つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

米中は今、「トゥキディデスの罠」状態に

 今回のG7サミットを見ていると、対中国包囲網が本格化しそうな感じがします。バイデン米大統領オバマ政権の副大統領時代、「習近平国家主席と親しい」を売りにしていたほどむしろ中国派と言われていましたが、今は完全に中国に見切りをつけた感じ。反中国はトランプ時代の共和党だけでなく、与党・民主党議員も含めた米国全体の風潮になってしまいました。米国がNATOで一体の集団安全保障体制を取る欧州に中国が経済緊密化を迫ったり、米国の裏庭とも言われる中南米に手を出したりすれば、さすがに共和であろうと、民主であろうと黙ってはいられないのでょう。

 バイデンを怒らせた理由の一つは、大統領就任1カ月前の昨年暮れ、中国がEUに経済投資協定締結を迫り、合意に持ち込んだこと。国際協調派のバイデンが大統領になれば、米欧が再接近し、協定締結は難しくなると考えたのでしょう。欧州側の合意の主役はメルケルやフォンデライエン(EU委員長)という経済重視のドイツ人でした。他の欧州諸国は、経済のために人権は犠牲にできないという姿勢です。米国側は早速新疆ウイグル人の収容所隔離という”悪事”を欧州首脳に再認識させ、説得したため、EUが中国に対し制裁措置を取りました。中国側も報復措置に出たので、中欧協定の批准は結局、凍結となりました。

 中南米は米国のバックヤードカントリ-(裏庭国家)と言われています。かつてソ連キューバに手を出し、核兵器搭載のミサイル配置を考えた時、ケネディが烈火のごとく怒り、キューバ危機になったことは有名。これを見ても分かる通り、米国は自国の安保上、裏庭国家への他国の介入を許さないのです。ところが、近年、中国が中南米諸国に盛んに秋波を送り、ホンジュラスエルサルバドルなどの貧困国に対し、「ワクチンを提供するから台湾との関係を切れ」などと条件提示で接近を図っています。こうした横ヤリに米が目をつぶることはありません。

 国際政治的に見れば、米中の関係は今、「トゥキディデスの罠」状態に入ったと言えます。古代ギリシャで、スパルタ国が勢力を伸ばし、台頭してくることを快く思わないアテネ国がある段階でスパルタに戦いを挑んだことがありました。ハーバード大学の学者グレアム・アリソンは、新興国が既存の大国の存在を脅かそうとすると、大国は必ずつぶしにかかるということを一つの定型的な行動様式と考え、古代ギリシャの歴史家の名を取って「トゥキディデスの罠」という言葉を作りました。

 かつて、太平洋進出を狙った大日本帝国も、欧州で第三帝国を築こうとしたナチスドイツも米国にたたかれています。今の中国はまさに古代のスパルタや第二次大戦時の日本やドイツと同じような状態になっているため、米国は見過ごせないのです。中国がこれ以上の軍事拡張を図り、勢力圏を伸ばそうとすれば、戦争になるでしょう。習近平は米、欧州、日本、さらにはインド、オーストラリアなどを敵にして大戦争でも起こすつもりでしょうか。彼が言う「中国の夢」とは、国が破壊される危険性があっても強国になりたい、自身が世界の覇者になりたいということでしょうか。

 中国も今、それなりの経済発展を遂げており、中国人も現在の生活を犠牲にする戦争など真っ平でしょう。いかに発言、表現、報道の自由がない国とはいえ、諸外国に自由に旅行をし、諸外国の事情を見てきた中国人です。一方的な軍事拡張、それを引き金にした戦争など望むのでしょうか。ありえません。もし、そんな事態を招こうとする習近平政権に反対しない、できないとすれば哀れの極みです。

 米中対立で、米英などは今、マグニツキ―法という特定個人を対象にした制裁措置を実施しています。香港で民主派、学生に強硬姿勢で臨んでいる林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、息子が米国にいるので自由に米国に行きたいのでしょうが、彼女は今、マグニツキ―法の制裁対象者ですから、米国、英国にも行けず、米英銀行の口座も使えないようで、困っているらしいです。小生も口座を持つ香港ベースの銀行「香港上海銀行」は使えるかも知れませんが、、。

