つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

イチロー選手の引退は遅すぎないか

 シアトル・マリナーズイチロー選手が引退表明し、世間は大騒ぎしています。まあ、メジャーリーグでも3000本以上、日本のプロ野球を入れれば4300本以上のヒットを打った人ですから大打者でしょう。ですが、年齢はすでに45歳とか。昨年段階ですでに打てなくなったのに、きょうまで引退を延ばしてきたのは、メジャー開幕戦を日本で行うための宣伝材料に使うためのようで、何か吹っ切れないものがあります。

 イチロー本人は50歳まで現役でいると宣言していました。ですが、歳には勝てません。守備力、投力、走力は数字で出ませんし、そう急速に衰えることはないのでしょう。だが、打力は確実に退化し、それが数字に表れます。年齢ともに動体視力や反射能力が衰えるのです。昨日まで、あの投手のあの球は確実にとらえていたのに、きょうは零点零零秒の遅れでそれがとらえられなくなる。それが老化というものでしょう。

 天才打者イチローが努力の人であることも承知していますが、残念ながら、その肉体的な退化は努力でも乗り越えられなくなったのです。年々下がる成績がその現実を物語っています。マリナーズに戻る前のマイアミ・マーリンズにいた2,3年前からその傾向は見えました。ですから、並みの打者ならこの時点で引退だったのでしょう。で、も、本人も辞めないし、球団も、ゲームに出さない代わりに「スペシャルアシスタントアドバイザー」などという肩書を与えてお茶を濁しました。

 天才イチローですから、多くのファンは見続けたい、本人も50歳までやるなどと言うものですから、オフシーズンも決断はできず、先延ばしになった。でも今年、さすがにオープン戦以来1本のヒットも打てないのであれば、本人もあきらめざるをえなかったのでしょう。問題はここまで引退を引っ張る必要があったのかという点です。本人も未練がましかったし、球団も日本での興行の目玉を意識し過ぎだったのではないかと思います。

 これも天才打者であった張本勲氏が言っていたことですが、「やはりスポーツマンは引き際が肝心。特に大選手であればあるほど余韻を残し、惜しまれつつ辞めるべきだ」と。小生も同意見です。スポーツマンは肉体的に最高のパフォーマンスができないと自覚した時点で引退すべきです。野球などの場合、それは少なくとも数字に表れるのですから、本人も世間も容易に分かるはずです。

 選手本人に意思があれば、1年でも長く現役を続けるべきだという意見があることも承知しているし、そう望んでいるファンも多いのでしょう。サッカー界にも三浦知良なるレジェンドがいます。でも小生は反対です。一般に、プロスポーツの観戦者は、抜きん出た選手が最高の肉体で最高のパフォーマンスをすることを望んでいるのですから、「今は老人だが、かつてはすごかった」などの類いの選手が出てこられても困ります。そういう選手はOB戦(プロ野球にも、大相撲にもある)に出ればいいと思います。

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 上の写真も、勉強会の仲間の遺作展に展示された一点。