つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

ニシキヘビ逃がしの責任はヘビーなものに

 本当に世の中、酔狂な人がいるものです。あんな薄気味悪いヘビを狭いアパートの中で何匹も飼っていたというのですから。ベロをチョロチョロと出しながら、体をくねらせて近寄ってくる。しかもそのベロの先は2つに割れている。まさに気味の悪さで言えば、空前絶後。犬だったら、ベロを出せば、可愛い可愛いと手を出しますが、ヘビは毒蛇もいて噛まれたら最後です。蓼食う虫も好き好きとは言いますが、そんな爬虫類をペットとして飼う神経が分かりません。ましてや逃がしてしまうとは言語道断です。

 網目ニシキヘビは毒蛇ではありませんが、横浜市戸塚区界隈に住む市民はおちおち外も歩けなかったでしょう。夜は窓から侵入ってなこともあるし、枕を高くして寝られなかったでしょう。小生の住むマンションは西区にあり、かなり離れていますが、それでも小学校などでは結構話題になっていて、子供たちも用心していたとか。昔、アマゾンに10メートル以上もある長さのアナコンダがいて人を襲うという映画がありました。今回逃げたのはビール缶くらいの太さで3・5メートルだと言いますが、それにしても巻かれて、窒息死することを想像しただけで怖い。

 逃亡ニシキヘビは結局、10日以上、屋外からは出ず、同じアパートの屋根裏に潜んでいたとか。野生でないと、えさの獲り方が分からず、結局依存性が強いので、飼い主から離れたくなかったのかも知れません。これって最近の子供の傾向と同じかも。親が甘やかし過ぎると子供は親への依存性が強くなり、結局、自活能力がなくなり、引きこもりになるというような。野生動物の世界では、親は子供の乳離れを誘うために、ある時点で非常に冷酷になって突き放すと言います。でも人間もペットも最近は過保護が多い。全面的に他人に頼っていると、一人前にはなれないんですね。

 それはともかく、ニシキヘビを飼育していたのは若い男性のようですが、小生的にはこの人の生き方、生活に非常に興味が湧いています。毎日ペットを見てニタニタと顔をほころばせ、満足感に浸っていたのでしょう。いったい爬虫類を飼ってどういうところが楽しいのか、聞いてみたい。えさは冷凍のネズミを与えていたそうですが、その丸呑みするところが面白かったのか、下ベロをチョロチョロ出して大口開けてくわえるところか。まさか、他に生きたえさを与え、絞め殺すところは見て喜んでいたわけではないでしょう。

 彼個人はどんな家庭に育ってきたのか、子供のときからヘビ飼い一筋か。今どんな職業に就いているのか、餌代はどのくらいかかっているのか、仲の良い友人、彼女がいるのかな、いたら爬虫類趣味を告知できるのか、自分の部屋に呼べるのかなーなどなど。まあ、女性でもヘビを首に巻いたりするヘビ好きな子もいるのでしょうから、類は友を呼ぶということもあり、他人が余計な心配をする必要はないのでしょうが、、。

 さらに余計な心配ですが、この若者、今回のヘビ逃がしで膨大な災難を被ることになったようです。アパートの大家さんに爬虫類飼育を告知していなかったため契約違反を問われ、即刻退去させられています。本人もヘビの捜索に付き合うために、10日以上、仕事を休まざるを得なかったでしょう。さらに、捜索隊の経費、隣近所への慰謝料、屋根裏を壊したための修理代も恐らく彼個人の持ち出しになるでしょう。こうした諸費用は大変ヘビーなものになるに違いありません。

 下の写真は、自宅マンション内の花壇の花。小生は爬虫類より可愛い犬、愛らしい花の方がいい。

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 叶正子は年取ってからの方が声が魅力的。

朝乃山?愚かな男のやることは分からない

 どうもこの男、顔に締まりがないし、相撲内容もいい加減。恐らく私生活もデタラメな日々を送っているのだろうなと思っていたが、やはりその通りでしたね。大相撲の大関朝乃山のこと。コロナ禍の中、ひそかに神楽坂の闇キャバクラに行っていて、しかも常連だったことが、週刊文春の取材でバレました。相撲協会の尋問に対し、当初否定していたそうですから、何をかいわんやです。昨年、幕内上位にいた阿炎がやはりキャバクラ通いがばれ、しかも嘘までついていて3場所連続休場の処分をされたことは、まだ記憶に新しい。それでも、こんな”冒険”を犯す朝乃山はやはり頭の巡りが良くないのでしょうね。

