つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

ゼロコロナ反対暴動の裏に「共青団」の糸がある!?

 習近平さんには失礼ながら、中国情勢が面白くなってきた。今中国各地で起きているゼロコロナ反対暴動に関して、小生に見方を示させていただけるのなら、これは民衆蜂起の「革命」でなく、共産党内部の「権力闘争」が反映したものだと思います。では何と何の対立?もちろん、習近平一派と共青団系の対立です。ゼロコロナによる都市封鎖反対の動きが全国規模で起こっていることは全国組織が背後にいると想像できます。それは中国では違法な法輪功でも、他の宗教組織でもなく、合法的な組織共青団以外にあり得ないと思います。

 間違いなく、今回の暴動は共青団が裏で糸を引いている。なぜ共青団が…?それは10月の党大会で中央指導部から共青団系幹部が完全排除されたからです。それまでは李克強がいたし、汪洋もいた。胡春華などは次期中央(政治局常務委員)入りすると見られていたが排除され、常務委員会は完全に習の配下で固められた。胡春華はなんと常務委の下の政治局委員にもなれなかった。さらに、習は党大会の中で、共青団系の重鎮である胡錦涛元総書記を舞台から強制退席させ、恥をかかせた。これで、共青団系が怒らないわけがないでしょう。

 共青団というのはどういう組織か。共産党員の青年組織で、正式名称は「共産主義青年団」です。親が党の幹部でなくても大学などで成績優秀であれば、この組織に入って幹部への道が拓ける。だから、紅二代、太子党でなく、一般庶民家庭の出身が多い。下級幹部時代にこつこつ努力して這い上がる人が多い。だが今の中央幹部は、習はじめ紅二代がほとんどだし、それを重視している。紅二代以外で出世するやつはすべて習におべっかを使うやつばかり。下級幹部から苦労して上がってきた優秀な党員は現状を見て絶望視したことだろう。特に習が今後5年、10年と権力を保持したら、彼らは絶対に浮かばれないのですから。

 毛沢東はかつて革命は「農村から都市へ」と言っていました。20世紀初頭は圧倒的に農民の数が多かったですから、土地制度に不満を持つ農民の影響力は大。今の中国は大学卒業者が年間1200万人もいる学歴社会ですから、知識分子の影響力が大。革命を起こすには「大学から都市へ」という構図でしょう。今、大学卒でも職になかなかありつけないので、失業率が高い。また、地方出の優秀な人間は大学の寮に入っていますから、コロナの閉鎖を受けてさらに不満が溜まっている。大学の優秀な学生OBである共青団が彼らを焚きつけることは十分考えられることです。

 注目されるのは、今、地方の暴動に対し、省や市の下級政府の幹部がほとんど表に出てこないことです。目立っているのは、上の命令を唯々諾々と遂行する「白衛兵」と呼ばれる末端の警察官と城管だけ。というのは何を意味するか。地方の党中級幹部は「これは党中央の権力闘争だ」と見極めているのです。だから、旗幟鮮明にしない。暴動の人に「共産党下台(退陣)、習近平下台(辞めろ)」と叫ばせているのは、さらに混乱に油を注ぎ、習に軍の出動をさせ、事を大きくさせる狙いが共青団側にあるからだと思います。で、どうなるのか。文章が長くなるので、今回はここまでにしておきます。次回に見解を続けます。

 上の写真は、横浜みなとみらい地区で見かけたランタナ。この花はいつでもどこでも咲いている。美しい花なのに雑草のようにしっかりと根を張る。中国人民もそうであって欲しい。

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