つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

中国の”北風”は却って反発心を増す

 昨日、用事があったので、強い雨が降る中、渋谷まで行ってきました。驚くことに雨中にもかかわらず、道玄坂は結構な人出。傘を差しているので、歩道は渋滞となっていました。「えー、今、非常事態宣言が発出中だよね、なぜこんなに人がいるの」と思わず自問自答したくなってしまいました。もう時期は春、人の心は浮き立っています。非常事態宣言を2週間延長したところで、外に出たいという人の欲望を抑えることはできません。非常事態は、最初の時は効果があったのでしょうが、何度も出ると狼少年になってしまうのかも知れません。

 話題を変えます。最近、中国は台湾からのパイナップル輸入を禁止しているとのニュースが入ってきました。台湾の蔡英文政権が米国寄りになっていることへの報復なんでしょうか。実は、中国大陸は台湾の果物の最大輸出先なんです。ですから、中国当局がストップすると、台湾の特に南部の生産農家は大打撃を受けます。台湾人は同胞と言っておきながら、隋分ひどい仕打ちです。またまた、中国は政治的な不満要因があると、それをもって経済で報復するという挙に出たのですが、大国にしてはなんと情けない、余裕のない態度だと思います。

 農産物、牧畜製品というのは、消費期限が限られているので、輸出入は手早さが求められます。だからこそ、中国は、税関でわざわざ厳密に品質検査を行い、輸入時期を遅らせたり、さらにエスカレートして輸入自体を禁止するという嫌がらせに出たのでしょう。相手に打撃を与えるために。その輸入管理の厳格さというのは、中国にとって友好国か非友好国か、早い話、中国の言うなりになる国か、そうでないかによって大きく差を付けるから、たちが悪いのです。

 台湾パイナップルの前には、オーストラリアからの農産物の輸入を禁じました。モリソン首相が新型コロナウイルスの発生源について、中国に独自の調査団を派遣してはどうかと提案したのが原因。つまらないことに中国は怒ったものです。オーストラリアにとって中国は最大の輸出相手国で、輸出総額の4割を占める。農産物としては牛肉ばかりでなく、大麦、ロブスターなど、製品としてはワイン、さらに原料としては鉄鋼、石炭の”大物”もある。だから、中国はオーストリアの輸出ルートを抑えれば、かの国は困って根を上げるだろうと思ったのでしょうね。

 でも、イソップ物語の寓話ではないですが、国も人間も北風のような強風が吹きつけてもへこたれない。むしろますます反発心が沸いてくるものです。一昨日のオンラインによるクワッド(日米豪印の4カ国)サミットに見られるように、モリソン首相は米国、日本、インドとの連携を強め、むしろ対中国包囲網により加担する姿勢を示しています。やはり、北風より太陽の方がはるかに本来の目的が達せられることを中国は知らないようです。

 かつて岩礁の領有問題で反中国的な態度を取ったフィリピンのアキノ大統領に怒り、税関でフィリピン輸入バナナの厳格チェックをやり、腐らせてしまいました。反体制作家で、獄中で死亡した劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞した際、北京当局は、平和賞を管理するノルウェーに不快感を示すため、同国の大きな輸出産品である鮭の輸入をストップしました。また、尖閣諸島問題でトラブルになった時には、日本へのレアアースの輸出を禁じました。

 度量の狭い国の仕儀です。だが、日本はこれによって第三国にレアアースを求めたほか、レアアースを使わないモーター用磁石を開発したりして、むしろ技術の発展につながりました。災い転じて福と成すです。中国の嫌がらせで台湾パイナップルの輸出先がなくなるのであれば、西側の友好国が助ければ良い。日本も積極的に台湾パイナップルを輸入してはどうか。台湾産は芯まで食べられるという高級品ですから、もっともっと旺盛に食べましょう。

 上の写真は、横浜港大さん橋に着岸していた大型客船「飛鳥」。