つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

支離滅裂のトランプはもう要らない

 米大統領選挙まであと4か月になりました。6月末の全国世論調査を見ると、民主党候補のバイデン氏が50%の支持を受けているのに対し、共和党のトランプ氏は36%という体たらくです。御承知のように、この選挙は全国有権者の総投票数の多寡で決まるのでなく、州ごとの投票多寡によって代議員が総取りできるかどうかのシステム。ですから、これまでのトランプの地盤だった中西部州の動向が気になるところですが、現時点では、ラストベルト地帯(さびついた工業地帯)を含めて、どうもトランプ陣営は劣勢のようです。

 民主党の77歳の爺さんにあまり期待も持てないのですが、今のトランプに比べたら、だれでもいいやといった感じです。小生はこのブログでも再三書いてきたけど、トランプは許せない、やっていることが支離滅裂。アメリカ・ファーストというけど、よくよく見ると、アメリカ・エゴイズム、トランプの思いつき身勝手にしか見えない。

 中国を主要敵とし、この国を国際社会で孤立させようとするのが彼の外交の基本方針なら、本来、西側諸国との間には少なくとも協調性を示し、多国間主義(マルティラテラリズム)を打ち出さなければならない。それなのに、彼はEU諸国や日本に対しても貿易不均衡でいちゃもんをつけるなど、やっていることはその真逆。米国が求めるアジアの中国包囲網を考えるなら、在日、在韓米軍の重要性は火を見るより明らかなのに、トランプは日韓両国に駐留経費の多額増加を求めています。

 欧州正面でロシアと対峙するドイツに対しても駐留費の問題を持ち出しているし、その前に、米軍が主体となるべきNATO北大西洋条約機構)でも関与の縮小を匂わせ、独仏がもっと前面に立つべきだと主張、場合によっては米国は”足”を抜くような姿勢すら示しています。ですから、フランスのマクロン大統領などは「米国、最早頼むに足らず」とあきれ、欧州独自軍の創設すら考慮しているようです。

 経済面についても、そうです。トランプが就任後真っ先にやったことはTPPからの脱退です。TPPはもともとオバマの前米政権が中心となって進めた自由貿易の枠組みで、中国が入っていませんから、長い目で見ると、西側陣営に有利、米国にとっても好都合な集合体です。それなのに、トランプは民主党憎しなのか、オバマ嫌いなのか知りませんが、抜けてしまいました。支離滅裂で、愚かな決定です。これによって日本はじめASEANオセアニア諸国などは、中国が入ったRCEPなどの集合体を考えざるを得なくなりました。トランプの決定が、米にとっては却って状況を悪化させてしまったことは明白です。

 トランプは西側先進7カ国会議にも否定的で、インド、韓国、ロシアまで入れようとしています。この会議は世界の経済体制、秩序を決める会議なので、人口が多くてもGDP規模がそれほどなく、国際通貨を持たない国々が入っても意味をなさない。こうした長い歴史を持つ集まりを国際情勢、外交に無知なトランプ一人がかき回し、そして壊すのは理不尽極まりない話です。経済にしろ、軍事にしろ、政治の枠組み作りにしろ、今、米国一国が世界で覇を唱え、指図するのは無理。少なくとも西側での多国間主義が求められている時代なのですが、彼は状況が分からず、思いつきでしゃべっている。

 バイデンは当選しても高齢であることから恐らく1期4年だけの任期と思われるので、それほど多くは期待できません。それでも民主党政権の伝統から、西側の多国間主義に戻ることは間違いありません。という点では、日本や欧州諸国は心底では民主党政権の復活を願っていることでしょう。トランプと個人的に”ウマ”が合うという安倍首相自身の気持ちは分かりませんが、、。

 問題は、バイデン政権で対中姿勢が変わるかどうかという点。米国民は今、ほかのことはともかく、対中国ではトランプの強硬姿勢を支持していると言われています。それだけ、中国嫌いが多いようです。ところが、バイデンの息子は今でも中国企業の取締役をやっており、中国利権に絡んでいるようなので、バイデンがどこまで中国に強気に出られるかが懸念されるところ。本人はそうした空気を察知してすでに中国に厳しい発言をしていますが、民主党は伝統的に中国に”甘い”対応をしてきたので、果たしてどうなることやら。

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 上の写真は、横浜伊勢佐木町のバーの前に置かれたドクロ。