つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

自己資本のないアパート経営なんて

 首都圏で女性専用のシェアハウスを建設し、普通のサラリーマンから投資物件として経営者を募っていたスマートデイズという不動産会社がこのほど、民事再生手続きを行い、倒産しました。「土地やまとまった資金がなくともアパート経営できます」などのうたい文句で不動産投資を呼びかけるテレビのコマーシャルをよく見かけます。副業を持ちたがるサラリーマンには魅力的な誘いですが、スマートデイズの倒産で、やはりこういった投資はリスキーであることを再認識させられました。
 知り合いの中国人からも、「金持ち中国人が日本の不動産を買いたがっている」という話をよく聞かされます。日本で発行されている無料の華字紙でも「ビル一棟数億円、利益率○○%」という広告を良く見掛けます。中国人は余剰資金運用、投資のために日本の不動産に目を付けており、そのためにビルを賃貸に出した場合、どのくらいの家賃収入があるか、それは投資に見合うかどうかを十分に吟味しているようです。
 余分な土地や大量に金を持っている人には、投資としてアパート経営するのは別段悪くないと思います。でも、土地も資金もないという一般人にアパート経営をさせるのはかぎりなく無謀だし、小生などは一聞で、よくそんな金を貸すところがあるなとさえ考えてしまいます。でも広い世の中、そういう無茶な貸し付けをする銀行があるんですね。沼津に本社があるスルガ銀行というところです。
 この銀行には、主力商品として「アパートローン」というのがあり、いわゆる資本なしの一般人にがんがん貸し付けています。不動産会社とグルだったことは明白。本来なら担保にならないほどのサラリーマンの給与額を高く改ざんしたり、架空の担保をつくり出したり。およそ手堅くあるべき金融機関には似つかわしくないいかがわしい”審査”ぶりです。年収600万前後しかない人に1億円を超す貸付をしてどうするのか。危ないことは目に見えています。
 スマートデイズの破産によって、高額の負債を負ったサラリーマンは自己破産したり、自殺したりとほぼ今後の人生を失うような状況に迫られています。こうした人間をつくり出した責任は、不動産会社とこのスルガ銀行の”狡猾コンビ”の悪だぐみにあると思いますが、熟慮もなく、甘い誘いに乗った当事者本人にも大きな責任があることは明白です。
 確かに今、若い世代は将来の社会保険の破たんを心配し、そのためにサラリーマンでも副業を考える人が多く、それが”甘いささやき”に乗る素地を作っています。でもよくよく考えれば、自己資本もなく、ほぼ他人任せで高額を得られる副業などそう簡単にあるもんじゃない。リスクもなく簡単にできるなら、不動産会社も銀行もテレビで投資者を募る必要はなく、自分でやってしまうでしょう。
 リスクだけを一般人に押し付けるこんな投資話、危ないことは一目瞭然です。サラリーマンが副業を考えるなら、手に職を持つべく、然るべき技術、資格取得を目指すべきでしょうね。


 上の2枚の写真は、関係している奨学金支給団体の恒例の春旅行に同行し、南房総・鋸山に行ったときのスナップ。初夏日和の山頂で猫がのどかに遊んでいましたし(上)、奨学生もはしゃいでいました(下)。