つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

台湾総統選、立法委員選、見てきました

 台湾の総統選を見てきました。まあ、結果は、以前からの世論調査蔡英文総統の勝利は予想されていたので、地元での関心はもっぱら立法委員(国会議員)選挙に集まりました。民進党過半数を取り続けられるかどうかという点。もし、野党国民党に過半数を取られれば、政策実現でかなりハードルが高くなるのです。結果は、国民党が前回4年前選挙に比べて3議席増の38議席民進党は7議席減の61議席となったものの、民進党単独過半数(57議席)は揺るぎませんでした。

 総統選挙は、民進党蔡英文候補の817万票に対し、国民党の韓国瑜候補は552万票(その他親民党の宋楚瑜候補60万票)と圧倒的な差となってしまいました。実は、蔡女史は前回2016年の当選以来、大陸に対し明確な姿勢が打ち出せないことなどから、徐々に人気を下げていました。大陸は台湾経済にとって今や、重要な”要”なのでしょう。だから、多くの住民はせめて親和的な態度を示してほしいと思ったでしょうが、彼女は最後までそういう姿勢は見せませんでした。

 そこで、高雄市長選に出馬した韓国瑜候補は、自治体独自で大陸にすり寄り、経済的な関係を持とうとしたのです。これが結構庶民受けして、彼は民進党の地盤である高雄で、地元出身でもないのに人気を博し、市長になってしまったのです。韓流という言葉は、いわゆる韓国のブームのことを指しますが、台湾で韓流と言えば、この韓国瑜ブームのこと。一気に韓流ブームになったのです。その人気ぶりに気を良くした韓国瑜氏はついに総統選への出馬まで考えてしまったのです。

 でも、蔡英文候補に比べると、人物、能力、品性が見劣りする感じ。頭が剥げて、ネクタイ姿が似合わない、いわゆる街の魚屋、八百屋さん風で庶民受けするのは、自治体首長ではいいんでしょう。でも、”国”を代表する人物としては、彼でいいのかという点を台湾人民は冷静に考え始めたのです。それから、台湾はやはり学歴社会で、最高学府の台湾大学卒業で、米国か日本への留学経験が条件になります。でも、韓国瑜さんはそのどちらでもない。海外に留学していますが、驚くことにそれは”北京大学”なのです。

 それから品性の問題。彼は北部新北市(旧台北県)出身なんですが、そこから出馬している国民党の女性候補の応援のため地元に帰って演説した際、「私はこの町の出身ですが、でも勉強はあまりしてなかった。毎日、学校では女性の足ばかり見ていた」などと、およそ応援演説とは思えないような、セクハラまがいの話をして顰蹙を買っています。こうした点がスノービッシュな国民党のエリート層、支持層に嫌われました。

 それから、独身で同性婚支持者の蔡英文候補のアンチテーゼを強く印象付けようと、妻や娘を表に出して選挙応援に駆り出し、円満な家庭人を装っていました。ところが、そのうち、彼自身の愛人問題なども浮上して、それほど家庭人でないことが暴露され、却って人間性が疑われてしまったのです。なんでも、ブーメラン現象。やり過ぎるとその攻撃の矢は必ず自分に戻ってくるのです。韓国瑜候補はやはり負けるべくして負けた感じです。

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 上の写真は、台湾総統選選挙前日夜の民進党「造勢大会」の風景。かなりの数が総統府前の広場に集まっており、中には犬も駆り出されていました。