 大陸の共産党幹部でも米欧の銀行に預貯金をしたり、不動産を持ったり、子弟を留学させたりする人が多いので、マグニツキ―法の対象になれば困るでしょう。反対に、欧米人が中国側から個人制裁を受けても何も困りません。欧米人で中国の銀行に口座を持ち、大量に預金している人は稀有でしょう。中国の不動産も、土地が基本国有ですから、いつかは没収される危険性もあり、持ちにくい。ですから、互いに制裁合戦をして、どちらが困るかはすぐに分かることです。

 マグニツキ―法は、強硬政策、措置に関与する共産党幹部の家族、親戚も制裁対象になるケースがあります。習近平主席にとっても、娘をハーバード大学に留学させたほか、実姉斉橋橋の夫婦が米国に不動産を持っていると言われており、米国は親しみのある国でしょう。親戚、家族が制裁対象になって米国に行けなくなると困るのではありませんか。

上の写真は、夕闇迫る横浜みなとみらい地区の遠景。大さん橋に至る万国橋から撮影。

別涙 (わかれ) 因幡 晃 - YouTube

20歳台のころ、いろんな別れを経験しました。ですから、今この歌を聞くと、当時のことが蘇ってきます。米中も別れの時か。

A級戦犯の遺骨が太平洋に散布とは驚き

 第二次大戦後にA級戦犯とされ、死刑が執行された東条英機元首相ら7人の遺骨が米軍機から太平洋上に散布されたことが最近、明らかにされました。彼らが靖国神社の合祀から排除されたことは周知のことですが、小生、遺骨はどこにあるかなどについては正確に知りませんでした。熱海市にある伊豆山の興亜観音が靖国以後の合祀の場所と聞いていたので、そこに葬られているものと思っていましたが、太平洋散布とは意外でした。でも、戦犯者の墓地が造られ、のちのちそれが聖地化したら、占領軍の米軍にとっては困る。という意味からすれば、適切な処理方法だったと思います。

 A級戦犯7人は、極東軍事裁判でネックハンギング(絞首刑)が言い渡され、巣鴨プリズン内で刑が執行されました。その後、横浜の久保山火葬場でだびに付され、遺骨は米軍が持ち去ったとのこと。残った一部の遺骨が興亜観音に運ばれ、埋葬されたことは事実のようですが、米軍の持ち去った大部分の遺骨は行方不明でした。それが、戦後76年も経って、太平洋上散布と明らかになったのは驚きです。

 ちなみに、ベルリンの地下壕で愛人エバ・ブラウンとともに服毒自殺したヒットラーは、事前に部下に自らの遺体の焼却を命じました。イタリアの独裁者ムッソリーニが死後、街中で逆さづりにされたことを見ていましたので、ヒットラーは死後、自分も侮辱されるのを恐れたのでしょう。遺体は部下によって地上に運ばれ、ガソリンを撒いて焼却されましたが、それは不十分な焼け方で、遺骨は残りました。ソ連の公安当局が持ち去り、今でもロシア内にあるとされますが、詳細は不明です。

 ですから、ヒットラーには遺骨を納めた墓はありません。あったら、今でもナチ信奉者がいますから、聖地化されていたことでしょう。という将来の恐れを感じた米軍がA級戦犯遺骨を海上散布したのは”常識的な”処理方法かと思われます。中国では、死後も罪を追及する習慣があり、南宋の宰相秦檜などは国を売ったという汚名を着せられ、死後墓に唾を掛けられたり、暴かれたり、石像に縄を掛けられたりとさんざんな仕打ちを受けています。ですから、毀誉褒貶の激しい共産党の幹部であった周恩来も鄧小平も、死後の凌辱を恐れ、「墓は要らない。遺骨は海に撒け」と命じています。

 昨年7月亡くなった台湾の李登輝元総統は生前、「遺骨は玉山に撒いてほしい」との希望を伝えていました。台湾を心底愛した李さんらしい遺言です。が、結局、慣例によって政治家、軍人が多く眠る新北市の五指山共同墓地に葬られました。玉山は、真珠湾攻撃時の「新高山、登れ」の暗号で知られる4000メートル超の台湾最高峰の山。小生も登頂したことがありますが、台湾で一番美しい自然が残るところです。李総統はそこで永遠の眠りにつけなかったことが、さぞや無念だったでしょう。死後のことは、最後まで指図できませんからね。

