つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

やはり野球はチームワークと緻密さが重要

 昨夜のオリンピックの野球決勝戦。よくよく考えてみれば、米国チームはメジャーリーグでなく、その下の3A選手主体で構成されています。一方、日本チームは、現プロ野球NPB)で最高峰の選手をそろえています。今、大谷翔平はじめ多くの日本人選手がメジャーリーグMLB)で活躍している現実を見れば、現在のNPBのレギュラークラスはMLBに行って、活躍してもおかしくないレベル。つまり、NPBの最高峰の選手がMLBの2軍と戦っているわけで、本来負けるわけがないのです。そうは思っていても、シチュエーションがオリンピックとなると、日本チームの勝利はやはり感動ものでした。

 全勝した日本の5戦を見てしみじみ感じたのは、野球ってやはりチームワークと緻密さが重要なんだということでした。NPB各チームの4番クラスを招集すれば、皆「おいらが大将」となってしまうのでしょうが、稲葉監督はその辺をうまく納得させたのか、各選手が自分の役割を理解し、きっちりそれを果たしていました。巨人の坂本なんて本来ホームランも打てるバッターですが、状況によってチームのために犠牲バンドをすることも。さらに、走者が2塁にいると、意識的に右方向に打ち、ライトフライで進塁させるなどチームプレーに徹しました。

 決勝戦でワンアウト満塁の際、柳田は意識的にゴロを打つことを心掛けていました。三振や浅いフライだと何にもならないけど、内野ゴロなら三塁走者の走り出し次第でフィルダースチョイスを呼び込み、本塁生還もありえます。結果は、ぼてぼての三塁ゴロとなり、本塁で封殺されてしまったけど、チームワークに徹した打法だと思いました。概して、走者が2塁にいる時には右方向を狙うセオリーは徹底されていました。日本では少年野球の時から、トーナメント戦で一戦も落とせないという状況を経験しているからか、チームバッティングの必要性を頭に叩き込まれているのです。

 5戦を通して、金メダルを取らせた貢献者は誰かと言えば、ナンバーワンはやはりソフトバンクの甲斐拓也ではないでしょうか。ピッチャーの得意球を引き出し、相手バッターの弱点を突くインサイドワークが素晴らしかったし、相手チームに盗塁をさせない。彼の強肩は広く知られているようで、事前情報だけで機動力を封じていました。これだけでもすごいんですが、さらに打撃方面でも状況による緻密な打法を見せている。一塁方向にプッシュバンドをしたり、対米国第一戦ではライト方面に打ち、サヨナラ打を演出しています。

 2番目の貢献者は、オリックス吉田正尚でしょう。準決勝の韓国戦でも、決勝の米国戦でも、ここでタイムリーが欲しいというところで確実に外野にヒットを飛ばしてくれました。期待にこたえられる素晴らしいバッターです。小柄ながら、体幹がしっかりしている感じで、物怖じしない面構えもいい。この人は三振をしないバッターと言われ、2ストライクを取られたあとも、きわどいボールをファールにして相手投手に多く球を投げさせました。こうした”嫌がらせ”は投手を疲れさせ、マインドを削ぐ意味でも重要です。

 3番目は坂本勇人でしょうか。小生は巨人嫌いなんですが、この選手は嫌いではありません。バッティングでも守備でも職人的であり、いつでもやるべき仕事をきちんとこなします。決勝戦では一発で送りバンドを決めたところなどは絶賛ものです。たまに彼のサイトを見て、通算安打が2000本からさらに何本増えているかなどとチェックしています。ぜひ張本勲3000本安打記録を塗り替えて欲しいと思います。

 MVPはヤクルトの山田哲人でした。確かに、日韓戦で走者一掃の2塁打を打ったほか、他のゲームでスリーランを放つなど活躍しました。打率も高く、勝利の貢献度は大きかったと思います。ですが、これは結果論であり、チームプレーという視点で見ると、上記3人ほど目立ってはいませんでした。

 ピッチャーは日替わりであり、しかも中継ぎ、抑えの分業態勢。で、特にこの人とは言えないのですが、先発したオリックスの山本由伸と広島の森下暢仁は良かった。とりわけ山本のストレートは素晴らしい。オリックスは関西のチームであり、関東人からするとほとんど縁がないのですが、今回のオリンピックでピッチャー山本、バッター吉田の力量を知り、このチームがパ・リーグで首位に立っている理由が良く理解できました。今後は注目して観戦するようにします。

 上の写真は、自宅マンション近くの街路樹下で見かけた花、実?