つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

自由民主の盟主なら最初に理想の旗は必要

 1月20日のバイデン米大統領の就任式を夜通し見ようとしましたが、老齢ゆえに眠くなり、いかんともせず就寝。翌日、ユーチューブでフルバージョンの就任式模様を見ました。バイデンの演説を聞いてて、ああ、もうこれからあの異常な人の顔を見ることはないんだな、米国もやっと普通の状態になったんだと感じ、嬉しさと同時になぜか心の安らぎを覚えました。小生だけでなく、西側陣営の国際協調を求めるほとんどの人が一様に安堵感を持ったのではないでしょうか。

 就任式では、特にレディー・ガガ国歌独唱に本当に心が震えました。米国国歌の独唱はメジャーリーグなどでもよくありますが、これまでそれを聞いて別段感動することはありませんでした。が、今回は違う。小生自身、トランプ政権が終わった嬉しさがあったし、ガガが民主党政権をずっと待望していて、そのために多くの貢献をしてきたことを承知していたので、この晴れがましい席に出て、しかも国歌を歌う彼女の喜びに共感してしまったのです。しかも、笑顔も、衣装も、歌声も素晴らしかった。

https://www.youtube.com/watch?v=15LF0DaVOcQ

 バイデンの就任演説について、テレビのコメンテーターの中には、「unity」とか「together」とか国民の和解や、人種、宗教など違いを超えて自由と民主主義の価値を守るんだという理念的な表現やが多く、今後やるべき具体的な政策が入っていないと批判する人もいました。しかし、小生はこれはこれでいいと思います。米国ファーストと言いながら、実はトランプ自己ファースト、トランプセルフィッシュによって、国民の分断が進み過ぎました。そして同盟国の不信感も増幅しました。ですから、分断を解消するための呼びかけはどうしても最初に必要でした。

 歴史的に見ると、民主党政権は、ウイルソン大統領の14か条平和原則、オバマ大統領の核廃絶発言に見られるよう最初は理想を掲げます。その後に現実主義の中で理想が埋没してしまうケースがよく見られましたが、それはそれで仕方がないこと。トランプのように最初から分断を煽ったり、国際協調を無視したりするやり方は感心しない。世界の自由と民主主義国をリードする米国の大統領はやはり最初に大方が共感できる理想を掲げてほしい。そうでないと、独裁国家に対抗でないと思うのです。

 バイデンは就任早々、排出ガスに関するパリ協定への復帰、WHOからの脱退取り下げ、メキシコとの壁建設の中止などトランプのやった政策をことごとくつぶしています。パリ協定やWHOからの離脱などはもともと異常行動としか思えず、多くが復帰を望んでいたからそれほど抵抗はないでしょう。問題はTPPへの再加盟、イラン核合意協定への復帰などの懸案事項です。TPP復帰は民主党の支持団体である労働組合が反対しているそうで、なかなか難しそう。イラン核合意もイランから明確な譲歩が取れない以上、戻れないでしょう。

 米メキシコ間の壁建設中止問題ですが、中米ホンジュラスなどの貧民たちがバイデン政権の政策転換に期待して再び集結、キャラバン隊となって北上し、米国への入国を目指しているとのことです。バイデン政権はこうした不法移民希望者にどう対処するのでしょう。トランプと同じように強制排除するのか、いや、政権交代をアピールするため、移民を若干許容するのか。政治はいつも現実対応が必要ですから、バイデン政権が最初に掲げた理想からいつ現実対応への転換を図るのか注目されるところです。

 上の写真は、横浜駅に隣接した元中央郵便局ビル改装の「アソビル」。一階はオープンの飲み屋街になっています。