つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

やはりニセ教育、郷中教育が必要か

 まだ中学3年生14歳の藤井聡太四段が昨年末にプロ入りして後、負けなしで29連勝を重ねています。大相撲で言えば、前相撲を終えて序の口の番付に載ったばかりの力士が古豪の幕下、十両クラスを負かし続けているようなもの。プロ野球だって打者が29回続けてヒットを打つ、投手が登板しては勝ち続けて29連勝というのは大変な大記録ですが、今回の記録はそれに匹敵するくらいで、ちょっと信じられません。
 まあ、連勝の新記録もさることながら、驚かせるのは藤井君の勝利後のインタビューの受け答えがいずれも素晴らしいこと。「ラッキーだったとか」「どうにか勝てました」とか、相手のことを考えて驕ることなく言葉を選んで、冷静に、謙虚に、丁寧に答えています。これ一つとっても素晴らしい少年であり、今後多くのファンを獲得することでしょう。
 今、豊田真由子議員が週刊誌やワイドショーをにぎわせていますが、藤井君の態度はあのバカ女(敢えて言わせていただく)の横柄、横暴さに比べて、対極の位置にあると思います。小生の中学校時代を振り返るに、藤井君のようなあんなきちんとした発言と態度が取れていたか、まずなかったと思います。社会人になっても未成熟でして、還暦を迎えてやっと少し落ち着きが出てきたかなという状態です。
 一般に、若いときは少し自信過剰になり、横柄なところがあっても仕方ないと思いますが、テレビに登場するような一芸に秀でた最近の子供はみな態度がしっかりしているように感じます。フィギアスケートの羽生選手、プロ野球日本ハムの大谷選手、卓球の10代選手しかり。もともと親のしつけがいいのか、コーチや仲間の指導がいいのか。
 まあ、一芸に秀でる人は幼い時代から一定の枠の中に閉じ込められ、その中で純粋培養的な教育を受けます。そういうシステムがいいのかも知れません。昔、薩摩藩などは「ニセ(二才)教育」「郷中教育」というのがあって、15歳以上の若者が共同生活する中で先輩が後輩が指導する独特のシステムがありました。地方などには今でもそういう組織が残っているように聞きます。
 現在、優秀なスポーツ選手、あるいは芸能、演芸関係のトレーニーは皆スポーツアカデミーや、学校、訓練校、プロダクションの寮などで集団生活を経験しているケースが多いようです。家庭の中ではどうしても親が子供を甘えさえてしまい、人間的に成長できないところがありますが、厳しい指導者、先輩がいる集団生活があれば人間の成熟度が早まることが考えられます。
 一芸に秀でた子供、あるいはそれを目指そうとする子供はこうした経験でますます人間が磨かれるのに対し、家庭で甘やかされて育った子供はいくつになっても精神的成長が見られず、一定の技術も習得できない。今の子供たちを見ると、二極化が進んでいるばかりか、その両極間はますます大きな開きが生じているように思います。


 上の写真は、市川の大学の行く途中で見かけた紫陽花。ブルー紫陽花は特にきれいですね。