つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

横浜は、根岸線陸側の方もディープな魅力

 先日、千葉市内で小中学校を一緒に過ごした友人たちと箱根に旅行した際、千葉の話になりました。その中の友人の一人が「千葉って、やはり文化がないんだよな」と嘆くのです。そう言われてみれば、確かにそうで、理由をいろいろ探ると、江戸時代、千葉は幕府の直轄地、つまり天領であったことと関係するようです。その点では、千葉県内でも城持ち大名が住んでいた佐倉や大多喜は、それなりの雰囲気があって魅力的です。

 という観点に立つと、小生が今住む横浜も昔は漁村で、もともと文化のないところでした。日本古来の文化も伝統もない。でも、幕末に鎖国が解け、異人の居住地になったことで、欧米先進国の文化が一気に入り、独特の異国情緒を醸し出す地域になりました。それが今でも海浜地区に残り、多くの観光客を引きつけています。みなとみらい地区、赤レンガ倉庫、山下公園、中華街、元町、港の見える丘公園・外人墓地など魅力的なところは多く、飽きさせないです。

 もちろん、小生は海浜地区も好きですが、横浜でもっと好きなのは、京浜東北線根岸線の陸側。つまり、東京、横浜駅方面から来て右側の野毛山と山手の丘に挟まれたエリア。いわゆるデートするカップル、遠くから来る観光客は京浜東北線根岸線の海側ばかりに行き、陸側はほとんど行かないと思います。小生も昔、千葉から横浜に遊びに行くときはそうでした。ですが、住んでみて分かったのですが、横浜の陸側の方もディープな魅力がいっぱい詰まっています。

 端的に例を挙げると、関内駅からは、西に延びる伊勢佐木町モール。横浜の地元民しか行かない商店街。中国語とかベトナムタガログ語とか、やたら外国語が飛び交っていて、横浜が国際都市であることをいやというほど知らされます。歩いている人の数も多からず、少なからずで、小生にはなじみやすく、毎度の散歩コースにしています。そのモール自体、夜はストリート音楽家の活躍の場となるし、モールからちょっと逸れると、吉田町の画廊、ショットバー街、福富町の歓楽、風俗街と盛りだくさん。

 石川町駅の海側は中華街、元町ですが、駅近くの陸側は、なんと東京の山谷、大阪のアイリン地区と並んで日雇い労働者、簡易宿泊施設のある街として有名な寿町です。この街も食べ物屋、飲み屋が豊富で、小生も石川町に住んでいた昔、たまにここの定食屋を利用していました。決して危険な街でなく、簡易宿泊するのはよそ者ばかりですから、むしろいろんな人を温かく包み込んでくれる感じがします。

 小生が今住んでいる桜木町は、JR駅の海側がみなとみらい地区ですが、陸側は野毛の飲み屋街。最近、若者に人気があるようで、土曜、日曜に歩いていると、まるで渋谷のセンター街にいるような錯覚を覚えます。立ち飲みも多く、飲み屋の安さと簡便さが若者を引き付ける魅力なのかも知れません。野毛近辺では、大岡川沿いにある2階建て長屋風の飲み屋街「ハモニカ横丁」も独特の風情。小生もこのハモニカ横丁の中国人バーでよくカラオケに興じます。

 昔、赤ネオンの前に派手な衣装の女性が立っていた京急黄金町駅近くの怪しげなストリートは今や”芸術の街”と変わり、少しつまらなくなりました。ただ、ここからそう遠くない横浜橋商店街は下町情緒いっぱいで、商品が安い。この商店街の外れに桂歌丸師匠が愛した大衆演劇の劇場「三吉演芸場」もあります。海側の異国情緒からすると、およそかけ離れた横浜土着の香りが漂ってくるところです。

 野毛山の頂上付近に横浜市営の動物園があり、入場無料。小生が住むマンションは動物園に至る山の中腹にあるので、土日は多くの家族連れが上がって来るのを見かけます。野毛山頂上にある展望台は、一度は行ってみる価値のある場所です。と言うのは、あるテレビ番組でやっていましたが、ロックシンガーの矢沢永吉が昔、寂しくなると、ここの展望台に上り、ずっと横浜の全景を眺めていたとのことです。

 確かに、ここから見る夜景はなかなかのものです。この公園の頂上グランドは小生がジョギングする場でもあります。このほか、能楽堂や県立図書館のある紅葉坂、横浜一の霊場伊勢山皇大神宮、桜の名所の掃部山公園音楽通りも。ということで、当ブログの読者も、横浜に来たついでに、一度はディープな陸側を散歩してみてはいかかがでしょうか。

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上の写真は、5月3日の開港記念日に行われたパレードで、伊勢佐木町モールを行く華僑団体、朝鮮総連系団体のグループ。