つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

医療関係者にできるなら、自衛隊員にも

 今、世間では医療関係者に感謝しようというメッセージが多く見られます。テレビのワイドショーなどでは、わざわざ画面の片隅にずっとそういう言葉を掲げています。なるほど、新型コロナウイルスに対して懸命に努力されている医療従事者に感謝するのは当然でしょう。本当にありがとうございます。感謝申し上げます。でも、これを見るにつけ、しみじみ思うのですが、毎年訪れる自然災害、特に大雨や台風、地震の時に自衛隊が出動、支援に向かいますが、でも、彼らに対し感謝するというメッセージはあまり見られません。ちょっと片落ちの感じがしてなりません。

 小生は記者をしていた時に何度も災害現場での取材を命じられたことがありましたが、今でも思い出す若い時の鮮烈な記憶があります。南伊豆で地震被害があった時のことです。がけ崩れがあって、下の民家が下敷きになりました。自衛隊がそれを懸命に掘り進み、ほぼ一昼夜かかって掘り起こし、こたつの上に突っ伏したままの女性の遺体に遭遇したのです。隊員はそれを丹念に引き上げ、担架に積み、運び出しました。

 それは当然として、その遺体が運ばれる寸前、ずっと頑張って掘り進んでいた隊員たちが急に直立不動の姿勢を取り、「英霊に敬礼」と叫んで、遺体に向かって挙手の礼をするのです。彼らこそ本当に疲れていたと思うけど、死者に対し敬意を表したのです。小生、これを見て感動しました。自衛隊員を尊敬する気になりました。3・11の東日本大震災の時にも、何度も同じような情景があったと思うけど、自衛隊員はそうした敬意は表していたと思います。

 多分多くの人は、自衛隊員は仕事でやっているから当然と思っているでしょう。でも、医療関係者も仕事です。いずれも給料は出ます。大変さも医療関係者に負けないでしょう。それでも、テレビで自衛隊隊員に感謝なんてメッセージを見たことがありません。実に、あまり感謝されないんですね。中には、駐車スペースの関係でやむなく自衛隊の車両が小中学校の校庭に運び込まれることもありますが、それに対し「人殺しの集団のものは学校に入れるな」などと叫ぶばかな輩もいるそうです。助けに来る人を悪しざまにいう人のさもしさ、いやらしさには反吐が出ます。

 3・11の時、歌手の長渕剛がわざわざ仙台かどこかに来て、自衛隊員を慰めるためだけに、彼らの前で演奏会を開きました。これを見て、小生は長渕の男気に感動しました。当時、さまざまな芸能人が被災地に来て、被災者のためにさまざな救援活動、慰労のイベントを開きましたが、被災地で苦労している自衛隊員のために来たのは彼一人です。彼は分かっている、自衛隊員の苦労が分かっていると思いました。

 今回、医療従事者に感謝する光景は日本に限らず、多くの国々で同じように見られました。英国やフランスでは決まった時間に皆窓を開け、外に向かって拍手する姿がありました。日本でも、ある自治体では正午に全員が起立し、拍手することをしていました。であるなら、今度、災害現場に自衛隊員が来たら、同じように一定の時間に感謝を表してもらえませんか。ぜひ感謝を表しましょう。

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 上の写真は、薄暮のみなとみらいの風景。小生の散歩コース。