つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

サウジ、中国…独裁国家はほとほと嫌だ

 最近、常識では考えられない、飛んでもない事件が相次ぎ、ほどほど独裁国家って嫌だなと思わせました。それは、サウジアラビアの反体制派ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏がトルコのイスタンブールにあるサウジ総領事館を訪れた後に行方不明になっている事件と、ICPO国際刑事警察機構)の中国人総裁、孟宏偉氏が9月下旬、忽然と姿を消し、その後に中国当局に拘束されたと分かったことです。
 カショギ氏は米国のワシントン・ポスト紙などをベースに執筆活動をし、サウジの女性蔑視、封建的な体質を批判し続けたジャーナリストでした。それがサウジで実権を持つムハンマド皇太子には気に入らなかったのでしょうね。トルコ人女性との結婚証明手続きのため、領事館を訪れたカショギ氏をそのまま領事館内にとどめ、殺害したもようです。
 日本には「窮鳥、懐に入れば、猟師もこれを殺さず」ということわざがあります。カショギ氏は抗議のために来たのではなく、結婚手続きのため、国民としての義務を全うするため、領事館を訪れたのです。それを殺すとは何事ですか。無慈悲にもほどがあります。
 皇太子は女性の自動車運転免許を認めるなど、最近は開明的な印象を与えてきました。それなのに、今回の仕儀を見る限り、所詮、批判に寛容になれない王族の独裁者にすぎなかったのです。そう言えば、彼は昨年、同じ王族の何人かを突然逮捕し、しばらく拘束したこともありました。為政者にふさわしくない激情家なのか。いずれにせよ、サウジに対する国際的な印象はものすごく悪くなりました。
 今一つは大国の中国が絡んだ事件。小生もこのニュースを聞いてびっくり、開いた口がふさがりませんでした。国際機関の長がある日突然、行方不明になってしまったのです。家族もICPOも情報がつかめず、結局、フランス警察に捜索願を出しました。ICPOであれば、国際的犯罪組織に狙われる恐れもあり、行方の捜索、事件の解決はある意味、国際機関の名誉がかかったことでもありました。
 それが、今月8日になって彼は中国に戻っており、国内で国家監察委員会のもとに拘束されていることが分かったのです。なんということか。国際的な機関代表というのは、本来、当該国家が自信をもって送り出した人ではないのか。そんな人を汚職容疑だか政権転覆容疑だか何だか知らないが、外国でひそかに拉致し、国内に連れ帰るとは驚き以外ありません。恥も外聞もないとはこのことです。
 これらの事件を見ると、独裁国家、自由と民主主義のない国に生まれなくて本当によかったとしみじみ思います。で、結局、カショギ氏はどうなってしまったのか。殺されたとしたら、遺体はどうしたのか、だれが命令し、どういう状況で殺したのか。他方、孟氏はICPOに辞表を出したようですが、身柄はどうなるのか。刑事警察の国際機関トップを拉致して自国に戻した挙句、監獄にぶち込むのか。そうであれば、笑い話でしかありません。

 上の写真は、イスタンブール市内にある帝政ローマ時代の用水路、水道橋。