 阿炎は結局、三段目まで下がりました。ですが、もともと力のある力士ですから、2場所を全勝で乗り切り、今は幕下7枚目に戻ってまたまた全勝街道を走っています。来場所に十両、関取復帰が濃厚です。でも、怪我もないのに力士にとって3場所の休場、そして無給になることがどんなに辛いことか。他人事ながら朝乃山も分かりそうなものですが、愚かな男は思い巡らせなかったのか。それとも、自分はキャバクラに行っても絶対バレないという自信があったのか。

 なぜ今、キャバクラなのかという理由がわれわれは理解できません。20歳台の男だから異性が恋しいことは分かります。でも、朝乃山は結婚しています。妻以外の女性を求めたいというなら、この時期、キャバクラなど行かずに、どこかのホテルで極々少人数で飲み会を開けば良い。クラスターが問題となるので、大勢が出入りするクラブとか、キャバレー行きが駄目なのであって、プライベートに、ホテルなどの個室に集まるのであれば、問題ないのでしょう。

 朝乃山が来ると言えば、美人の女性ファンは参加するのではないでしょうか。いや、行きつけのキャバクラに馴染みの娘がいるというなら、金を積んでその娘を外に連れ出せばよいこと。なぜ、阿炎”事件”でも問題になって、処分を受けるようなキャバクラ行きにこだわったのか、理解不能です。

 今夏場所、朝乃山は昨日(19日)まで7勝4敗で、あと1勝で給金直し(勝ち越し)です。が、今日のニュースを見ると、本日から休場とのこと。これで負け越しが決まってしまいました。彼の処分は場所後に決まりますが、阿炎と同様「3場所休場」ということになれば、大関陥落どころか十両以下に落ち、有給の関取の地位も危ないのです。実際に自分の身に降りかかった時に分かるんでしょうが、そんな”近未来のこと”が想像できないとしたら、これも彼の愚かさの証明です。

 それにしても分からないのは、朝乃山を闇キャバクラに連れて行ったのがスポーツニッポンの記者だったとか。このスポニチ記者の頭の中はどうなっているのか。関取がそんなところに行けば、本来自分自身が特ダネとして書かなければならないのに、共犯者になっていたとは。まさに、ミイラ取りがミイラ。だから、一説にはスポニチ記者が文春側とグルになっていて書かせたという話もありますが、もしそうだとしたら、この記者は最低。いわばやらせを設定して、彼を信頼していた取材先を”罪”に陥れたのですから。

 一般に記者が取材先と付き合うのは問題ないと思います。また、ある程度の付き合いがないと情報も取れないですから。小生も取材先と酒を呑みに行くことはありました。でも、そこには自ずからけじめが必要です。取材側と被取材者の立場、一線を越えないモラルがあるのだと思います。

 上の写真は、横浜・大通り公園内にある少年像。朝乃山の身体はふつうの大人以上でも、頭は成人に達していないレベルか。 

菅総理不人気の原因は笑顔がないこと

 菅義偉総理大臣は、横浜の小生が住む選挙区であり、ぜひ頑張って欲しいと思いますが、どうも状況は厳しいようです。内閣支持率、まあ首相の人気度ですが、共同通信の調査では支持が41%、不支持が47%。朝日新聞の調査では、支持が33%、不支持が47%とのこと。まあ、政府・自民党に批判的な朝日のことですから、意図的な質問方法をして不支持に誘導していることと思いますが、それにしてもこの数字は尋常ではありません。冷静に見て菅総理の不人気は確実で、彼を看板に据えた総選挙では、何だか自民党がぼろ負けしそうな感じがします。

