つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

台湾の”核汚染”輸入禁止はおかしくないか

 11月末に行われた台湾の統一地方選挙、いわゆる九合一選挙では併せて台湾の国政に関する10項目の問題についても公民投票が実施されました。その中で日本に関連していたのは「日本の核汚染地域で生産された食品の輸入を再開していいのか」という項目。結果は、僅差で輸入禁止の継続が決まってしまいました。この項目は大陸との統一を志向する国民党系の人が提示したものと言われ、非常に反日色が強い政治的な項目でもありました。
 実は、大陸中国でも依然、福島、茨木などはもちろん、東京、長野、埼玉などを含む10都県で生産された農作物、加工品の輸入を禁止しています。台湾国民党系の「日本食輸入禁止」提案もこれと軌を一にしたものでしょうが、われわれ日本人からすると、通常放射能汚染程度に関して安全だと認識し、食している物品に対し中国が”危険性”を指摘するのはなんだか滑稽な気がします。
 というのは、中国自体大地が汚染され、カドミウム米が出回ったり、化学品汚染された食品が普通に店頭に並ぶところですが、メディアで報道されません。社会不安を与えるという理由です。ですから、中国人の多くは何となく「国内の食品安全性は信用できない」と感じています。でなければ、わざわざ日本に来て日本の商品、食品を爆買いしていくことなどないと思います。つまり、国内産食品より日本の方がはるかに信用できると思っているのです。
 それなのに、原発事故から7年以上経ち、日本人が平気で食しているものを忌避する感覚が分かりません。日本は自由と民主主義の国で、メディアもその中にあるのですから、もし食品に過度の放射能汚染のデータが出たならば即刻報道されるはずです。少なくとも現日本産食品の安全性が大いに損なわれているとはとても思えません。それなのに台湾の公民投票は日本産食品を認めませんでした。民進党政権は輸入に前向きでしたが、台湾で大陸の影響の大きい”反日分子”が輸入禁止継続を扇動していたのです。
 この動きに対し、台北市の柯文哲市長(無所属)は疑問を呈しました。日本で放射能汚染数値が出ていないものを輸入禁止にする不合理を指摘したあと、「多くの台湾人が日本に旅行して(現地の食材を使った)食事をしているではないか。もし日本食品が危ないと言うなら、台湾人が日本に行くことまでも禁止すべきである」と語っています。さすがに彼は理科系(医師)出身者だけに合理的な判断をします。
 大陸中国の食品輸入禁止10都県の中には長野県も含まれています。これもおかしな範囲指定ですね。長野県の静岡、岐阜県寄りの地域がもともとどれだけ放射能汚染を受けたというのか。いや長野県全体でも汚染の程度は軽微であったでしょう。それなのに、長野県産を輸入禁止するというのは農業県に対する大いなる嫌がらせ、政治的な判断ではないかとも勘ぐってしまいます。
 台湾は自由と民主主義の地域なのですから、もっと合理的な判断をすべきです。本当に日本の食品が危ないと思い、輸入忌避の投票をした人は日本側の”危険性”を示すデータをもっと喧伝すべきだし、訪日の時は台湾から加工食品を持ち込み、日本の食材を使った食事はすべきではないと思います。

 上の写真は、有楽町駅交通会館前でやっていた埼玉県深谷市地域興しイベント。深谷のキャラが地元のネギを宣伝していました。