つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

ホームレス番組でますます興味が沸いてくる

 やはりユーチューブは面白い。歌も演歌、民謡、洋楽、オペラなどさまざまなジャンルがあるし、カラオケ用の映像もあります。一時時代劇にはまり、中村敦夫木枯らし紋次郎を集中的に見ていました。中村の演じる上州新田郷の紋次郎はニヒルな股旅男で、なかなか引き付けられます。で、小生が最近よく見る動画は河川敷などで仮りの宿を作って生活しているホームレスの取材番組。小生はホームレスをする人間、その人生、仮の宿の状況などに興味があるので、「下町ぶっとびTV」とか「今日一日見ても良いですか」などをよく見ています。

 かつて小生も、アウトドア好きの友人に誘われて日本各地を旅し、道の駅などでテントを張ってキャンプをした経験があります。ですから、屋外で寝るという生活はある程度理解できます。一日や二日ならそれなりに楽しい〝非日常”です。ですが、それを何年もやるというのは正直実感できません。特に小生は寒いのが大嫌いなので、仮宿の冬は辛いだろうなとしみじみ思います。

 でも、ある人に言わせると、寒い方は防寒をしっかりすれば我慢できるが、暑い時期の方がもっと厳しいとか。確かに最近の夏の暑さは尋常でない。夜間でも30度を超えているのですから、仮宿の狭い空間で暑さの中寝るのは寝苦しいことこの上ないでしょう。それに、風通しをよくするために外との遮蔽シートを取り外せば、蚊やごきぶりなどの虫が入る、あるいは、ネズミやタヌキなどの野生動物が侵入するということもありましょう。正直いって安眠はできないでしょうね。

 で、ホームレス取材番組ではカメラが彼らの「やさ」の中まで入り込み、寝所まで映し出します。それを見ると、結構小ぎれいにしている人、ごみ屋敷になっている人とかさまざまですが、どのやさもベッドは高床式になっており、布団もふわふわ、結構温かそうな寝所になっていることに驚かされます。やはり、健康を損なえない状態にあるホームレスにとって、寝ることの重要性を十分認識しているということでしょうか。

 何本かの番組を見て理解できたことなんですが、ホームレスには一定の共通性があります。その第一は、彼らは皆外見上小ぎれいな服を着ていること。昔の乞食のように何日も風呂に入らず変な臭いがするような、むさくるしい恰好の人は見あたりません。定期的に銭湯に通い、服も適時洗濯している様子が画面上からも感じ取れます。それは、生活費を稼ぐために、買い物をするために、ある程度外の人のつながりを持たなくてならないことと関係しているからでしょうか。

 「下町ぶっとびTV」のレポーターは特にしっかり対象者を取材していて、その聞き方が実にうまい。最初に仮宿の構造、内部がしっかりしていることをほめ、そして小屋周辺に置いてある物などについて質問し、親しげの会話の中で徐々にホームレスと心を通わせ、そのあと、相手の経歴などを聞き出していくのです。その方法が巧みだ。小生が現役記者の時にこれほどうまく取材できたかなと、今さらながら忸怩たる思いが出てきます。

 ホームレスの歳はやはり60歳過ぎの人がほとんどで、荒川、江戸川河川敷の住人はなぜか東北出身者が多いとか。あるホームレスは「福島と山形出身者が多い」とか言っていました。真実は分かりませんが、それが事実なら、東京の東部が距離的に東北地方に近いせいもあるのでしょうか。ほぼ全員が男性ですが、中には女性もいる。だが、女性一人の仮宿では危険性があるのか、完全一人というのはなく、夫婦であったり、他の男のホームレスの保護を受けたりしています。

 彼らの生業は、日銭稼ぎのためにアルミニウム缶を集めて業者に売るというのが一般的。それで、一日4-5000円ほど稼ぎ、スーパーで食材を買い、仮宿で炊事している方が多いように見受けられました。意外にも、生活保護を受けたり、他人の施しを受けたりしていない。それを潔しとしていないようです。結構、仮宿には役所の福祉担当者、キリスト教系事業団、河川事務所の職員が巡回見回りに来るらしいのですが、皆窮状を訴えるようなことはしない。

 多くは仮宿に猫を飼っていました。恐らくネズミやその他の動物の侵入、襲撃を防ぐ”ガードマン”的な役割も期待しているものと思われます。外見は小ぎれいなのですが、彼らに共通しているのは皆,歯が欠けていること。きちんと毎日歯を磨いてないので歯槽膿漏になったのか、ほぼ全員が犬歯を除いて前歯がない。これを見るにつけ、やはり(小生も含めて)老齢になったら、定期的に歯医者に行き、チェックしてもらわなくてはと感じました。

 そして、一番知りたいのは福祉団体の保護を受けないで、なぜホームレスになったのかという点。「下町…」のレポーターは必ずそれを聞くのですが、われわれも大変興味のあるところです。で、その答えの多くは「人と交わることが嫌、面倒くさい」「職場にいて人間関係が嫌になったから」。ですから、彼らは一人でいることを苦にしないのです。近くに同じようなホームレスがいても、友達にならないどころか、関心も持たない。確かにそういう孤独に耐えうる人でなければ、世間から離れた河川敷の”一軒家”で何十年も一人で生活するというのは難しいでしょう。

 上の写真は、3月末に神田・神保町であった中国料理店での宴会での料理とデザート。上の杏仁豆腐の上の「大谷翔平」はここのマスターがファンゆえか。下の方は、高級料理の蒸した「いしもち(ガルーパ)」。この身と汁をご飯にかけて食べるとうまい。