つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

独裁者は国内に敵、待っている哀れな末路

 率直な感想を言えば、プーチンは狂っている。内人は、キツネ付きの目をしていると言っていたが、およそ尋常な感覚、判断をしている人とは思えないのです。常識的に、プーチンが言う自国の安全が脅かされているとか、ウクライナにいるロシア人が危ないなどという状況は微塵も見えなかった。だって、ロシア人が多いウクライナ東部のドネツクルガンスク州の一部はすでにロシア軍が管理していたのですから、そんな状況があるわけがない。

 でも、歴史を遡れば、他国に侵攻する場合、ここは我が国の生命線だとか、自国の安全が脅かされているとかの理由はよく使われました。恥ずかしい話ですが、戦前の日本も国土防衛の理由で朝鮮半島やシベリアに軍隊を送ったり、「日本の生命線だ」と言って中国大陸に攻め込んだりしました。米国もレーガン政権が1983年、カリブ海上の裏庭国家グレナダに左翼政権ができたとして、89年にはパナマ運河が脅威にさらされるとして同国に軍事侵攻しています。

 ある意味、大国は周辺国の敵対行動、しかも”子分”と見ているような衛星国家の反逆を目にすると、我慢ができず、露骨な軍事行動に出ます。今回のロシアによるウクライナ侵攻もその様相が見られます。でも、長い間忘れていた大国の横暴を21世紀になってまで見るとは思いませんでした。米国ですら、最近は周辺国への過度の干渉を控えています。米国の国力、軍事力の問題もありますが、西側の感覚としてもうそういう時代じゃないとの意識が高まっているからでしょう。

 今、テレビ各局は、プーチンの異常性を見て、改めて彼の生い立ち、経歴を振り返っています。で、スパイ組織のKGB職員であったことと結び付けていますが、その関連性は否めないでしょうね。ロシアは現在、投票行動によって大統領を選ぶ、一応民主主義の国家とされています。が、対立野党や候補者が存在しないし、それら野党政治家や体制に批判的なジャーナリストは、プーチンの”裏の部隊”によってことごとく消されてしまうのです。時には海外まで出張って殺しています。この異常な仕組みを作ったのは、KGBの効果、能力を知り尽くしたプ―チン自身であり、今、元KGB組織をフル回転しているのでしょう。

 旧ソ連スターリン時代にラブレンチー・ベリヤという秘密警察の長官がいて、ボスの政敵をことごとく拘束、処刑あるいはシベリア送りにしました。ですから、独裁者スターリン暴力装置としてベリヤを重宝しましたが、皮肉なことに彼は1953年、当のベリヤに毒殺されてしまうのです。独裁者の哀れな末路、プーチンも今、恐らくスパイ組織をフル動員していますが、やがてスパイ組織の長がプーチンの恐ろしさを感知し、抹殺に走るかも知れません。

 独裁者は国内に敵を持つがゆえに、その争いの芽を隠すため、国民の眼をそらすために対外的に敵を作るというのは常套手段。プーチンウクライナ侵攻があまりにも非論理的で唐突であるので、小生などは「やはり」と思わざるを得ません。ですから、彼もやがて国内の敵に抹殺されかねません。それが独裁者の宿命です。

 上の写真は、小生の自宅近く大岡川の橋のたもとにある人情小説家、長谷川伸の生誕記念碑。正月に、小生が上梓した時代小説が売れるよう”参拝”しました。