つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

本当にもう一度「トランプ大統領」でいいのか

 自国のことでないので、どうでもいいと言えばそれまでなのですが、米国で次期大統領として依然トランプが有力というのが、小生にはまったく理解できません。まあ、ロシアでも侵略戦争を続けて自国の若者10万人以上を犠牲にしているプーチンという独裁者がいますし、中国にはうまく回っていた経済を政治的な締め付けによってガタガタにした習近平なる経済無知者がいます。中国は選挙もない国なので、習が本当はどれだけ国民の支持を受けているかなど分かりませんし、ロシアの大統領選挙も不正に満ち満ちているようですから、信用できません。

 だから、2人の権力維持は本当は国民の支持とはかけ離れているのかも知れませんが…。でも、米国は仮にも最大の民主主義国です。その国で大統領選挙結果が信じられないと最後まで主張し、挙句には右派勢力を先導して国会議事堂まで攻撃させたようなトランプをいまだに支持する人がいるとは。いるだけならまだしも、再び共和党の大統領候補になり、今秋の本選挙では民主党のバイデンを破り、当選するのではないかとまで言われています。米国の国民ってどれだけの知性を持ち合わせているのだろうと疑問を持たざるを得ません。ある種の衆愚政治かも知れません。

 トランプはこの国会議事堂占拠への関与だけでなく、自分と関わったコールガールへの口止め料を弁護費用として差し替えたり、自らの不動産で脱税したり、前大統領時代の公文書を持ち逃げしたりとやりたい放題で、34の重大犯罪に関わっているとか。そして訴追を受けると、「現政権による政敵への弾圧だ」などとうそぶく。一点の反省、謙虚さもない。品性や教養は微塵も感じられない。こうした人が再び大統領候補になること自体、小生には信じられないのですが、現時点でも世論調査によれば、今秋に当選可能性もあるというのですから、驚きの極致です。

 本当にトランプを再びホワイトハウスに入れていいのでしょうか。地球環境には関心がないようなので、パリ協定から降りると言っている。前回初当選の時もこの協定を真っ先に破棄する大統領令に署名しました。かといって、安全保障に関心があるようにも見えない。関心があるのは、どうやら自分が今秋の選挙でバイデンに対しリベンジ当選することだけのよう。そして、自らのビジネスを潤わすような政策を打ち出すだけ。

 「自分が当選すれば、ウクライナ戦争は明日にでも終わらせる」と豪語しているが、ちゃんちゃらおかしい。要は、ロシアがもぎ取ったウクライナの領土をウクライナにそのまま認めさせるということでしょう。そんな終結方法をウクライナが認めるわけがない。もし、そんな方法を認めたら、中国に”誤解”を与える。台湾が中国に占領されたり、日本の尖閣諸島や沖縄が中国に盗られても、トランプは台湾関係法(米の国内法)や日米安保条約上の防衛義務を果たさず、そのまま認めるというように仕向けるでしょう。トランプだったら、やりかねませんね。

 バルト三国ポーランドは歴史的にロシアの占領を受けた時期が長いですから、ウクライナがやられたら次は我が方という強い危機意識を抱いています。そのため、ウクライナ戦争には大きな関心を持っており、武器支援、人道援助も熱心です。いや、旧ソ連、東欧だけでなく、西欧諸国だってロシアの膨張主義には大いに危機感を持っていましょう。でも、トランプは欧州での争いなど関心がない、所詮別大陸の話という認識なんですかね。

 彼には今、経済の交流、往来がグローバルに展開されており、その背景に政治的協調が必要なんだという視点がない。相手が独裁国であろうと、人権無視の国であろうと、米国と貿易してくれればそれで良しとの考えなのかも知れません。でも、独裁国家は政治的に不満足な対応に遭うと、すぐに貿易関係で報復に出ます。つまり、安定的な貿易相手国にはならないのです。長い目で見れば、国益に反し、ひいては「米国ファースト」にならないということがトランプには分からないのでしょう。

 フランスのマクロン大統領は、「もしトラ」に備えて、NATOでの米国支援は期待できないので、欧州だけの軍隊を創設しようと発言しています。やはり、ウクライナへの最近の関心の薄さから見ると、共同防衛の限界が見えてきます。日本も日米安保条約第5条の発動などによる米国への過度の期待などしないで、もっと自力防衛強化を考えるべきではないでしょうか。

 上の写真は、京都・円山公園の枝垂れ桜前の小生。下の方は、兵庫県城崎御温泉で泊まった宿屋のマスコット人形。