 でも、安倍前総理は早々と「菅支持」を打ち出しましたし、麻生や二階などの重鎮も菅続投に賛成しています。まあ、これはそれなりに理解できます。菅のような70歳台の総理がいるから、80歳台の2人が副総理、幹事長で頑張れるのであって、これが次の世代になれば、彼らもお払い箱になってしまうと思っているからです。でも、これってまったく個人的な理由。日本国、いや自民党自体のことさえ考えているようには見えません。安倍も同じように、モリカケ問題を引きずっているので、政治家でいる間は、モリカケを擁護する菅が必要であるのです。

 枝野幸男立民党代表が最近、「6月解散、7月総選挙」を言いだしました。我に利あり、何となく勝てそうだとの見込みを持っているからでしょう。7月は都議選があり、公明党有権者の東京集中を謀る狙いから総選挙をやりたくない時期。ということはやられたら困るという時期であり、立民としては逆にこの時期がいいのでしょう。でも、自民、公明の意思で、選挙は9月になるのはほぼ確実だと思います。現衆院議員の任期は10月21日までですから、そうなると、菅政権にとってはかなり追い込まれ選挙になりますね。追い込まれ選挙は”負け試合”と相場は決まっています。

 総選挙はたぶん9月で、まだ3カ月の余地がありますから、何が起きるか分かりませんが、今の菅の不人気から考えれば、自民党衆院議員は菅の顔で総選挙を戦うのはいやだと思っていることでしょう。では、今、次の頭をだれにするか、各議員は神輿で担ぐ人を必死に探している段階だと思います。世情人気が高いのが河野太郎で、日経新聞によれば25%、ほぼ4人に1人の支持があるとか。

 ちなみに、次点が石破茂で16%、3位が小泉進次郎で13%、驚くことに、昨年病気で辞めた安倍晋三が7%と4位に付けている。いずれもこれまでずっと出ている顔ぶれで新鮮味なはない。帯に短し、たすきに長しという印象です。それにしても、前総理が4位とは異常現象ではないですか?では、現総理はどうかと言えば、5位の岸田文雄に次いで6位と後塵を拝し、わずか4%の支持率とか。

 なぜ、これほどまでに菅総理に人気が出ないのか。巷間、コロナ対策の不首尾が原因のように言われていますが、そうではない。コロナ対策なんて、強制力が発動できない、ワクチン、特効薬が国内で作れないなど、今の日本の基本的な条件からすれば、だれがやっても一緒です。菅不人気を一言で言えば、顔に明るさ、笑顔がないということが大きな理由かと思います。つまらないことですが、トップリーダーは余裕の顔で大衆に安心感を与えることが一番大事なのです。

 このコロナ禍で皆が意気消沈、しょぼっとしている時に、首相まで暗い顔をされてはたまったものではない。安倍もあまり笑顔があった方ではないが、何か先行きを楽観視している(ノー天気の感じもありましたが、、)雰囲気を見せていたので、なぜか安心感を与えました。それに比べ、菅がしかめっ面で、非常事態宣言を延長し、「国民の皆さんよ、もう少し我慢してください」などと言うと、こちらの気分はますます滅入ってしまいます。

 こんな不人気原因は彼自身の政治的な能力とは関係ないと思いますが、これが衆愚的民主主義の真実です。ですから、菅総理は今後の記者会見で、安心させるような心から嬉しそうな笑顔を見せて欲しい。こんな時に手放し笑顔なんてあり得ないとお思いでしょうが、大衆は逆に総理の破顔の笑みで救われるものです。笑顔で大衆を安心させることができないのであれば、トップ交代もまたやむを得ない選択肢なのかも知れません。

上の写真は、友人の5歳のお孫さんが描いた前衛画。何かピカソを彷彿させるようで、素晴らしい作品です。

「人生の後の住処」とは随分しゃれたネーミング

 最近、テレビコマーシャルで気に入っているのが、南麻布・了簡が運営する「アフターライフレジデンス」のCM。要は、死後の住処(すみか)、遺骨をどこに納めるかという墓場の宣伝です。小生も70歳を過ぎて、今後それほど長い先の話でもないので、この死後の住処に関心がないわけではありません。でも、それにしてもアフターライフレジデンス(人生の後の住処)とは随分しゃれたネーミングです。このネーミングと場所の魅力によって思わず購入してしまう人が結構いるのではないでしょうか。

