いてみると、「女性差別」という意見がほとんどだったです。ほぼ、小生と同じ感覚なので安心しました。女性は特定の職業に就けないとか、車は運転できないとか、夜は一人で外出してはならないとか、我々が知らないだけで、イスラム諸国にはほかにも結構、女性差別的な決まりがあるんでしょうね。

 FIFA国際サッカー連盟)は、この事件を重く受け止めて、イラン側にワールドカップ予選の国際試合に女性も入場させるよう要請。イランのサッカー協会は、10月10日に行われるイラン-カンボジア戦で、女性も入場させることを確約したそうです。このため、FIFAは現地に担当者を派遣し、しっかりその通りになっているかを確認するつもりだとしています。一サッカーファン女性の大胆で、かつ悲しい行動でしたが、国際世論が注目し、多少は差別の撤廃を引き出しました。という点では、彼女も浮かばれることかと思います。

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 上の写真は、五反田ROCビルで行われた展示会の一風景。