つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

トランプのせいで、政権移譲期が危ない

 その昔、小、中学校の時代、われわれがクラスリーダーの「学級委員」を決めるのは学期初めのホームルームでの投票でした。選挙委員は一票ずつ開票し、黒板に「正」という字を書き連ねてクラス全員に結果を明確にしました。それで、民主主義とは選挙による投票数の多寡なんだと知りました。小学生だって投票結果を信じ、素直に従っています。それが最低のルールなのに、トランプはなぜ投票結果に従わないのか。世界最大の民主主義国家なのに、いまだにトランプに迎合して選挙結果を受け入れない大衆がいることも不思議でなりません。

 バイデン民主党候補とトランプ共和党候補の獲得選挙人数は306対232。これを見る限り、文句が言えるほどの僅差ではない。さらに、米国の場合あまり意味がないことなのですが、獲得総得票数だってバイデン7500万台に対し、トランプは7100万台と400万票の開きがあります。100万票以内の票差ならまだしも、いかにトランプが「郵便投票は無効だ」などと無茶な訴えをしたところで、400万票の差では決して強く言い張ることはできないと思うのです。

 何の根拠もなく「無効だ。不正だ」「steal the election」などとわめきちらし、いまだに敗北を認めないのは、実に女々しい、男らしさに欠ける(これらも差別語、死語ですが、敢えて)、未練がましい、往生際が悪い振る舞いです。誰が見ても、唾棄したくなるような行動を続けるこの人の精神構造は、いったいどうなっているのか。どう踏ん張っても1月20日になれば、ホワイトハウスを追い出されることが分かっているのに、これだけ「選挙未確定」に固執するのはどういう理由があるというのでしょうか。

 日本のワイドショーもすでに、トランプがなぜ敗北宣言しないのか、その理由、背景について分析する内容になりました。米大統領は2期できるので、トランプは4年間のバイデン政権のあとの2024年にもう一度選挙に出たいとの願望があるからだとの見方があります。2024年でも今のバイデンと同じ歳、十分再起の可能性があると評論する人もいます。冗談はやめてくれと言いたくなりますが、、。いや、離任後に脱税容疑などで訴追される可能性もあるので、訴追を免れようとバイデン側に今、圧力をかけて裏で取引しているのではないかという説もあります。

 ということは、トランプが「アメリカ・ファースト」の推進者なんて飛んでもない、所詮ミーイズムの極致、自分のことしか考えない「トランプ・ファースト」でしかない男だったのです。米国民は4年前、実に愚かな選択をしたものです。多くの人は当時、彼が品性下劣なビジネスマンであることは分かっていたと思いますが、政治経験のない分だけ新鮮さを感じ、未知への期待感を込めて選んだのだのでしょう。結果はかくの如くでしたが、、。

 トランプは敗北宣言しないことで、必然的に政権移譲(トランジッション)協議にも応じていません。トランプ自身も、ふてくされたようにウイークデーに連日ゴルフに興じ、この大事な政権過渡期、熱心に執務をしている風には見えない。そのために、外交、安全保障方面はがたがたで、中国やロシアに世界覇権進出の”スキ”を与えることにもなってしまいました。実に、この過渡期の「魔の70日」(大統領選確定から来年1月20日正午まで)は危ない期間です。

 マクロン仏大統領は最近、「安全保障でもう米国に頼るのは止めよう」と述べ、トランプ以後もNATOでなく、EU内で独自の安全保障の枠組みを作ろうと提言しました。これは「羹(あつもの)に懲りてあえ物を吹く」のようにも見えますが、EUはトランプにさんざん嫌がらせを受けたので、マクロンの気持ちが分からないでもありません。日本も尖閣諸島防衛で過度に米国に頼る考えを捨て、確固たる独自の防衛体制を構築していくべきでしょう。

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  上の写真は、赤坂の旧勝海舟邸跡に建つ勝海舟坂本龍馬の師弟像。幕末に国全体の安全保障を考えた人はこの師弟をおいていない。下の方は、最近よく行く自由が丘のイタリア・レストラン前の風景。オープン・スペースがあり、密にならないのがこのレストランの良さ。