 小生は団塊の世代の末期の生まれ。われわれは同年生まれが270万人ほどいます。現代の出生数は100万人にも達せず、70-80万人程度とのこと。単純に考えれば、同世代人が少ないということはそれだけ受験戦争でも、就職、結婚の相手探しでも競争がないわけですから、隋分楽に生きられるだろうなと思います。反対に、われわれはずっと多数の競争にさらされてきました。その上、大学受験の時には東大はじめ国立大学の入学中止があったり、就職の時にはオイルショックもあり、難行苦行でした。

 同世代多数の悩みは老齢になっても続きます。まず、病院。70歳を超えるとだれでも持病を持ち、その治療、ケアのために病院通いを余儀なくされますので、病院が満員になっています。小生も内人もそれぞれ別の大病院に通院していますが、実体験としてどちらも押すな押すなの〝大盛況”。このコロナ禍、どの商店街、飲み屋街も人通りが少なくなっていますが、せめてこの病院並みに人出があれば、経済衰退、景気の劣化は起きないだろうにと思わず叫んでしまいそうです。

 団塊の世代の争いは今後も続く。もう少し経てば今度は老人ホームへの入所で争いが起き、最後は永遠の眠りをどこにするかでも争いが起きるんだろうと予想できます。南麻布・了簡はそうした戦後間もなくに生まれた塊世代の行く末のために、早々と手を打ったビジネスだと思います。人気俳優の草刈正雄を使い、「時を超えた空間」などとしゃれたキャッチフレーズで宣伝しています。恐らく電動の回転式で出てくる墓場だと思いますが、小生も思わず購入したくなってしまいます。ただ今のところ、京都のさる寺院の墓所に入ることが決まっているので、衝動買いはなさそうです。

 我が家先祖代々の墓は千葉の霊園にありましたが、2、3年前にこの墓を処分し、先祖の遺骨は同所にある集合墓に入れました。それは、小生には子供がおらず、将来管理してくれる人がいないからです。姉たちに聞いてもそれぞれ嫁ぎ先で墓があるので要らないということで、大枚100万円近くかけて整理してしまいました。京都の墓所も何年かすると、共同墓に移ることになっています。

 小生は死後の世界を信じない唯物論者なので、もともと遺骨などどうでもいい、世間の体裁を繕うなら、山や海に撒いてもらうのがいいのではないかとずっと思ってしました。今でも、味気ない、狭い団地式(京都の墓所もそう)にいるより、一度死にかけた南アルプス甲斐駒ヶ岳の中か、生まれ故郷の千葉に近い東京湾に撒いてほしいななどと思ったりしています。

 上の写真は、横浜の大通り公園や街角で見られた青い花、赤い花。

政府が「変異種が出た、出た」と脅すナンセンス

 世の中、本当におかしな輩がいるものです。白血病にかかりながら、奇跡的に復活し、今夏の東京オリンピックで水泳の代表となった池江璃花子選手に対し、「代表を放棄しろ」と言ったとか。どういう趣旨でそんなことを言ったのかは分かりせんが、本当に無茶で残酷な発言です。彼女は、一時東京五輪の代表をあきらめていたのですが、五輪が一年先延ばしにされたことで死に物狂いで再度チャレンジ、そして代表の座をつかんだのです。その努力を称賛すべきであって、間違ってもその栄光に泥を塗るような物言いがあってはなりません。

 その東京五輪ですが、「コロナ禍が続いており、開催はないだろう。止めるべきだ」「IOCの金儲けに協力する必要はない」といまだに言う人がいます。ワシントン・ポスト紙も最近、そんな主張をしたとか。非常に無責任な発言だと思います。オリンピックを目指してきた選手がどれだけ他のことを犠牲にして、人生をかけて努力してきたことか。少しでもアスリートの気持ちを考えるのなら、簡単に止めろなどととても言えないはずです。人間、自分に関係ないことには意外に冷淡になれるものですね。でも、どうか自分がアスリートになったと仮定し、出場できないことのくやしさを想像してみてください。

