つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

3補選で自民党が負け、関心は「who is the next?」

 昨日、投開票が行われた長崎、島根、東京の衆院補選で、いずれも野党・立憲民主党候補が勝ち、自民党勝利者はゼロでした。世間はやはり自民党の派閥パーティーに絡む裏金問題に厳しい目を向けており、有権者がお灸を据えたのだとの見方がメディアで共通していました。確かに、そうした面は否めません。ただ、一部には「これでひとまず禊(みそぎ)は済んだ」とむしろ、有権者の怒りを吐き出させたことで一安心している他の自民党議員もいるでしょう。選挙とは魑魅魍魎です。

 一応自民党の”党友”でもある小生の目から見ると、長崎3区の結果はある程度予想の範囲内でした。なぜ自民党が候補者を立てなかったと言えば、実はこの選挙区は次期衆院選で隣区と合併して定数減となるので、なまじ自民候補者が当選すると、合区になる自民党議員とのコスタリカ方式などの調整が強いられ、面倒になるのです。ですから、自民党にとってはむしろ勝たない方がいいのです。自民党は次回の衆院選で合区となる新選挙区で、今回勝った立民の議員を破る戦略を考えていることでしょう。

 東京15区で自民党は最初から候補者を立てなかったのは、裏金と関係ない他の事件で立件された自党候補者がいたので、状況悪しと考えたからでしょう。それで「五体不満足」の乙武洋匡を推薦する予定でしたが、「汚れた自民の世話などになれない」とばかりに乙武だか支持母体の都民ファースト党だかが断ったもようで、結果、自民党はまったくの自主投票になってしまいました。乙武が5位と低迷したのは都民ファーの党首である小池百合子都知事学歴詐称問題も影響したのかも知れません。ちなみに、詐称問題は法廷にまで落ち込まれる見込みで、7月都知事選での小池の3選は無理でしょうね。

 東京15区補選の投票順位で小生が驚いたのは、2位に元プロレスラー(格闘家)の須藤元気が入ったこと。この男、れいわ新選組の推薦を受けたようですが、ある意味まったくの無所属で素人政治家。であるのに「えー、次点になるのか」と驚きました。現職の参院議員の地位を捨てて挑戦した須藤に世間は同情したのかも知れませんが…。でも、石川県知事といえ、須藤といえ、なんでプロレスラーばかりに政治人気が集まるのか不思議です。

 小生は、2位に「維新の会」の金沢結衣候補が入るのかと思っていました。でも、同じ保守系として日本保守党の飯山陽、参政党の吉川里奈と2人の女性候補や元汚職議員がいたため、保守票が分散されてしまいました。そこでメディアでは、もともとの自民党支持票の行方はどうだったかの分析もありました。やはり、保守系の金沢、飯山、吉川、乙武に分散されているんですが、驚いたのは2割くらいが立民酒井に行っているんですね。安全保障政策にいい加減な立民候補に、どうしてもともとの自民支持者が投票するのか、理解に苦しみます。

 さらに驚くことは、補選3つの区の中で一番注目されたにもかかわらず、東京15区の投票率は40%強という低率だったんですね。前回総選挙では6割以上あったのになぜという感じ。この理由として考えられるのは、まずゴールデンウイーク真っ最中、しかも天気がいい絶好の行楽日和であったため、選挙などに行きたがらなかったこと。2つ目はもともとこの選挙区は自民党議員の地盤であり、保守系が強い。ですが、自民党が候補者を出さなかったことで、一定の有権者は、投票する気が起きなったのではないかと考えられます。

 さらには、保守系候補が乱立したことでだれに入れるかで迷い、結局棄権してしまったのではないか。立民の候補者は元江東区議で以前の衆院選でもこの選挙区で立候補した経験があり、その意味では見知った顔。他の候補者は汚職の元自民議員を除いてすべてよそ者。投票した有権者は一番その辺の事情を考慮したのでしょう。でも、ここはもともと保守の地盤、裏金のほとぼりが冷めた次回選挙でどうなるかは分かりません。

 自民党にとって一番ショックだったのは島根1区補選の結果でしょう。勝利した女性候補は元議員であり同情が集まったこと、元津和野藩の殿様の家系であり、田舎特有の貴人への尊敬心があったことが大きかったと思います。で、自民候補は地元出身の錦織とかいう元官僚。裏金問題で大変な時に、当たり障りのない無難な官僚などを候補者にしてどうするのか、小生には信じられなかったし、この候補者の顔、姿は官僚そのもので庶民的なイメージは微塵もない。

 自民候補に比べれば、貴人とはいえ、丸顔で愛嬌のある立民の亀井亜紀子候補の方が魅力的に感じられます。自民側はIT関係者とか、面白い起業家とか、ユニークな学者とかの担ぎ出しを考えなかったのか。結果は僅差どころか亀井の圧勝でした。保守王国にとっては予想外のことで、島根県連は、次期総選挙でよほど良い玉を考えないとストライクバックはできないかも知れません。

 でも、今回の3補選で裏金問題に対する庶民の怒りがある程度具体化されたことで、次回総選挙まで残らないと思っている自民関係者も少なくありません。自民党は裏金問題のほとぼりが冷めるのをじっと待っています。ですから、当分解散・総選挙はできない。しかも、岸田首相下での総選挙は絶対無理と多くの議員が思っているでしょう。つまり、岸田の命運は今秋総裁選までで、そこで新しい総裁を選び、その新政権下で総選挙を行うことになるんでしょうね。で、われわれの関心は「who is the next?」。

 上の写真は、4月末、桜木町・野毛地区で行われた大道芸フェスの一場面。