つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

中米民族大移動の原因が分からない

 歴史を遡れば、欧州でゲルマン民族の大移動という現象もありましたが、今、中米では現代版の民族大移動が始まっているようです。ホンジュラスエルサルバドル国民が1000−3000人規模のいくつかのキャラバン集団となってグアテマラ、メキシコを通り、最終的に米国への入国を目指しています。近年では、シリアから大量の難民が欧州に渡って大問題となりましたが、これは戦争の影響。それに比べて、中米の移動は明確な原因がなく、何となく不気味な感じがします。
 人間がほとんどの所有物を捨てて、生まれ故郷を離れ異国の地を目指すというのは尋常なことではありません。かつてはベトナム戦争南ベトナム北ベトナム軍に占領された前後、大量の難民が小舟で外洋に出てイチかバチかの脱出劇を演じました。いわゆるボートピープル。シリアでも内戦があったので国外脱出者が相次ぎましたが、これらは目の前の戦いから、あるいは支配体制の激変から逃げたいという切迫状況があったからだと思います。
 それに比べて、中米諸国の移民集団は明確な原因が見当たりません。移動者たちはまあ、一応「犯罪者が跳梁跋扈し、国内治安が悪く、怖いから」などという理由を挙げていますが、治安の悪さは昔からあったこと。最近になって始まったことではありません。どうして今、にわかに動きだしたのか。
 どう考えても、彼らが目指す今の米国の状況は悪い。移民嫌いのトランプ大統領がいるからです。大統領選挙期間中、メキシコ国境に壁を造るとわめいていたトランプが今回のキャラバンの動きを見て、州兵を何万人も配置して国境で追い返すと宣言しています。移動集団が無事メキシコを横断して米国境にたどり着いたところで、追い返されるのは目に見えています。
 でも、メディアがキャラバン参加者にインタビューすると、(米国入りは)何とかなる」と結構楽観的なんですね。この楽観主義もどこから来るのだろう。移民に対して史上最も厳しい対応をする大統領がいることを理解しているのだろうか。それとも、このキャラバンは一種のアピールで、目的は米国でなく、とこでもいいから安全な先進国に移りたい、あるいは本国に帰ってもいいが、国連で面倒を見てくれということなのでしょうか。
 「米国はもともと移民の国。なぜ彼らを救えないのか」という同情の声があることは小生も承知していますし、感情論で言えばその通りでしょう。でも冷静に見れば、移民や不法入国者をノーズロに受け入れてしまえば、国境管理の意味がなくなります。数千人ならまだしも、数十万人規模、数百万規模で押し寄せてたら、どうなるのか。もしそれでも受け入れるとすれば、最終的に国家そのものの存立基盤さえ揺らいでしまうでしょう。
 移民を受け入れるにしても、きちんとルール作りをすべきだと思います。日本の国会では今、外国人労働者の枠拡大を目指す入管法の改正案を審議しています。単純労働分野もかなり認めるようですから労働者といえども事実上の移民です。であれば、受け入れ許容の数字などはきちんと出す必要があると思いますが、、。

 上の写真は、奄美大島北端・笠利町の「あやまる岬」展望台下にある土盛海岸の風景。4−6日に2泊3日で奄美大島に行ってきました。南の海は秋でもきれいです。