つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

国民はいつも自国領土拡張を喜ぶことの悲しさ

 独裁国家って本当に悲しいです。為政者は自分が権力を保持している正当な理由が欲しいため、我が国は強い、その国家を造っているのは自分なんだと誇張したがるのです。だから、プーチンウクライナを侵攻するのも、習近平が台湾を軍事侵攻して「祖国統一」を果たすぞと言っているのも、所詮、自分の地位を守るための方便、手段でしかありません。国内の自由なメディアが機能していないので、こうした際物の為政者の真実が理解できないのです。自由なメディアがない社会というのはいかに怖いか、我々はもう一度認識すべきです。

 でも、面白いことに、国民って国土が広がることを嫌がるどころか、いつも歓迎するのです。プ―チンは、2008年、グルジアジョージア)のアブハジア南オセチア地区の地元民が独立を望んでロシアに援助を求めてきているとして、この地に軍隊を派遣し、グルジアの領土の一部を奪いました。さらには、2014年には、ウクライナの領土であるクリミア半島にはロシア人が多く住んでおり、彼らがロシア帰属を望んでいるからとして、独立宣言させ、その後に「国民投票」を経たという形で自国に併合してしまいました。

 この2つの領土拡張は国連憲章で言えば、明らかに侵略行動なのですが、ロシア国民は非難するどころか、「プーチンさんよ。ソ連時代に持っていた領土を良く回復してくれた」とばかりに歓迎、2度ともプーチンの支持率がグンと跳ね上がったのです。それで、今回もプ―チンはまったく同じパターンを取ったのです。ウクライナドネツク、ルガンスクのロシア人多数地区で独立宣言させ、その要請に基づいてロシア人の身の安全を図るためと称してウクライナ全土に侵攻したのです。

 悲しい話ですが、日本も戦前、中国大陸に攻め入って中華民国の首都である南京を陥落させるという同じ軍事行動を取りました。その時、日本人は「南京陥落」を喜び、提灯行列の祝賀パレードをしたのです。国土が広がることって、他国の領土を奪っていることなんですけど、かつての日本、今のロシア人を見るにつけ、やはり嬉しいことなんですかね。でも、よくよく俯瞰的に見てみれば、この侵攻、侵略によって相手国国民の人命がかなり奪われるほか、自国の将兵もそれなりに犠牲を払っているのです。

 そうしたマイナスの部分を見させないのは自由なメディアがないからです。戦前の「大本営発表」ではないですが、プラス情報だけ伝え、マイナス情報は無視します。それでも、ある程度の教養人は基礎知識を踏まえて物事を俯瞰的に見ようとしますが、多くの国民は「大本営発表」「プ―チン主導の旧KGB情報」しか見ないため、だまされてしまうのです。こう言っては失礼ながら、無知蒙昧な国民がプーチン政権の存続を許してしまっているのではないでしょうか。

 米、NATOが軍事介入すれば、ウクライナ戦争は第3次世界大戦を招く恐れがある。特に、今、正常な判断ができるとは思われないプーチンを外圧によって翻意させるのは難しい。となれば、彼を倒すのは、ロシア国民しかいないのです。中国と違って、一応彼は選挙で選ばれているのですから。そのためには、ロシア兵がこれだけ死んでいるよとか、ウクライナを全土占領したところで同国人民は決してロシアを許さない、屈服はしないので、長い目で見れば意味ないというマイナス情報をロシア人に知らしめなければならないのです。

 ロシア国民には、もうアブハジア南オセチアやクリミヤ半島併合のやり口は通じないよと、さまざまなルートを使って伝えなくてはならない。そのためにはボイス・オブ・アメリカBBCNHKも含めて国際放送を使って、絶えずロシア側に発信していくことが重要だと思います。

 上の写真は、横浜ベイクォーターの商店街で出くわしたチワワ集団。我が家もチワワを飼っていたので、見ると可愛くてしょうがない。