 前にも書きましたが、小生も遺骨を山に撒いてほしいな、それも南アルプス甲斐駒ヶ岳に、と希望しています。高山植物が群生する仙丈ケ岳のお花畑でもいい。でも、日本では地上に勝手に遺骨を撒くわけにはいかないので、難しい。第一、3000メートル級の山に登ってもらうのも大変です。で、結局、京都の墓所か、それとも海に撒くことになるのかな。所詮、他人がやることなので、如何ともしがたいです。

 最近、同年齢の仲の良かった友人が亡くなったので、ついついそんなことを考えてしまうけど、彼岸に行くのは遠い先のことだと思っています。やり残したことがあるので、まだまだ死ねません。

 上の写真は、自宅マンション近くの家の外に植わっている芝桜と山吹。

若者接種が後回しになるのは政治的理由か

 北野武か誰かは忘れましたが、テレビで「日本でのワクチン接種はなぜ年寄が先なんだ。活動的でより感染させる機会が多い若者を先にするのが筋だろう」と言っていたのを記憶しています。その通りでしょうね。年寄(一応70歳以上とします)はもう十分生きてきたし、後の人生は余禄みたいなもの。であれば、今さら生きることにじたばたしてもしょうがない気がします。が、それでもワクチン会場には徹夜組も含めて、夜も明けないうちから並んだという老人もいて、いや、世の中には結構精力的というか、生に執着する人が多いんだなとしみじみ感じました。

 それだけ精力旺盛ならコロナを寄せ付けない免疫力もあると思うけど、、。それはともかく、なぜ老人の接種が先だろうという点を検証してみます。若者はコロナに感染しても、結構自力で、免疫力で回復することが多い半面、年寄は確かに感染した場合、重症化するケースがあり、病院に運ばれれば、エクモや集中治療室などを占拠する可能性が大です。つまり、老人の感染は医療現場のひっ迫を招く恐れがあるんですね。ワクチンは感染しても重症化を防ぐ効果があるそうで、その意味では老人に接種した方が医療現場にとっては好ましいのかも知れません。

 だが、老人は概して退職者が多く、定期的に通う場所を持っていないので、外に出ない。特に、感染を怖がる人は外に出たがらない。そんな人に先にワクチンを打ったところで、社会全体での効果は薄いような感じがします。それより、毎日満員電車に乗って、しかも密な状態にある職場で働くサラリーマンや、マスク予防などあまり考えず、盛り場で夜遊びする若者にワクチンを打ち、感染力を弱めた方が良さそうに思います。医師の間でそんな意見もあったと聞きますが、テレビのワイドショーでそんな議論は出てきませんね。

 天邪鬼的に勘ぐれば、政府が先に老人をワクチン接種の対象者にしたのは、非常に政治的な意図があったからではないかと思われます。というのは、若者世代はあまり選挙で投票所に行かない。半面、老人は政治的関心が高く、投票率も低くない。しかも2009年総選挙でも見られたように必ずしも老人イコール保守、自民党支持ではない。現行政治の良い、悪いを端的に評価し、投票行動に移す嫌いがある。そこで、政府・自民党もあと半年以内に実施される総選挙のことを考えて、老人を手厚く保護する姿勢を示さざるを得なかったのではないかと思われます。

 と言うことで、改めて最近のワクチン接種事情を見ると、地方の大規模会場ではそれほど人が混んでおらず、最初のころの押すな押すなの”盛況ぶり”は影を潜めた感があります。横浜のハンマーヘッド会場も結構透いているとのこと。ある情報によれば、日本でワクチン接種を受けたくないという信念の忌避派が全体の4割弱いるとのこと。小生が昨日飲み会をした女性3人も信念の忌避派でした。逆に、我先に打ちたい人たちが3割程度、あとは小生を含めてどうでもいい、いつでもいいという人が3割程度と見ると、6月も半ばに入れば、積極派はすでに終わり、もう中だるみの状態に入ったのかも知れません。

 信念の忌避派で思い出しました。ニュースを見ていたら、京都府伊根町で、12-15歳の子供たちにコロナの集団接種を進めようとしたところ、「子供にワクチン接種は止めろ。やったら殺すぞ」という脅迫状が町長のところに舞い込んだそうです。町役場は町民に良かれと思い、粛々と行政を進めているのであって、町長を脅迫するほどのことではない。もし子供本人、あるいはその父母がワクチン嫌いなら、自分だけ拒否すればいいだけのことであって、接種を受けたいという子供やその家庭まで巻き込むことはないと思います。

