つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

大手メディアがSNSの影響力に負けた日かも

 世の中、面白いこと、意外なことって数多いけど、今回の兵庫県知事選の結果ほどその2つの感覚を同時に満たせてくれるものはなかったようです。齋藤元彦知事は部下を自殺に追い込んだとか、傲慢、パラハラで部下の信頼を失っているとか、マスコミでは盛んにたたかれていました。挙句に、県議会で全会一致で不信任決議が可決、本人は職を去らざるをえなくなりました。でも彼は出直し選挙に再チャレンジし、今回見事当選を果たしたのです。驚きました。

 小生のメディア記者OBのラインサークルで、この問題について感想が飛び交ったのです。皆の印象は、今回の一件でSNSが大手マスメディアを凌駕したことがはっきりしたこと、石丸伸二躍進の先の都知事選に次いで、SNSの影響力の大きさが再確認させられたということ。齋藤氏は大手メディアには評判が悪かったので、新聞、テレビだけを見る限りでは完全に悪者扱い。したがって、当初、出直し選挙で彼が勝利するなんてみじんも考えられない雰囲気でした。ところが、齋藤氏はSNSで勝負したんですね。自身がどれだけユニークな政策を打ち出しかをアピールしました。

 今時の若者は新聞など読まず、ましてや地上波などのテレビニュースも見ない。で、一番接するメディアはいつでも手元で見られるスマホのニュースか、あるいは自分の信頼する人間が発するユーチューブなどの情報チャンネルです。今回の知事選ではこうした若者が投票し、齋藤氏の圧勝をもたらしたのです。20歳台、30歳台では齋藤氏が圧勝しています。民主主義は多数がその時の正解ということでしょう。という意味では、齋藤氏の知事時代の執政はそれなりに正しかったと評価されたということでしょうか。

 元文部科学省次官の前川喜平はXの中で、「正気が狂気に敗れた」などとツイートしたらしいけど、そんなことを言う彼こそが狂気。民主主義で勝利した者に対して「異端」呼ばわりするのは唯我独尊の教条主義者がよくやることですが、常軌を逸していると言わざるを得ない。日本共産党は、選挙で負けても決して自らが掲げる政策が間違いとか、ひどいものであったとかは言わない、選挙民の(頭がパーだから)理解が進まなかったという姿勢です。前川の発想は、選挙民をばか扱いにするこの共産党の総括発言と一緒です。こんな奴がよくも文科省の次官をしていたものです。

 それはともかく、SNSで流れているのは自殺した県民局長の多重不倫話。この人は県庁のパソコンを使って多くの女性と連絡を取り、不倫を重ねていたとか。結局、その清算ができなくなって自裁せざるを得なくなったというのが真相のようです。大手マスメディアは、お亡くなりになった職員にムチ打つことができなかったのか、不倫話には一切触れなかった。局長は自らの行状を糊塗するために斎藤知事のパワハラを指摘し、それを書き連ねたようですが、メディアはパワハラの方だけに注目し、それだけを取り上げたのです。権力を持つ人をたたく方が面白いからでしょう。

 大手メディアだけを見ている年配者はこの不倫問題を知らない。ですが、SNSでは広く出回っているわけですから、若者たちはそれを承知しており、この局長の人間性を知り、パワハラ告発自体にも疑問を感じたのでしょう。斎藤知事は自らが窮地に遭った時に、県民局長に対し哀悼の意を表さなかったものの、だからと言って局長の”瑕疵”である不倫問題にも触れることはなかった。一般に人間は自らの疵Aを攻撃されると、相手の疵Bを攻撃するという行動を取りますが、驚くことに、斎藤は一切それをしなかった。という点でも若者受けしたのかも知れません。

 齋藤の復権OKという民意が出たのですから、不信任を出した議会は今後どうするのか、パワハラを言い続けた県職員は再登場の斎藤にどう対応するのか、興味津々です。特に、県庁職員の今後の動きは十分楽しめそうです。これも小生には伝聞ですが、斎藤知事就任前の庁内はかなり緊張感に欠ける状態で、職員はなーなーでやっていたとか。県民局長の不倫話も庁内弛緩の証左でもありそうです。ユルユルの庁内の方が職員にとっては楽に決まっています。

 そんな中、総務省キャリアで地方行政にも明るい厳しめの若い知事がやって来て、かき回すので、うんざりしたのかも知れません。そこで職員たちは議会を巻き込んでこの煙たい知事の追い出しにかかったのでしょう。でも今回、民意は示された、天の意思は示されたのですから、職員も唯々諾々と齋藤知事に従う義務があるでしょう。それでも、歯向かう県議会議員、職員がいたら、今度こそ知事の恣意で人事をしたらいいと思います。

 上の写真は桜木町界隈で見かけた花壇の花。