つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

大河ドラマ「光る君へ」は海の家のラーメンだ

 のっけから下世話な話で恐縮ですが、大谷翔平の嫁となった田中真美子さんはとんでもないラッキーレディーでもあるんですね。というのは大谷はドジャーズとの契約で、10年間の在籍を条件に7億ドルを獲得することになりました。1ドルを日本円151円でカウントすると1057億円です。となると、真美子さんはハンサムで長身、優しい心根を持つスポーツマンの大谷の身体、心を得たばかりでなく、同時に1057億円を使う権利も獲得した計算になります。

 日本のジャンボ宝くじの最高賞金は10億円のようですが、大谷の契約金に比べたら、屁でもない。早い話、真美子さんはべらぼーな懸賞金額の”宝くじ”を当てたようなものです。でも世の女性はこのラッキーさをうらやむべきでない。彼女は大谷好みの長身(180センチとか)で全日本レベルのスポーツウーマン。色白美人。性格的には、運動選手にありがちながさつさはなく、控えめでおしとやかな感じ。早稲田大学卒で知性も持ち合わせているとか。で、多くの女性が彼女と比べたら、かなわないと諦めざるをえないのではないかと思います。

 さて、下世話な話は置いといて、小生はNHK大河ドラマのファンなので、今年の「光る君へ」について触れたいと思います。正直、平安時代の朝廷を舞台にしたドラマということで事前に期待はしていませんでした。恐らく戦国時代や江戸幕末背景のものに比べ、戦闘場面が少ないのではないかと予想したからです。でも、毎年の習慣で最初から見続けています。それで早3カ月以上。意外にも、北野たけし風に言えば、これが「海の家のラーメン」なのです。つまり、期待していなかった分、逆に”おいしい”と感じるドラマです。

 そもそも藤原道長紫式部(本作ではまひろという名)が幼少のころから、互いの氏素性を知らずに遊びの場で友達となり、しかも成人してから恋仲になるという設定が素晴らしい。まひろの父親は低級の貴族で知識人だが、なかなか官職が得られず、貧乏暮らし。道長はまひろと愛し合い、激しく体を重ねる(このシーンもNHK大河としては画期的)のですが、最終的に身分が違うことで、「妻にはできない。妾ならどうか」と持ち掛ける。なかなかのストーリーです。平安貴族は一般に何人かの愛妾を持っていたというから、当時としてはごく自然な言い方だったのでしょう。

 道長は3人兄弟の末っ子。ただ、父親の愛妾にも男子が一人おり、道長の兄は3人となります。ちなみに、この庶子が遠慮をしながら正妻の子とうまく付き合い、母(つまり父親の愛妾)ともども自らいいポジションを得ようと画策するところなども面白い。道長の父親は藤原兼家。ドラマの中にも出てくるが、策略を弄して花山天皇を出家に追い込み、娘詮子の子、つまり外孫を天皇一条天皇)にし、自らは外祖父として摂政に上り詰めるのは歴史上の事実です。

 摂政、関白職は兼家、長男の道隆、3男の道兼(2男は庶子と見られる)につないでいきますが、2人とも早世してしまいます。そこで末っ子の道長が世に出ます。兄の陰に隠れてじっと目立たないようにしていたのが幸い、また長生きが身の助けになりました。娘彰子を入内させ、権力絶頂期を迎え、「この世をば我が世とぞ思う望月の欠けたることもなしと思えば」という有名な和歌を残すのです。これは、3男でありながら、紀州家を継ぎ、そして第8代将軍にまで上った徳川吉宗を彷彿とさせます。

 のちに道隆の長男伊周が宗家復権を目指して道長に戦い(長徳の変)を挑みますが、結局返り討ちに遭い、地方の官職に左遷させられてしまうのです。その辺のところはまだ大河では登場していませんが、このどろどろとした内輪の争いは興味津々で、脚本家がどう描くかに期待を持たせます。のちの保元、平治の乱、源平の争いでも藤原家、源家、平家が身内同士で敵味方に分かれて争っており、そららにつながるものでもあるので。

 「光る君へ」ではいまだ戦いの場面が出てこないため、男性視聴者はちょっと物足りなさを感じてしまうのではないかと思います。ですが、その反面、一種の宮廷内の権力闘争、つまり謀略、多数派工作、娘の入内の利用などの権謀術数が見られ、それはそれで醍醐味があります。刀剣の争いで勝ち負けに決着付けるのは分かりやすいですが、権謀術数劇もそれなりに面白い。企業、団体、政党内の武器なき戦い、権力闘争もそんなもので、現代社会に通じると感じられるからです。

 上の写真は、みなとみらい地区にある三菱重工横浜造船所ドック跡。下の方は、亡き姉の墓参りに行ったときに見た園内の桜。