 ちなみに、小生は、昨年秋インフルエンザの接種をしてもらった近くの行きつけの町医院にコロナワクチン接種を頼みましたが、このほど第一回目は6月下旬、第二回は7月中旬にできるとの通知が来ました。神奈川県は遅いと言われていますが、その通りでした。あまり外に出ない老人にとっては大した遅れではありませんが、、。

 上の写真は、小生の散歩コース、伊勢佐木町モール裏手にある長者町商店街の壁に書かれた絵。

(1) 少しは私に愛をください - YouTube

 井上陽水来生たかお小椋佳という豪華3人の出演。

五輪開催中止社説なら、取材はやりにくい

 週刊文春によれば、朝日新聞は、今夏のオリンピックを中止すべきだという開催反対社説を書くか書かないかで社内で意見対立があったそうです。反対社説推進派は「世論調査では、今、コロナ禍で五輪どころではないだろうという開催反対論が多数を占めている」ことから、それに迎合したものと見られます。でも、運動部や社会部が反対社説掲載の反対を訴えたとのこと。最終的に、5月26日の紙面で反対社説が掲載されたようですが、小生はこの新聞を購読していないので、伝聞でしかありません。

 運動部や社会部がなぜ反対したのか。それは朝日自身が夏の甲子園を主催しており、「甲子園は良くて、五輪は駄目」というのでは説得力に欠けるとの観点からです。しかも、今、IOC菅総理は「あくまで五輪開催」に向けて突き進んでおり、開催となる可能性が大。大新聞が主張したからと言って、その通りにはならない。そこで、五輪が予定通り始まれば、国内は熱気に包まれるのは必定で、中止論を掲げたメディアとしては立場が微妙になり、記者はどう取材していいのか戸惑ってしまうでしょう。

 「やったぞ、池江璃花子」とか「魅せた、内村の鉄棒美技」とか「上野躍動、ソフトボール女子またもや金」などという、イケイケどんどんの見出しが躍る大々的な紙面展開ができないのではないか。一方、取材を受ける選手側にしても、開幕直前にテンションを下げるような開催反対社説を書いた新聞社の記者には快く応じられないのではないか。朝日の記者は、主張と紙面の矛盾を背負いながら、苦しい取材になることは目に見えています。運動部や社会部が開催中止社説に反対したのは、そうした状況を想像したからでしょう。

 ところで、何でいきなり開催反対の社説になるのでしょうか。この社の圧倒的多数の読者の思考に迎合したためか、紙面の広告主(多くは五輪のスポンサーでもある)の反対があっても購読料だけで経営が成り立つという自信があるのか、それとも、政府自民党のやることには何でも反対したいという、この社独特の上から目線なのか。もっと柔和な形で社説を掲げ、最初から開催は駄目などと言わないで、コロナ禍の中で開催するには十分な対応、対策が必要という観点から、建設的な意見、こんな感染防止があれば大丈夫といった方法論を展開して欲しかった。

 何でもかんでも反対では共産党立憲民主党と同じです。この両党はこぞって今夏五輪に反対しているとか。毎度おなじみの共産、立憲、朝日、TBS(特にサンデーモーニング)の一見進歩的文化人風の”左傾一団”の共同歩調には、もううんざりです。何でも反対では事態を現状にとどめるだけで、進歩がない。超保守主義者に過ぎません。国民はそういう政党やメディアには魅力を感じないのです。一割の瑕疵があっても、九割の進歩が見込めれば、国民はそのトレンドを支持することを理解して欲しいと思います。

 菅総理の支持率低下にもかかわらず、自民党の支持はなぜか4割を維持し、本来ゼロサムで増えるはずの立憲民主党への支持は7%程度に低迷しています。国民の多くは、共産党や昔の日本社会党と変わらないと思っているからです。2009年総選挙で民主党が勝った時のように、立憲党は現実的な政策を主張し、そのスタンスを取ってください。今、野党第一党であり、場合によっては自民党に代わって政権を担わなければならない政党なのに、今のままでは信用されません。偉そうな割には内容のない蓮…とかいう女性議員の国会質問ばかり見せられては、政権奪取は難しいです。