 五輪がIOCの金儲けになっているとの主張は否定しません。ですが、そればかりではないでしょう。日本人選手が活躍すれば、われわれは等しく喜べますし、盛り上がります。このコロナ禍であるからこそ、日本人が心から一体感を味わい、快哉を叫べるようなイベントがぜひ必要だと思います。コロナ禍で感染が心配なら、無観客という選択もがあってもいいと思います。が、開催しないという選択だけはぜひ取らないでいただきたい。経済活動ばかりか、人間社会のすべての動きを止めてしまうのは愚の骨頂です。政府、自治体は「動くな」などと言うより、一日でも早く、多くワクチンを普及させることに努力して欲しいと心から思います。

 コロナ禍について言えば、最近の報道ではやたら「英国株、ブラジル株、インド株の変異種が出た」と脅しのニュースが多いです。小池都知事らも変異種出現を強調して「家にいろ、外に出るな」と脅しています。でも、これもよくよく考えれば、変な話ですね。目に見えないものが変異したからといって、われわれに何の関係があるんですか。インド株が出てきたからといって、われわれは特別に注意する方法でもあるのですか。ワクチンが打てない段階では所詮、われわれはマスクをするだけの防御手段しかない。それとも、変異種用のマスクってあるんですか。

 本来、5月11日までの期限だった非常事態宣言期間がまたまた延長されました。外で酒が飲めません。当ブログでも再三言っていますが、一律に経済活動を止める愚策は取るべきではない。明らかに感染の気配がない人たちが密を避けて集まる場合とか、あるいはPCR検査で陰性が確認できた人だけが集まるのなら、問題ないのではありませんか。抑制措置にもメリハリをつけるべきです。何でもかんでも「集まるな」というのでは、われわれは納得できません。

 今、非常事態宣言が出されても、世間は激しく反応しませんね。自粛疲れがあるし、コロナ死者もそれほど多くないとの認識が一般的になったせいかも知れない。昨年は志村けん岡江久美子の有名人が死亡したので、恐怖感が充満したけど、今はそれがない。だから、今、政府が「怖いよ、怖いよ」と言ってみたところで、ほとんど狼少年の「狼が来たぞ」の類いの呼びかけにしか聞こえない。それならば、いっそのこと宣言など出さなくてもいい。あくまで、怖いと思う人は外に出ず、「別に」と思う人は自己責任で判断したらいいのではないでしょうか。

 必要以上に世の中の動きを止めて、経済活動を縮小させ、多くの労働者の職を奪い、人生の前途を悲観した自殺者を増やすより、コロナで死ぬ方がよほど普通の社会であるように思えてなりません。毎年、通常型インフルエンザでも日本で3000人程度が死亡しています。新型コロナも大騒ぎせず、普通のインフルエンザ扱いにしたらどうでしょうか。

 上の写真は、我が住んでいる横浜市西区に貼ってあるポスター。ここは菅義偉首相の選挙区です。ワクチンを一日も早く自分の選挙区に(!?)。…これは冗談です。

「台湾解放」を言う中国は東慶寺門前の暴力亭主

 よくよく考えてみれば、おかしな話です。中国が「台湾は中国の一部であり、絶対に独立させない」と宣言していること。台湾には大陸から渡った中国人が多く住み、同じ標準中国語を話しているので「中国」の一部であることは認めるにしても、中国が台湾を軍事占領し、強制併合するというのはどういうことか、理解できません。今でも毎日のように台湾領海上空に軍用機を飛ばして威嚇しています。亭主を嫌って東慶寺(縁切り寺)に逃げ込もうとする妻に対し、暴力亭主が門前で「俺たちは家族じゃないか。なぜ逃げる。許さん」と言って殴りかかろうとしているようで、見苦しい感じがします。

