つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

一定職場の女性眼鏡着用禁止は差別か

 ちょっと前に、テレビのワイドショーで話題になったことですが、会社が女性社員の採用や一定職種に就ける場合、眼鏡の非着用を条件にしているところがあるとのことで、「女性差別だ、けしからん」みたいにかなり批判的に取り上げていました。小生からすれば、職場の場所場所によっての事情の違い、つまりイメージ確保や伝統などの問題があり、当然ではないか、これがなんで女性差別なのか、なんでこんなことに世間は目くじらを立てるのかといった感じを持ちました。

 一般的に、女性が眼鏡をかけるとガリ勉、冷たい、生真面目なイメージになることは避けがたいと思います。ですから、イメージを売り物にするファッショ関係者や美容、化粧品の女性キャラクター、テレビに出る女性アナウンサーや会社の受付などに眼鏡女性がいないのは分かる気がします。そういう職種を扱う企業は、眼鏡の持つ若干のマイナスイメージで期待する”効果”が出なかったら困る、同じ金を使うなら、より良いイメージをつくりたいと考えているでしょう。つまり、まだ女性を職業能力より、”華”的存在としてとらえているのだと思いますが、この思考は完全否定されるものではありません。

 イメージダウンを恐れて眼鏡がかけられないケースは女性に限りません。例えば、大相撲の行事や呼び出しに眼鏡をかけている人は皆無です。これは、恐らくこの業界が持つ一種の様式美、伝統的美学なのでしょう。ファッショ関係者や美容、化粧品の男性キャラクターも女性と同じように眼鏡はご法度だと思います。競輪選手、競馬騎手でも着用者はレアですね。つまり、眼鏡の着用、非着用は職業的な特殊性に基づくもので、女性差別ではないのです。

 企業が柔らかいイメージを確保したいと思うなら、男女を問わず眼鏡は禁止するでしょうし、あまりこだわらなければどうぞご自由にということになります。欧米キャリアのキャビンアテンダント(CA)では眼鏡着用者が大勢いるのに、なぜ日本の航空会社CAには着用者がいないと指摘する人がいます。これは、欧米ではすでに航空機は普通の乗り物で、CAが一般レストランの店員と同じような位置づけであるのに対し、日本やアジアなどの発展途上国では、CAはまだ花形職業で”華”的存在であり続け、注目度が高い。

 であれば、航空会社は、CAによって乗客に柔らかい、良い印象を持って欲しいと願うのは自然。ですから、CAの制服の色彩やデザインにこだわったりするのと同じように、眼鏡の非着用を求めるのはあり得ることだと思います。CAに眼鏡着用を認めない理由について、日本の航空会社は「緊急時に彼女らが眼鏡を落としたりして、業務に支障を来してはまずいから」などと言っていますが、これは恐らく嘘。やはり、CAの”華”でキャリアの柔らかいイメージを守りたいと思ってのことでしょう。

 眼鏡着用を義務付けるルールが嫌であれば、確たる技術や能力を持つ女性たちはそんな企業や職種を端から相手にしなければいいのです。女性社員を職場の”華”としての存在でしか認めないような企業を軽蔑し、男女同等で競い合えるような企業、職場を選べばいいだけの話です。少なくとも、女性自身が”華”としての存在に甘んじ、そういう職種を選ぶのであるなら、「こんな制服、嫌だ」とか「眼鏡をかけさせてください」などいう要求はできないと思います。

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  上の写真は、京都国立博物館前近くで見た紅葉風景。先週末から今週末にかけて京都を散策してきました。京都の紅葉はやはり素晴らしい。