 新聞の話に戻ります。新聞は今、ますます読まれない傾向にあります。朝日新聞の発行部数はかつての700万部以上から現在は500万部強。2021年3月期の連結決算で、純損益が441億円であったそうな。新聞が読まれないのは、紙媒体全体の傾向であり、独り朝日に限ったことではありませんが、とりわけクォリティーペーパーと呼ばれた朝日の部数減が目立つのは、その唯我独尊、上から目線のせいかも知れません。

 上の写真は、町田市の郊外に遊びに行った時に寺で見た赤い花。

大橋純子 シルエットロマンス - YouTube

 歳相応になかなか魅力的な歌いっぷり。

台湾有事はすなわち「日本有事」ではないのか

 中国が今、豊富な金やワクチンを使って全世界的に影響力を行使しようと暗躍し、特にアジア太平洋地域では圧倒的な軍事力を背景にして周辺国を支配下に置こうとする姿勢も見られます。特に、台湾については、前にも書きましたが、「離婚(分離、独立)は絶対に許さない」と叫ぶ暴力亭主のごとく威圧的な行動を繰り返しています。その話の続きでもあるのですが、万一中国が軍事力を使って台湾の併合を図ろうとしたときに、日本がどう出るべきかが今、問われています。端的に言えば、台湾有事は即日本有事であるのかという点です。

 20世紀の”日中友好”の時代では、「台湾は中国の一部であり、何があってもそれは中国の国内問題」と考えていた日本人が結構多かったように思います。ところが、中国が21世紀になって軍事力を増強、尖閣諸島にちょっかいを出し、ひょっとすると、上陸作戦を展開するのではないかという状況になってきました。そこで、中国は今や、日本側に軍事的な隙が見えれば、日中友好など配慮せず、経済サプライチェーンを犠牲にしても、いつでも実力行使に出る構えになっていると考える人が支配的になってきました。

 われわれは、領土的な現状変更も辞さないという昨今の中国の姿勢を目の当たりにし、国家の利害関係で相手の「良心」とか「善意」とかに甘えてはならない、国際政治は非情なものなんだという点を感じるようになりました。改めて地図を見るまでもなく、尖閣諸島先島諸島が台湾にとても近いことから、尖閣への脅威はすなわち台湾有事に関わる、すなわち台湾有事はイコール日本有事なんだという考え方が支配的になってきました。片や、「台湾有事で日本が戦争に巻き込まれる」といったノー天気な”巻き込まれ論”を展開する人はごく少数派になっているように思われます。

 そこで近年、最南端の与那国島自衛隊の通信部隊が駐屯したり、宮古島にミサイルが配置されたりしていますが、地域の防衛上とても時宜にかなった適切な対応かと思われます。まだ、いわゆる評論家の何人かは「中国が日本に攻めて来ることはない」と高を括っているし、一部は「いたずらに中国を刺激してはならない」との期待論も見られます。これらの論の根拠は国家関係においてまだ相手の善意にすがっているところがあるからでしょう。この発想のベースは、「平和を愛する諸国民の公正と信義に依拠して」という日本国憲法の前文を金科玉条のごとくに考えていることにあると思われます。

 本来、理想主義は素晴らしいことであり、いつもわれわれは究極の理想を頭のどこかに置いておく必要があります。ですが、現実には他国の物を掠め取ろうとするこすっからい国、世界平和の維持という理想など少しも考えない国があることをしっかり認識し、それに対応しておかなければならないのです。過度に他国の善意に依拠すると碌な結果になりません。潜在的な敵対国に勝手な行動を起こさせないための抑止、軍事均衡が重要です。こうした考え方は、第一次世界大戦からわずか20年で第二次大戦が起きたという経験から、E・H・カーやハンス・モーゲンソーらの国際政治学者が再三指摘してきたことで、今や国際政治思考の主流となっています。

 でも、ノー天気な人は「こちらが攻撃的姿勢を示さなければ、相手もそうならない」という理想主義から離れられないのです。こうした輩は得てして「ダチョウ族」の部類に入ります。駝鳥は怖いもの、見たくないものを見ると、頭を地面に突っ込み、現実から逃れようとする。「中国の尖閣侵攻などありえない、幻だ」と考える人はダチョウ族なんですね。

 どこかのばかな新聞社は、世界で小競り合いが起きるたびに「当事者同士でもっと話し合いを」と呼び掛ける社説を出しますが、話し合いで解決できるのであれば、端から対立、衝突など起きないし、ましてや一方的な侵略に対し話し合いなどできるものではありません。さすがに昨今、中国の尖閣侵攻を見て「もっと話し合いを」というメディアはなくなりました。現実を見る目が出てきたからでしょうか。理想だけを語り、現実を見ない新聞は読者を失うだけです。

