つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

人生は暇つぶしと言っても、ばくちでいいのか

 イヤー、驚きました。いつも最初にこのフレーズを使っているけど、今回は本当に驚きました。それは、大谷翔平の通訳の水原一平が違法賭博に関与してことでドジャーズから解雇されたこと。昨日朝のワイドショーを見ていたら、「水原解雇」との速報が入ったのですが、最初はどういう意味か分かりませんでした。奥ゆかしい顔をし、かいがいしく大谷の面倒を見ていましたので、なかなか好青年だなと思っていたのですが、陰ではとんでもないばくち打ちだったんですね。恐れ入りました。

 彼は、いつも大谷と一緒にいることで、自分が7億ドルの契約金をもらったと錯覚してしまったのか。こういう普段一緒にいる人間と自分を混同してしまう人は、小生が以前いたメディアの世界でも見られました。政治部の記者連中です。いつも政治家を取材対象とし、国会議員と対等な感じで話しているために、自分も偉くなったように錯覚し、服装もストライプ入りの派手な三つ揃いの背広を着たり、やたら傲慢に天下国家を論じたり、しゃべり方も上から目線で話したりする人がいました。われわれ社会部育ちの記者はもともと地べたをはいつくばって取材しているので、彼らの姿勢には違和感を持ちました。

 大谷のドジャーズ契約金7億ドルというと、今日のレートの1ドル151円で換算すると1057億円の勘定。1ドル150円なら1050億円。つまり早い話が、対ドル1円安で7億円の差益を生んでるんです。大谷の口座から水原が無断借用していた金は450万ドルというから、日本円で6億8000万円弱。大谷にしてみれば、日本円が一円安くなれば、そのくらいで十分補える額なんです。でも、大谷の今の生活は米国であり、ドルで生活しているわけですから日本円は関係ない。水原が詐取した金も米ドルだから、為替によって変化があるわけではないんですね。

 小生はばくちが嫌いなので、ばくちにのめり込む心境が分かりません。散歩でよくパチンコ屋のトイレを借りることがありますが、その時に昼間っから、熱心に台に向かっている人を見かけると、うんざりします。と同時に、その人が儲けているか、損しているかに関係なく、人生の貴重な時間を無駄にしているなーとある種の軽蔑も感じます。こういっては何ですが、たとえ玉を出し続けていても、何時間も台だけを見て他に何もできない状態って本当に幸せですか、小生はもったいない感じがして仕方がないです。

 でも、冷静に考えれば、また別の視点もあるのかも。今はタイに住む、香港時代の友人がこんなことを言っていました。「人生は生まれてから死ぬまでの膨大な暇つぶしだから」。という観点に立てば、パチンコ台で時間をつぶすのもまた良き人生の在り様、選択なのかも知れません。玉が出続けていれば、とりわけ幸せな気分に浸れ、彼らなりに充実感を味わっているのかも知れません。

 逆に、小生も「お前は有意義に過ごしているのか」と問われれば、返答に困ります。本を読んだり、文章を書いていることがそれほど偉いことか。旅行しているのと競馬に夢中になるのにどれだけの違いがあるというのか。確かに、読書が偉くてパチンコ打ちが人生の無駄などと決めつけることも、ちょっと上から目線かも知れません。でも、小生は一応知識人でいたいと思っているので、やはりパチンコをするより読書や執筆をしている方がよっぽどいいと固く信じています。

 水原一平君は大谷の通訳兼秘書みたいな形で有名になり、それで彼自身の世間的な評価を高めました。今、日本人で彼を知らない人がいないくらいの有名人。普通なら、大谷の通訳を卒業しても、その後日本企業などから多くのオファーがあるだろうと予測できます。でも、今回の事件でミソをつけてしまいました。今後は多くが「何、あの水原か」とそっぽを向いてしまうでしょうから、彼の今後のバイリンガル人生にも大きな汚点を残してしまいました。

 そのプラス、マイナスは天と地ほどの開きがあります。彼の今後の人生を考えるときに、同情してあまりあります。でも世の中って、好事魔多し、幸せな人生の中に落とし穴が潜んでいることもまた真実。小生などはもうほとんど人生が終わっている人間だからそんなに心配していませんが、若者はその落とし穴に気を付けなければならない。ということを今回の水原事件は教えてくれました。

 上の写真は、薄暮のみなとみらい地区の風景。大岡川、横浜港沿いの散歩は気分がいい。