つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

黒川検事長のマージャン事件には裏がありそう

 今回の黒川弘務東京高検検事長の事件で、小生が面白いなと思ったのは、記者たちが取材先の人を巻き込んでいまだに”古典的な”ゲームであるマージャンをしていた点。1970年代から記者をやっている人間からすると、マージャン、花札(こいこい)は普通の博打で、記者クラブ内などにマージャン台があり、記者同士でよくやっていました。ですが、さすがに90年代くらいになると、記者クラブでの博打はなくなってきた感があったので、21世紀は残っていないと思っていました。

 これは、会社の監視がきつくなり、記者クラブでマージャンなどできない状況になってきたからか。あるいは、マージャンなどよりもっと面白いゲームが数多く出てきたためか。特にパソコンが普及し、PC上のゲームが出てきてそういう傾向が強まりました。昔、大学の周りには雀荘がゴマンとあったのに、今はほとんどない。21世紀に入って大学で教えていると、マージャンのルールを知らない学生がかなりいたので、驚いた記憶があります。マージャンは大学生とは程遠い存在になってしまったのです。

 黒川検事長とマージャンをやっていたのは、記者クラブのマージャン台を知っている最後の世代の記者たちでしょうね。それにしても、「10万円負けたこともある」とある記者が告発しているところを見ると、掛け金はかなりの高レートのよう。恐らく、1000点100円のピンをベースに、ドラを増やしたり、馬を付けたりのインフレレートでやっていたのでしょう。一晩に通常で4、5万円、下手打つと10万円になるというのであれば、小生などとても手が出せるレートではありません。

 それはともかく、テレビのワイドショーで再三触れているので、もう耳タコの嫌いがありますが、刑法で人を裁く権限を持つ人間が仲間内とはいえ、賭博罪という刑法罪を犯したことは許されない。他人に厳しく接する人間は自分にも厳しくあるべきです。取材上の付き合いがあるので”記者も身内”と考えたのか、あるいは自分も同罪と認識する記者たちが間違っても漏らすわけがないと思ったからか、ちょっと甘えがあったように思います。それこそ年一回程度のものなら、付き合い上で許される範囲でしょうが、年間100回以上やっていたというのでは、これはもはや立派な常習賭博の開帳です。

 マージャンに参加した記者がハイヤーの運転手に「黒川氏に意図的に負けてあげることもある」と吐露していたとか。これって、巷間言われているところの接待マージャンでしょう。取材上で世話になっている公官庁の職員を機嫌よくさせるために意図的に負けて金を払うとしたら、これは賭博罪どころでなく、贈収賄事件になるかも。少なくとも、公務員倫理関係の法律には抵触します。小生的はさらに、このマージャンの席で黒川から重要なネタをもらったとしたら、メディア企業は記者に取材経費を出すんだろうかというつまらないことまで考えてしまいました。

 この事件で次に面白いなと感じたのは、黒川検事長のマージャンの相手をしていたのが朝日新聞1人と産経新聞2人の記者という点。このメンツは黒川氏のご指名なのかどうか。本来なら、左右両極端のメディアで、いつもは紙面上でいがみ合っている会社の記者同士が呉越同舟し、仲良く黒川氏の機嫌を取っている姿は意外です。メディアのスタンスが違うので、末端の記者同士もいがみ合い、付き合うことはないとは言い切れませんが、この業界に首を突っ込んでいた者からすると、ちょっと想像しにくい。 

 長年、密室でやっていて、ずっとばれてなかったマージャン賭博を明かしたのが産経の記者だったとのこと。これも謎。長年付き合ってきた黒川氏との特別な関係、社会部記者にとって高検検事長と親しく話ができる”好ましい”状況を敢えて切ってまで、なぜ週刊文春の暴露記事制作に協力したのか。なぜこの時期なのか。永田町も巻き込んで、複雑に絡み合った裏事情もありそうで、ぜひ知りたいところ。文春の続報に期待します。

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 上の写真は、みなとみらい地区にできた横浜市の新しい市庁舎わきからランドマークタワーを見たところ。