 上の写真は、横浜みなとみらい地区のショッピングセンターに登場した「進撃の巨人」。プロ野球の巨人は嫌いだが、こちらはいい。

「マスクは人間力を落とす」はその通り

 先般、テレビのワイドショーを見ていたら、栃木県日光市内の小学校校長が「マスク着用は人間力を落とす」として基本的に学内ではマスクを禁止していたそうです。ただ、この校長は父母会の反発があったのか、その後退職。後任校長は県教育庁の指示に従い、改めてマスク着用を義務付けたそうです。それぞれは一つの教育方針であり、正否は言えないと思いますが、困ったのは児童です。家の父母に従うのか、校長の指示を受けるべきか、かなり迷ったことかと思います。

 お前はどちらの方針を支持するかと問われれば、小生はどちらかと言うと、マスク嫌いなので、事前にしっかりとした対策を講じていれば、着用なしでもいいのかなと思います。ただ、学校教育の場では統一性が必要です。これは教育基本法で決まっていること。基本法がある限り、私立学校でも勝手は許されませんが、公立学校では特に。ですから、学校長一人の恣意的な判断、勝手な振る舞いは困るということでしょう。

 ところで、学校長の言う「マスクは人間力を落とす」という言葉はどうか。小生は真実を突いていると思います。目は口ほどに物を言うという言葉があります。一面真理ですが、人間性というのは目だけでは分かりません。口元のほころびやほほのゆるみ、さまざまな顔の造作全体で相手の考えていること、感情が理解できるものです。ですから、われわれは普段、相手の顔全体で、この人の言っていることは真実か嘘かを判断し、その後、その判断が間違っていれば、経験的にどの造作を見れば、より真実に近づけるか分かるようになると思います。

 さらに、顔全体を見れば、この人は本当に僕に好意を持っているのかとか、何となく疑いを持っているとか、毛嫌いしているのかとかも分かるはずです。それが分かれば、その後、この相手にどう対処していくべきか、どう付き合っていくべきかを知るよすがになります。そういう意味で、経験値で判断力を養う、校長が言うところの人間力の向上につながることは確かだと思います。でも、このコロナ禍の時世、マスクは必需品となり、しばらく人間力観察も我慢しなくてはならないのは残念です。

 コロナ禍ついでに、ワクチンの話。医療従事者に続いて、小生ら老人にもやっと接種が許されるようになって、同年齢の友人たちも先を争って自治体の電話、サイトに申し込んでいます。なかなかつながらないとのこと。でもつながった時の喜びようといったら、他に類を見ません。それはそれで幸せなことです。で、お前はどうかと問われると、申し込みにあまり熱心ではなく、これまで自治体にアプローチしたことはありません。いずれ自分の番が回ってくるし、それまで外出時はマスクで我慢しておけば良いと思っていますので。

 でも、小生はもともとワクチン恐怖症患者でも、否定論者でもないので、いつかはワクチンを受けるつもりでいます。そこで、普段インフルエンザ注射や、風邪の時に薬の厄介になる近所の町医者に内人がたまたま聞いたところ、「こちらでも接種できますよ」ということで2人で一応申し込んでおきました。町医者にワクチンが入るのは確かな予定がない感じで、接種日時は設定されませんでした。恐らく1回目は6月末か7月になりそうです。あと一カ月の辛抱?これまで待ったのですから、今さら慌てたってしょうがないと思っています。

 巷間、話題になっているのはワクチンの種類ですね。今、日本ではアストラゼネカも、モデルナも承認され、ファイザーだけではありません。アストラゼネカは、副作用として脳血栓の恐れがあるとして老人への接種はなさそうですが、少なくとも自分が選ぶメーカー品は打てそうにないでしょう。それでも、小生は感染リスクが1%でも減るのであれば、どのブランドでも受けようと思っています。信頼性、政治的な観点から、中国とロシアの製品だけは御免被りたいですが、、。

 今さら副作用や死を怖がって、「……のメーカーでは駄目とか」「一日も早く打ちたい」などとは考えていません。もうそれなりに生きてきたし。むしろパブリックサーバントの人たち、多くの人と会話を交わす接客の人たちに早く打ってあげてほしいと思います。ですから、首長が先に打ってもいいじゃありませんか(チャーリー浜ふう)。いや、首長どころか、役所職員全員を先にしてもいいと思います。

