つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

トランプもアンクル・サムになりそうだ

 トランプ氏が最近、前回2012年大統領選挙の共和党候補者となり、敗れたミット・ロムニー氏と会談し、次期政権で国務長官に起用すべく世界情勢について意見交換したと言います。ロムニー氏は、選挙戦を通じてトランプ氏を厳しく批判してきた人物。その彼がトランプ氏にすり寄るとは「お釈迦さまでも分かるめぃ」といった感じがしました。
 ロムニー氏は敬虔なモルモン教徒ですが、共和党内では比較的主流に位置する考え方をお持ちの方です。ですから、選挙戦で異端な意見を発するトランプ氏に対し半ば憎悪を込めて「ペテン師、詐欺師」とののしり、「大統領の資質はない」とまで批判してきました。一方、トランプ氏も、ロムニー氏が大統領選挙で負けた過去があることから「負け犬」などの言い方をしていました。
 それが、どういう風の吹き回しか、トランプ氏は所有するニュージャージーのゴルフ場にロムニー氏を招待し、ペンス次期副大統領も加えて約1時間20分にわたり会談したというのです。ロムニー氏は会談後、記者団に「米国の利益に関わる世界のさまざまな問題を幅広く議論した。次期大統領と話す機会に感謝している」と述べたと言います。
 この時期の会談は明らかに、政権移行チームがロムニー氏を次期政権で重用しようという意味を込めているものと推察できます。米メディアの報道によれば、政権内ナンバー3の国務長官に就任させるのではないかという説が有力です。対外折衝に当たる重要ポスト国務長官共和党主流派を起用するなら、トランプ氏はかなり党内融和を考えており、次期政権では共和党主流派の政策を踏襲していくのだろうと推測できます。
 で、「ロムニー国務長官」となれば、トランプ氏に投票した多くの人は「なあんだ、結局、普通の共和党政権になるのか」と思うに相違ありません。メキシコとの壁設置やTPP加盟拒否、さらには日米安保の見直しなど”過激な”主張はしたけど、それは所詮選挙向けで、政権に就いてみれば、ごくごく普通の、伝統的なアメリカおじさんになってしまうと感じていることでしょう。
 日本にとってはハッピーな方向です。日米安保の軍事同盟関係を見直されて完全自主防衛を考えなければならなくなったら大変。周辺国の核、ミサイル脅威に対処するために恐らく日本の防衛費は今の5倍以上かかってしまうでしょう。トランプ氏が普通の「アンクル・サム(典型的アメリカ人)」になるとしたら大歓迎。どうか”普通の共和党政権”になってほしいと念じています。

 上の写真は、山形県鶴岡市城址公園にあるお濠付近の紅葉風景。