つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

貴ノ岩の訴訟は損賠目的だけでない

 今、テレビのワイドショーでは依然貴乃花親方絡みで、元弟子の貴ノ岩が暴行事件をもとに日馬富士を侵害賠償という民事で提訴する件が取り上げられています。その請求賠償総額は2400万円余とか。幕内の関取として活躍できたのに、その機会が失われたという逸失利益分での請求ですが、日馬富士側は「この額は高額すぎる。せいぜい慰謝料の50万円以下」と反論しています。この額の正当性がワイドショー番組内で議論されていますが、小生は、日馬富士側が言う50万円以下の賠償額では少なすぎると思っています。
 貴ノ岩のけがの程度は分かりませんが、実際、けがによって2場所程度休場していることは事実。番付が十両まで落ちて、関取としての給与は下がっています。本来、彼の実力なら幕内上位どころか、三役にもなれたでしょう。三役であれば、平幕とはまた給与も違います。となれば、少なくとも1000万円以上の損害が発生したことは否めないでしょう。ですから、日馬富士側の主張する50万円以下では常識を逸脱していると思います。
 損害賠償の金額だけの争いなら、恐らくこの民事裁判の決着は1000万から2000万円までの範囲で折り合えるかも知れません。でも、貴ノ岩側、いや元師匠の貴乃花が求めているのは損賠で和解をすることでなく、あの鳥取の暴行事件そのものを洗いざらい世間に明らかにすることでしょうから、そのために判決を求める可能性が大です。
 今、貴乃花が出した告発状の中身が何であるのかも問題になっていますが、恐らく、貴乃花親方はモンゴル力士たちが談合で星を融通し合っている現状を憂え、追及したかったのでしょう。これは想像ですが、貴ノ岩鳥取の会合で、師匠の教えの通りガチンコ相撲にこだわり、仲間入りを拒否したために、”モンゴル力士互助会”の面々に文字通り袋だたきに遭ったのではないかと見られます。
 でもよくよく考えれば、関取の仕事は年6場所、1場所15日間で年365日のうち計90日間という長丁場ですから、すべてガチンコでやれるか、大いに疑問です。小生がその可否を問われれば、それはちょっと無理じゃないかと言いたくなります。裸でぶつかり合う土俵上の闘いは結構過酷です。これまで多くの力士がひざ、肘などを痛め、力士生命を絶っています。ですから、興行であるなら、本来あってはならないと思いながらも、半面、ある程度のところで融通があってもいいのかなという気もしています。
 いずれにしても、貴乃花という孤高の人、いや唯我独尊か、特異な存在と言うべきか、そういう人物が大相撲の在り方に一石を投じました。協調性のなさから周囲に嫌われ、孤立し辞めても尚、元弟子を使っての裁判で存在感を示そうとしています。皮肉な言い方をすれば、やはりすごい関取、親方だったと言うべきなのかも知れません。

 上の写真は、トルコのカッパドキアで小生が搭乗した熱気球。事前にバルーン内の空気を温めているところ。