 台湾は李登輝総統時代の1990年代半ばに、民主化を果たしました。それまでは国民党の独裁体制でしたが、以後は成人の全民投票によって「台湾地区」のトップを選べるようになりました。小生も香港で記者をしていたので、何度も台湾に取材に行き、この最初の総統を選ぶ選挙も取材しています。人民が初めて民主主義を味わうことに酔っていました。この選挙の時、大陸は何をしたか。「民主主義は許さん。選挙は止めろ」と言わんばかりに、高雄と基隆の沖合にミサイルを撃ち込んで威嚇したのです。

 自由と民主主義が当たり前だと思っていた日本の戦後生まれからすれば、信じられないような暴挙と映りました。「まだ、自由と民主主義を露骨に否定するような野蛮な国があったのか」としみじみ思いました。あれから、25年以上経ち、台湾ではすでに完全に民主主義が根付いています。小生も香港から帰って、会社を辞めフリージャーナリストになっても、毎回台湾の総統選を見に行っていますが、人民は自由な選挙制度謳歌するように熱気に満ちた選挙集会を開き、街頭活動を展開していました。

 小生が初めて台湾を訪問したのは学生時代の1972年で、まだ蒋介石総統が生存していた時代でした。この時、小生がバスの中で親しくなった地元の人に政治の話をしようとしたら、とても嫌がられたことを今でも覚えています。それからすると、台湾の民主主義はなんと成熟したことか。西側先進国がすでに当たり前のように享受している自由、民主主義、人権を得た台湾が今さら、それらを捨てられようか。国民党独裁時代の閉鎖社会に戻れるのか。戻れるわけがないでしょう。

 中国はいまだに「必ず台湾を解放する(我们一定要解放台湾)」のスローガンを言っています。解放とは人民に自由を与えると言う意味です。だが、今の大陸は残念ながら、為政者を自由に選べる民主主義どころか、発言・表現の自由も、報道の自由も、結社や政治活動の自由、厳密に言えば居住の自由もない、ノーベル賞作家劉暁波のような政治犯を獄中死させたり、人権派弁護士を拘束し、罪に問うように基本的人権もない。あるのは街頭カメラによって厳しく人民を行動監視することだけ。アリババ集団の馬雲オーナーの軟禁状況を見ると、経済活動も徐々に制約を受けそうです。

 今の中国自身に「解放」する素地がないのです。だから、台湾を強制併合したら、台湾の自由はなくなり、大陸と同じになるということ。まさに、「台湾解放」でなく「台湾拘束」になるのですから、一度自由と民主主義の素晴らしさを味わった台湾住民が受け入れるわけがない。中国当局が「いや、一国二制度とするから、そんなことはない。今ある自由は保障する」などと言ったところで、1997年に一国二制度を保証して併合した香港の今の現状を見れば一目瞭然。大陸側の甘い言葉を台湾住民が信じることはないでしょう。

 小生は、中台は民族的に同じなのだから、同じ国家になることに異議を挟むつもりはありません。ただし、政治制度は「血」を超える。自由と民主主義を謳歌している台湾が大陸の一統独裁の強制国家の下に入るのはどう見ても、どう考えても、理にかなっていないと思います。手前勝手な亭主が暴力を振るって東慶寺門前から女房を家に連れ戻そうとしても、その亭主が心を入れ替えない限り女房は戻らない。イソップの北風と太陽の物語の通り、世の中は力だけでは動かないものです。であれば、大陸自身が変わってほしい、太陽のような暖かさ、優しさを持ってほしいと思います。

 上の写真は、4月のある日の渋谷ハチ公像前。渋谷最大の待ち合わせ場所ですから、いつもなら、像の近くに近づけないほどの人だかりですが、さすがに非常事態宣言が出ていると人は少ない。

改憲ムード出たのは中国の”尖閣侵攻効果”

 今日は憲法記念日。小生は子供のころ、国民主権基本的人権、平和主義(戦争の放棄)という三原則を持つ我が国の憲法は素晴らしいものだと教わり、爾来ずっとそう思っていました。ところが、記者になって国際情勢が分かってきて、さらにはさまざまな本を読んだりしてちょっと認識を新たにしないと駄目だなと思うようになりました。前の二原則は文句なく素晴らしいのですが、問題は戦争放棄のこと。自分たちが平和主義を貫こうとしても、周囲の国が許してくれないのです。

