つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

佐村河内守は天才ペテン師か

 詐欺師は恰好、見てくれが大事だと言います。他人から金を巻き上げるとき、決して貧乏人と思わせてはならないのです。「自分自身は金などもうこれ以上要らないが、あなたが金儲けしたいと思うなら、協力してあげますよ」という雰囲気を作らなければならない。一般人は、金のあるところに金の成る木が存在すると錯覚してますから、そういう金持ちを装った人間を無条件に信用してしまうのです。
 さらに、詐欺師は、相手が信用する社会的地位、資格を吹聴するケースが多いのです。昔、日航パイロットの制服を着て女性に接近、結婚詐欺を繰り返していた男がいました。これって考えようによっては、ふつうありえない話です。というのは、パイロットが私生活上で制服を着ているわけがないし、そんな恰好で女性とデートすることもないでしょう。でも、制服やバッジ(検事や弁護士などの)の魔術は怖いもので、人間はそれを単純に信じてしまうんですね。
 ちょっと時期外れの話題で恐縮ですが、あのベートーベンのような聴覚障害者を装った佐村河内守なる男も詐欺師の”風格”がありました。黒ずくめの恰好とサングラス、杖を用いた演出。見事です。別に視覚障害者じゃないんだから、本来サングラスは必要ないし、身体障害者とは言っていないのですから、杖など使う必要はないのです。でもこうした小道具が(原爆被爆二世とか言う)彼の悲劇性と神秘性をトータルに演出したため、マスコミ関係者もころっと騙されてしまいました。
 そもそも音楽家なら楽譜が読め、楽器が弾けることは当たり前ですが、彼は楽器を弾く様子などをテレビ映像の中で少しも見せなかったのです。にもかわわらず、NHKなどは一点の疑いも抱かず、堂々と音楽家としてのドキュメンタリー番組を作ってしまうのですから、本当に恐れ入ります。佐村河内守が実際に、大マスコミを手玉に取れるほどの天才ペテン師だったのか、それとも騙されたNHKが甘いのか、ばかなのか。
 小生はあのドキュメンタリー番組を見ていなかったのですが、これを見た内人は「どうもうさんくさいと感じたので、途中で見るのを止めてしまった」と事後に話していました。中にはそういう視聴者もいたのでしょうが、多くは現代にもベートーベンがいるのかと思いつつ感動して見ていたのではないでしょうか。恐らくこういう感動した視聴者は、俺おれ詐欺に遭う確率が非常に高いと思います。
 小生は新聞記者の端くれですから、取材する相手が本当のことを語っているかどうかを絶えず気にかけています。もちろん、1人だけの取材でなく、周辺の人、ライバル関係にある人なども取材し、なるべく客観的に事象を見、真実に近づこうとしていました。そのため、今でも最初から他人の話を100%信用せず、半信半疑で聞こうという癖が治りません。これはいい癖なのか、悪い癖なのか。難しいところですが、、。
下の写真は、横浜・戸部警察署裏の運河(帷子川支流)にある桜並木。満開の時に撮りました。