つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

正直言って面白くない今年の大河

 NHKの大河ドラマフリークとしては、今年の「おんな城主 直虎」についても触れておかなければなりません。すでに3カ月が経過し、10話以上見た計算ですが、正直言ってあまり面白くない。同じ戦国時代を描いた昨年の「真田丸」に比べると、数段見劣りする印象です。どこかの週刊誌が新聞広告で「ラブコメだ」と揶揄していましたが、女性の脚本家だとそうなってしまうのかなという感じがします。
 昨年の真田丸は、信州の小国の豪族たちが強大化している中央、地方権力者にどう立ち向かうというスト―りーで、その駆け引き、権謀術数がたいへん面白く描かれていて、毎週引き込まれるように見てしまいました。今回の井伊谷の豪族もまさに同じ境遇で、いやいやながらも今川義元という東海道の絶対権力者に支配されています。であれば、もっと今川本家との葛藤、抗争などを描いてほしかったです。
 でも、ストーリーは直虎やその2人を取り巻く男性2人の淡い恋心など男女関係が中心に描かれているし、しかも、いつもこの連中が井戸端に集まって会話を交わすシーンばかりです。その上、この地方に伝わる民話の産物らしいけど「竜宮小僧」などという荒唐無稽なものを引っ張りだして、話をさらにつまらなくさせています。
 春風亭昇太が演じる今川義元が劇中で一言もしゃべらないというのも不自然。あまりにも奇を衒い過ぎています。義元は確かに戦国武将の中でも公家風を押し通したことで有名ですが、そうは言っても武将は武将なりの猛々しさがあったでしょう。言葉は権力者を絶対化する重要なツールですから、ドラマで描かれているような人前で大声を出さない武将はいなかったと思います。
 キャステイングはどうか。特におかしいと感じる人はいないのですが、徳川家康を演じる阿部サダヲはちょっとふさわしくない。将来一国を支配する人なのに、どうも彼の演技だと小者感が漂い過ぎます。家康は今川の人質だったけど、かなり義元に可愛がられたと言われ、あれほどおどおどした感じはなかったかなと思います。
 言っては何ですが、やはり大河ドラマは男性を主人公にした方が面白い。戦いの場面があった方がわくわくします。特に戦国時代には、下剋上、裏切り、調略、領土拡張、いやいやながらの支配・被支配などと扱える”政治的要素”が盛りだくさんなのですから、何もわざわざラブコメにすることはないと思います。

 上の写真は、中国・常州の地方幹部との宴席で出された食後のフルーツ。各種フルーツが樹木のように空中に刺さっており、地元ではフルーツツリー(水果樹)などと呼んでいました。