 我が国の領土である尖閣諸島が中国に狙われています。昨今、中国側の攻勢が一段と強まっています。この領土を守るのは自衛の戦いだが、自衛戦も立派な「戦争」です。だから、愚かな日本の左翼が言うような「戦争放棄」「戦争止めろ」などというスローガンは、突き詰めれば自衛戦争も放棄し、尖閣諸島は奪われても良いと言っているに等しいのです。ただし、彼らが「侵略戦争は止めろ」と言えば、それは正しい。でも、この言葉は日本政府に対してでなく、中国側に叫んで欲しい。

 現在の領土秩序を変えようとする軍事行動はすべて「侵略」です。中国側にも尖閣を奪おうとするに当たり、自分たちの「論理」「理屈」を持っていることは承知しています。日本側にももちろん領有の正当性を主張する論理があります。尖閣諸島をめぐる日中両国の論理については小生の著作物「沖縄を狙う中国の野心」(2007年、祥伝社刊行)、「島国ニッポンの領土問題」(2005年、東洋経済新報社刊行)で、るる書いていますので、参考にしていただければ幸甚です。今でも、有名図書館なら、置いてあるかと思います。

 昔の侵略行動は露骨で、自国の繁栄のためには、他国を犠牲にしても構わないとばかりに、どの国も侵略行動、植民地化に理屈はありませんでした。でも近代に入り、ナチス・ドイツヒットラーチェコのズテーテン地方を強制併合した際、「ドイツ人が大勢住んでいる」との理由を付けました。これで欧州首脳が集まってミュンヘン会談が開かれたのですが、英仏首脳はナチスの軍事力を恐れてこの併合を認めてしまいました。

 第二次大戦後は、さすがに「これからお前の国に攻め込むぞ。理由はない。ただ、お前の国の財宝と女が欲しいだけだ」と言って露骨に攻めることはありません。一応何らかの理由を用意しています。あのイラクサダム・フセイン大統領ですら、1990年に隣国クウェートに侵攻する際、本当は石油資源が欲しかったくせに、「昔クウェートの土地はイラクが支配していたのだ」という理屈をつけました。

 最近でも、ロシアのプーチン大統領ウクライナの土地クリミア半島を強制併合した際、「ロシア人が大勢住んでいるから」と言い、「住民投票」によってロシア帰属への賛成が多数だったような形を取りました。この行動にロシアは軍事力をちらつかせていたわけですから、ウクライナはこの併合を今でも認めず、EUはロシアを制裁対象にしています。それでも、ロシアは現在、クリミヤ半島支配を既成事実化しているほかに、ウクライナ東部の領土ドネツクルガンスク州に侵攻、実効支配しています。

 これも、「大勢のロシア人が住んでいるから」が理由です。そんな理屈が通るなら、「横浜・中華街は中国人が多いから、中国の領土だ」などとも言われそうですが、今の中国の姿勢からすると、冗談で済まないのかも知れません。独裁国家は、権力者がその執権の正当性、個人の実力を誇示するために、得てして他国への強圧的な姿勢、さらには無理な侵略行動すら取ることがあります。ですから、いかに平和を愛する日本国民でも、自国の領土を守るため、自衛の戦争はするという確固たる気構えが必要。「祖国は誰のものぞ」というイタリア映画を見て、国土防衛の在り方を再認識すべきです。

 憲法記念日に当たり、各大手新聞が憲法改正について世論調査をしましたが、すべての新聞で憲法改正に賛意を示す結果が出ています。あの護憲派朝日新聞でも45%対44%と、改憲支持派が上回っているのだとか。これは完全に”中国効果”でしょうね。中国が露骨に尖閣を狙いに来ている今、自衛隊憲法に書き入れ、合法化しようというムードが国民の大多数に出てくるのは当然のことかと思います。

 上の写真は、トルコのカッパドキア。トルコは今、ロシアとウクライナが対立する中、地中海から黒海に至る狭い海上ルート、ボスポラス、ダーダネルス両海峡を抑えている国なので、動きが注目されています。