つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

情報の裏側は深くて暗い闇、魑魅魍魎の世界

 前回のブログで、東北新社から豪華な接待を受けた山田真貴子内閣広報官について、「あるいは裏ではもっと多額の賄賂性招待があるのかも知れません」との憶測を書きましたが、今日発売の週刊文春はいみじくも「NTTから30万円規模の豪華メシの接待を受けている」ことを暴露しました。多くのコメンテーターは、「山田広報官は、菅首相のロン毛の息子からの招待だけでなく、実はこのNTTの招待で追い打ちを掛けられることが分かったので、職を辞さるをえなくなったのでは」と見ています。

 世間が新型コロナウイルス禍で汲々としている時に、高級官僚はこんな常識を逸した豪華宴席に侍っていたんですね。呆れるというか、羨ましいというか。優雅な身分です。小生が記者を辞める2000年ごろには、官庁の役人は役所外の人間との飲み食いにかなり神経を尖らせていました。従来なら記者との酒席懇談もフリーだったのに、大蔵省のノーパンしゃぶしゃぶ事件によって「羹に懲りてあえ物を吹く」といった感じになってしまいました。ところが、あれから20年、役人のガードは甘くなったようです。(告発、摘発という)”災難”は忘れたころにやってくるんですがね。

 昨今、週刊文春が特ダネを連発しています。”脛に傷を持つ”政治家、役人、大企業の幹部、それに有名芸能人、スポーツマンは毎週、戦々恐々としているのではないでしょうか。人間だれにでも隠したいことはある。法に触れることないにしても、その人の持つイメージをダウンさせる、信用を傷つけるような情報、そんなものは公開されたくない。それがプライバシーというもの。しかし、週刊誌は容赦がない、すべてあからさまにしてしまうのです。読者は面白がりますが、攻撃された人間はたまったものではないでしょう。イメージダウンによって社会的信用喪失、金銭的損失、場合によっては公的な地位を失うことすらあるのですから。

 記者数の少ない週刊誌の独自取材ネットワークには限界がありますから、こういう情報の端緒は、明らかにタレコミによるものが多いです。もちろん、お金目当てだけの情報提供者もいると思いますが、ある特定の個人を攻撃することで得をする人がひそかに週刊誌に情報をタレ込んでいるケースも少なくない。週刊文春はこれまでの”実績”から世間の注目度が高いので、ますますタレコミ、売り込み側もそれに期待する。週刊誌側にすれば、情報提供多い、特ダネ連発、販売促進の“良循環”になっているのです。

 ですから、記者経験ある小生からすると、どんな人がこの記事の情報をたれ込んでいるのか、この人物の評価を落とすことでだれが得をするのか、裏にどういう愛憎の人間関係があるのかと、ついつい考えてしまいます。政治家の不祥事をたれ込むのは選挙区の対立候補とか、あるいは党内、派閥内のライバルといったことがありましょう。企業トップのトラブルを持ち込むのは社内の反対派とか、ライバル企業からとかが考えられます。

 タレコミで忘れてはならないのが、他社の取材記者。うわさ話や法律に触れない不祥事、下ネタは避けるといった出稿ルールがあって、自身が属するメディアでは書けない場合、記者の中には「こいつは嫌いだ、許せない」と感じた取材対象を週刊誌などで”告発”することもあります。まあ、奉行所では裁けない悪人をひそかに闇の世界で葬る「必殺仕掛け人」「仕事人」の中村主水といった役回りでしょうか。この場合、タレコミ記者は主水と同じように、情報提供先からはしっかりと報酬は受けているのでしょうが、、。情報の裏側には深くて暗い闇がある。魑魅魍魎の世界でもあります。

 上の写真は、昨日のひな祭りに食べた桜餅と毎度おなじみの横川の峠の釜めし。高級料亭の豪華メシには縁がないですから、季節や旅情を感じながら、写真のような食べ物で人生をささやかにエンジョイしています。