つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

大谷の故郷奥州市は「蘇民祭」をなぜ止める?

 昨日、メジャーリーグのスーパースター大谷翔平が結婚したというビッグニュースが飛び込んできました。日本に限らず、世界中のスポーツファンが関心を持っていたことなので、喜ばしい限り。ドジャーズの一員として新たな球春を迎えるに当たり、幸先のいいおめでたい話となりました。昨日、小生は所用あって外出、飲み会にも出ていたのですが、至るところでこの話で持ち切り。世間はいかに大谷への関心を示しているかが実感できました。

 ただ、ちょっと残念だったのは、彼がメディアとのインタビューで、結婚相手の名前やどういう素性の人かを明かさず、謎のままにしていること。戦略的な秘匿なのか。それともプライベートは煩わされたくないという彼一流の配慮、懸念なのか。彼の会見は、ぬる湯の湯舟から出るに出られないような、ラーメンの汁を最後まで飲もうとして店員に器を下げられてしまうような、女性に迫まりながら最後にソデにされてしまうような何か中途半端な感じがしてなりませんでした。でも、これによって却ってメディア各社の取材合戦に”火”が着いたことでしょう。

 結婚相手の名前、その氏素性はもちろんのこと、2人がどこで、どうして知り合ったのか、大谷がゴマンといる女性の中から何故その人を選んだか、2人はすでに同居し、ひょっとしたら相手はすでに妊娠しているのではないかなどなど、われわれが知りたいことは山ほどありますから、取材テーマは限りない。大谷は、相手と3,4年前日本で知り合ったと言っていますから、在米の大谷張り付き記者ばかりでなく、今度は日本にいる記者たちが、大谷の出身地や花巻東高校時代の友人、さらには日本ハム球団の関係者らを訪ね、探ることになるんでしょう。

 ところで、大谷翔平の出身地と言えば、岩手県奥州市。その地は大谷以外でも最近、話題になりました。黒石寺という古寺があり、そこで100年以上も続いている奇祭「蘇民祭」が今年を最後に終わってしまうとのこと。下帯(ふんどし)一丁の裸姿の男どもが密集して麻の袋を奪い合うという祭りですが、厳冬の旧暦1月15日の小正月に行われるので、男どもの体からは湯気が立ち、勇壮で見ごたえがあります。廃止の理由は高齢化でイベント参加者がいないということですが、本当なのでしょうか。

 全国に呼び掛ければ、参加希望者は大勢いると思います。小生ももっと若ければ、出張って参加してもいいかなと思うくらい。でも、寒さが苦手な者からすれば、厳冬の夜での裸はツライ。下帯の中身も寒さで縮み上がってしまうでしょうから、迫力不足は否めません。「ソミン祭」でなく「ソチン祭」になりかねません。それはともかく、高齢化で参加者がいないというのは言い訳に過ぎないように感じます。本当は経費高騰の問題か、安全性の問題か。それとも開催が面倒になったということか。

 諏訪の御柱祭、岸和田のだんじり祭りなど危険を伴う祭りは日本中にあり、毎回死者や負傷者を出しているけど、止めるという話にはなりませんね。やはり、伝統に裏打ちされた祭り、イベントは止めるべきではないと小生は思います。ブラジルのリオのカーニバルだって毎年必ず複数の死者が出るほど危険極まりないですが、止めることはない。「止めるべきだ」などと言ったら逆にその人は殺されてしまうでしょう。

 祭りは情念発散の場であり、地域の盛り上がりを作る貴重な機会でもあるので、継続されるべきです。伝統文化、イベントは残るだけの意味があるから存在するのです。危険だと感じる人は祭りに参加せず、家に閉じこもっていればいいだけの話。廃止は残念でなりません。再考していただきたい。

 上の写真は、2008年、JR東日本が作った”いわくつき”のポスター。卑猥な感じがするというクレームが来たので、途中で掲示を止めたとか。クレーマーはいったいどこを卑猥に感じたのか、教えて欲しい。ひげ面か、胸毛か、それとも天を仰いで大口開けた口元か。祭りに熱狂した普通の男性の姿ではないのか。