つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

交易の自由の素晴らしさが分からないのか

 トランプ次期大統領は選挙中から、就任の日にTPPから脱退するとほのめかしていましたが、どうもそれを実行するようです。前回ブログで、トランプも共和党の大勢に従うような普通のアメリカ人になりそうだと書きました。ですが、TPPだけは違って、確固たる信念を持っていたようです。安倍首相も言っていましたが、米国が参加しないのでは成り立ちませんね。残念ですが、TPPは御破算でも仕方ないように思います。
 第二次世界大戦を引き起こした原因の一つに、米大恐慌以降の不況に対処するため、欧米大国が植民地を固めて自国の経済圏を構築するという排外的なブロック経済を推し進めたことがありました。自由貿易、通商を無視、自国さえ良ければという方針を貫いたのです。つまり、交易の自由を確保しないといかに国同士の対立を激化させ、戦争を招くものであるかは歴史が証明しています。
 国は一国で成り立つものではない、さまざまな通商をすることで富んでいくものです。しかも、自由貿易は文明が進化することに伴うトレンドです。まして国民同士が自由に行き来できるこの時代ですから、この流れは止められません。国内産業に害を与えるからと言って一時的にそれを止めたとしても、永遠に止められるものではありません。
 トランプ氏はそれを知ってか知らないのかは存じませんが、自由貿易には反対のようです。米国内産業が不振になるからという理由ですが、国内の産業構造は絶えず変遷を遂げ、いつまでもとどまるものではありません。また、成長率を上げるためそういうイノベーションが必要なのであって、旧態依然の産業を保護してもしょうもないことです。
 自動車産業を例に取れば、デトロイトでいつまでも同じものを作っていれば、売れなくなるのは当然です。これを乗り越えるには、文明の進歩によって他国製品の質を上回る自動車を作ればいい話です。電気自動車や水素自動車を作ったらどうか。短期的にものを見てそれを保護する方策を取ると、長期的な視点や成長へのスプリングボードを見失うことになると思うのです。
 トランプ氏はそこまで考えているのでしょうか。GDP世界第一の大国が保護貿易主義に走ってどうするのか。再びブロック経済で戦争を招く原因を作ろうというのか。大統領就任で真っ先にすることがTPPからの脱退とは聞いてあきれます。

 上の写真は、東京都立産業貿易センター台東館で行われたイスラム製品展示会でのファッションショー風景。小生もイスラム食品、いわゆるハラル食品にいささかの興味を持っています。