つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

極端なヴィーガンには困ったものだ

 前にも登場していただいたスウェーデンの16歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんは自然環境に対してばかりでなく、食生活にもに強い関心を持っているとのこと。つまり、肉食を拒否するベジタリアン、それも強度のベジタリアンで、巷間ではヴィーガン(完全採食主義)と言われている運動家でもあるようです。個人的に肉食を拒否するなら、それは個人の勝手、どうぞ好きにしてくださいと言うことですが、困ったことに中には極端な運動家がいて、他人にはそれを強要する人がいるのです。

 以前、テレビのワイドショーで放映していましたが、韓国の中年女性のヴィーガンが焼き肉屋の店内に乗り込み、「あなた方は肉を食べるのはおかしい」と叫んで、客が肉を食べるのを妨害している光景がありました。焼き肉と言えば韓国料理の代名詞。韓国人から、最も好む食べ物である焼き肉を奪う人が現れたというのは、驚きであり、衝撃的であり、ある意味とても新鮮、痛快でもありました。

 で、客の反応はどうか。一瞬なんのことか分からず、きょとんとした感じ。それはそうでしょう、もし日本で鮮魚を売り物にしている料理店に突然、わけの分からぬ人が入ってきて、「刺身を食うな。トロ食は止めろ」などと言ったら、びっくりしてしまうでしょう。韓国で焼き肉はそれだけ特別の存在だと思います。そこで、きょとんとした焼き肉屋の客は全然動かないのですが、しばらくして店員が飛んできて、営業妨害のこのヴィーガンを外に連れ出していました。まあ、これは立派な威力業務妨害で、刑事事件にしてもおかしくない話です。

 昔、クマやミンクなど動物の毛皮を着た女性に対し、動物虐待などと言って裸で抗議した女性グループがいました。小生などは極端な活動だなと思いましたが、裸の抗議というのはそれはそれで、見ている方は楽しい。それはともかく、この極端な活動が奏効して、今、街中で毛皮のコートを着ている人はほとんど見なくなりました。毛皮を着ている人は動物虐待者と見られるのが嫌だねと思う人が増えてきたせいだと思います。でも、ミンクなどは野生のものでなく、飼育場で計画的に生産しているので、虐待にはならないと思うのですが、、。

 われわれは、無機物だけでは生きられない。石や土を食べることはできません。食べるものはすべて「生」あるものばかりです。ベジタリアンだって、肉食は嫌っても、しっかりと植物は食べている。植物だって生き物だ。生物はことごとく他の何かを殺生して生きているのです。ですから、動物だけ食べるなというのは実におかしいイズムと思うのですが、ヴィーガンはそのおかしさが分かっていないようです。

 ついでに肉食のことを言えば、ウシ、ブタ、ヒツジは食べるのに、イヌは問題視します。この差って何なんだろう。イヌを食べる韓国人に対し、西洋人は「動物虐待だ」と激しい非難、これに対し韓国人は「イヌ食はわれわれの文化。お前らだってウシを食べているじゃないか。どこが違うんだ」と怒りました。西洋人はその違いについて、ウシ、ブタは食物として計画的に生産されるものだが、イヌは愛玩用で、人間の近くにいるからというのです。じゃ、食用に計画的に生産されるイヌならOKなのか。西洋人側の説明も分かったようで、分からない部分があります。

 確かに、我が家のようにイヌをいつくしんで飼ってきた立場から言えば、イヌを食用にすると言えば、いい気持ちにはなれません。が、それが民族の食文化だと言われれば、返す言葉はありません。

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 上の写真は、五反田の展示会の入口付近で見掛けたワニ。ワニも食用にもなるし、皮は工芸品にもなります。