つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

散り際の美学なかった稀勢の里

 横綱稀勢の里が引退しました。先場所から今場所にかけて8連敗、元大乃国芝田山親方が「今の稀勢の里は誰と相撲を取っても勝てそうにない」と言っていましたが、あの最後の栃煌山との一番を見ていると、小生もそう感じました。あんな相撲を取っているようでは、もう横綱でいるばかりか、三役、幕内上位クラスでいることもできなかったでしょう。
 小生は昨年九州場所で4番立て続けて負けたとき、もう引退した方がいいんじゃないかと書きましたが、やはり、あの時点で辞めるべきでしたね。本人に未練があったのか、周囲やファンが許さなかったのか、往生際が悪かった。特に今の田子の浦親方は途中から師匠になった人、しかも親方本人の現役時代は幕内に上がるのがやっとの関取でしたから、横綱に強く言えなかったのかも。雪辱などという感じで今場所に出てきたのいいが、結局、恥の上塗りになってしまいました。
 44代横綱栃錦は優勝した翌場所か翌々場所に平幕に2連敗にしたところ、即座に引退を決断しました。「まだやれる」という世間の声にもかかわらず、彼は師匠から「引退の時は桜が散るごとく、みなに惜しまれつつ潔く」と言われていたとして、その通りに身を処しました。地位に恋々とするのも一つの生き方なんでしょうが、桜を愛する日本的な美学から言えば、見事に身を引く方が美しいと思います。
 小生は稀勢の里という力士をあまり評価しません。この一番だけにはぜひ勝ってほしいと願う大方の相撲ファンの気持ちをことごとく裏切ってきたし、第一顔にガッツが見られないからです。でも、テレビのワイドショーで見てたまげたことに、女性相撲ファンの人気ランキングでは、稀勢の里永谷園コマーシャルの遠藤を抑えて第一位だとのこと。この一番に勝てない小心なところを含めて稀勢は魅力的だと言うのですから、「えー」という感じ。蓼食う虫も好き好きでしょうか。
 ところで、今場所の相撲内容ですが、白鵬を除いて横綱大関陣が振るいません。年齢的に言ってもう峠を越えたと見られる鶴竜豪栄道栃ノ心はともかく、高安まで負け越し(5日目まで)とは驚きです。優勝を一回もしていない彼にはもう少し頑張ってほしいです。稀勢の里と同部屋であるならば、意気消沈している場合ではなく、むしろ横綱の分までと闘志むき出しになってもいいのですが、、。
 御嶽海や貴景勝、阿武咲が好成績なのはわくわくするような好ましい傾向で、なんだか世代交代を感じさせます。でも、本当に世代交代であるかどうかは、彼らが白鵬と対戦し、連敗させるような状況にならないと分からないですね。いずれにしても、白鵬と彼ら好調組が当たる後半戦が楽しみです。

 上の写真は、奄美大島名瀬の居酒屋で三線を引く外国人。小生が独り飲んでいた居酒屋にぶらりと入ってきて、止まり木で気持ち良さそうに三線を奏で、歌っていました。別に流しのプロではなく、普通の飲み客でした。