つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

小選挙区制の歴史的使命は終わった

 今日、小生も幹事の一人になっている勉強会の2次会飲み会で、日本の選挙制度が話題に上がりました。現在、衆議院は小選挙制を取っていますが、これは失敗ではないのかという意見が多かったです。本来、小選挙区制は政権選択を迫る二大政党制を志向する制度なのに、今現在の状況を見ると、自民党の一強を作り出すだけです。二度と自民対抗政党が出ないことを考えると、かの歴史的使命は終わったのではないかとしもじみ思うのです。
 2000年代に入り自民党に対立する民主党という選択可能な政党が現れました。そこでわれわれは、欧米並みの2大政党制が確立されるのではないかとの期待を持ちました。小選挙区制は1人だけの当選ですから、立候補者にとってまさに生きるか死ぬかの選挙。自民法案に対し民主党が対抗法案などを用意し、切磋琢磨してかなり良い状況が作られたかに思いました。
 その結果、民主党政権が誕生したわけですが、残念ながら最初の首相が鳩山由紀夫という安全保障などまったく分からないとんちんかんな御仁であったのが不幸の始まり。続く菅などという自己顕示欲が強い割には官僚に嫌われ、彼らを動かせないトップが出てきて、2011年3・11の大震災、原発事故対応で遅れを取りました。野田佳彦氏も、唐突な尖閣諸島国有化で中国の反発を買って日本を苦境に陥れました。
 民主党3代の政権で、自民党以外の政権は駄目という烙印が押されてしまったのです。以後、民進党などと名前を変えても選挙民の信頼は戻らない。挙句に、国民民主と立憲民主という2つの政党に分かれてしまいました。この2つの政党は次期国政選挙で、再び統一候補を立てようなどと画策していますが、これは却って民主党民進党の再来と見られ、受け入れられそうにありません。
 野党第一党立憲民主党の枝野代表は、今後自民党の提出法案に対抗する案は出しませんと強調しています。これは、旧社会党のように徹頭徹尾、政権党を批判するだけの「野党」のままでいいと宣言しているに等しい。政権奪取などみじんも考えないのでしょう。であれば、小選挙区選挙はもう政権選択でなく、ただの自民党の信任投票でしかなくなりました。これでは、小選挙区制を導入した本来の意図から大いにずれてしまいます。
 安倍首相は信頼できない、自民党の当該選挙区候補者も好かない、でも自民党政権の在り方は支持するし、何でも反対の野党には入れたくないという国民は多い。今日の飲み会参加者の中にも、そういう理由で投票したい候補者がいないので、選挙に行っても白票を投ずるという人がいました。正直、小選挙制は積極的な投票行動に駆り立てるシステムではない。これは非常に不幸なことです。
 その点、中選挙区制度であれば、自民党が複数の候補者を立てるので、自民党政権を支持する選挙民にも選択の幅が広がりますし、候補者も同じ政党内で切磋琢磨させられる。われわれにとっては良い制度だと思います。第一、国政を論じる衆院議員の選挙区が市長や区長のそれより小さく、”どぶ板”まで意識しなければならないというのはどう考えても不自然です。もうそろそろ中選挙区制への復活を考えてもいいのではないかと思います。

 上の写真は我が家の愛犬マオ。