 上の写真は、横浜・野毛山公園に咲く小生の好きな花、紫陽花。野毛山はこれでもかというくらいに紫陽花に覆われています。

(1) Rolando Villazón sings "Je crois entendre encore" - YouTube

アジア系人種攻撃の標的は中国人か日本人か

 米ミネアポリスで、黒人のジョージ・フロイドさんが警官の不適切拘束によって死亡してから丸一年が経ったということで記念集会が開かれました。でも、こうした事件を見ていつも思うことですが、これって本当に黒人差別なのか。容疑者らしき人が黒人だから、足で踏みつけるような抑え方をしたのか。もし、容疑者が白人だったら、白人警官はあんな行動を取らなかったのか。その辺が小生には分からないのです。やはり、米国では黒人の犯罪率が高いということが背景にあるのではないか、だから警官も過剰な対応になってしまうのではないかなどと、小生は考えてしまいます。

 黒人の犯罪率が高いのは、歴史的病弊が根っこにあることは否定しません。それによって概して貧困状態に置かれ学歴が持てない、良い就職ができないということも承知しています。でも、生活環境が悪いのは不平等な社会が原因だから、犯罪に及んでもいいということにはなりません。もともと米国は、レッセフェール(自由放任)の社会です。貧富の差はたぶんに個人の才能、努力によるものであり、必要以上にこの格差是正に動いたら、硬直した社会主義社会になり、活力を失うということも考えておかなくてはならないでしょう。

 ただ、黒人に限っては、もともと希望に胸を膨らませて、好き好んで米国に移住してきたわけではない。最初は奴隷という形で強制連行されてきたのであって、政府はその責任上、黒人の社会的条件の底上げを図るため多分に介入、是正措置を講ずる必要はあります。フロイド事件のような犯罪が起きるたびに、「差別反対」などという声が高くなりますが、米国人一人ひとりの優等意識、差別意識なんてそう簡単に変わるものでもない。ですから、国家が制度的に黒人の貧困をなくすための策を講じ、社会全体の意識を変えていくことも考えないと。これはレッセフェールに反しますが、しばらくはやむを得ない措置ではないかと思います。

 それはともかく、米国内で今、われわれ黄色人種、アジア系の人間に関わる事件も起きています。なぜだか、街を歩いているアジア系の人間を見ると、やたら暴力を振るう輩が出てきたのです。ニューヨーク市内で見ると、今年に入り4月初めまで、この種の犯罪の発生数が昨年の5倍の多さだというのです。いったい何が原因なのか。一番に考えられるのは、新型コロナウイルスを世界に流行らせた元凶は中国人だということで、彼らを狙った攻撃との見方です。テレビで放映された監視カメラ映像を見ると、襲撃者に黒人も加わっています。となると、単純な人種差別的行動でなく、明らかに特定国家を狙った嫌悪感の発露とも見受けられます。

 トランプ政権時代に、世界に軍事的進出を図り、「債務の罠」で貧困国の利権を奪うような中国の覇権主義的”悪事”が米国内で喧伝され、米政府は中国を標的に政治的、経済的な制裁を加えました。バイデン政権でもその姿勢は継続されています。こうした思潮が一般市民の中にも蔓延しているようで、中国人嫌悪感が増長しているように見受けられます。そこで、中国人攻撃に出ているのか。でも、米国人からすると、中国人も韓国人も日本人も、さらには東南アジア系の人たちも見わけがつかないですから、日本人が襲撃事件に巻き込まれる危険性は大です。

 いや、ある人に言わせると、実は日本人が攻撃の標的になっている可能性もあるとのこと。米ゴルフ界最高の大会であるマスターズで日本人が優勝、テニス界でも大坂なおみ全米オープンなどで勝ち、大谷翔平ベーブルース以来2人目という二刀流の活躍で、メジャーリーグを席巻しています。アジア人種、特に日本人などは一段劣るとひそかに思っていた人たちがこうした光景を見て不快に思っていることが背景にあるという説です。であるとすれば、日本人もそうと分かった時点で襲われる恐れがありますので、困ったものです。今、コロナで米国旅行ができないのがせめてもの救いですか。

 上の写真は、横浜みなとみらい地区で本格的に動き出したエア・キャビン。