つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

円安はそんなにいいことなの?

 急速に円安が進んでいます。どうなっているんでしょうか。通貨安というのはもともとその国の金融、産業構造が駄目だというインディケーションで、マイナス指標になるものです。それが安倍政権になったとたんに金融緩和もあったためか、1ドル80円くらいから急激に100円くらいまで行き、さらに今では120円です。1ドル40円の差とはちょっと驚きです。
 小生は中国に行く機会が多いですが、2、3年前に中国で1万円を両替すると、800人民元ほどが戻って来ました。それが今年夏の旅行の際替えたら、540元程度でした。講師仲間の中国人に聞くと、今では500元ちょっとしか来ないそうです。1元は20円近い感覚になります。日本で働き日本円の給与をいただく中国人からすると、国に帰って使う金が目減りしているので、憤懣やるかたない思いでしょう。
 加えて、中国は昨今、物価高です。まあ、金持ちが多くなったためか、贅沢する人が増え、レストランやコーヒーショップでは明らかに日本より高い値段がついています。きょう日本に住む上海人の友人と食事をしました。彼は最近上海に一時帰国したばかりでしたが、「いやー日本は物価が安いね」としみじみ言うのです。確かに、吉野家の牛丼は最低300円で食べられますが、これは中国元にすれば、15元強の値段。上海の新天地で飲むコーヒーが40元からすると、なるほど安いですね。
 円安は安倍首相が意図的に誘導したようですが、正直言って円安はそんなに日本にとってプラスになることなのでしょうか。輸出には有利って言うけど、日本の製造業はすでに海外に出ているところが多く、国内工場を持ち、生産性が上がっている一部大企業を除いてそれほどメリットがあるようには思えないのです。むしろ、輸入物価が上がり、総合的に見るとむしろマイナスのような気がします。
 まあ、日本の最大の輸入品である石油は、今は世界的な原油のだぶつき、安価に加え、円安によって価格上昇が避けられていますが、それはたまたまの僥倖にすぎません。原油以外でも輸入農産物の値段が上がっているので、結構家計には響いているように思えます。

 上の写真は、小生が通っている市川の大学近くにある日蓮宗弘法寺境内のもみじ。ここのもみじは毎年12月初めに素晴らしい紅葉を見せてくれます。