つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

ウクライナ侵攻とゼロコロナ政策の共通性

 よくよく考えると、ロシアによるウクライナ侵攻と、中国の上海ロックダウンを含めたゼロコロナ政策というのは何から何まで似ている感じがしてなりません。というのは、どちらも、国家、国民全体としての意思でなく、独裁的、強権的な指導者が独断でやったことと思えるからです。民族性が近く、かつてソ連という同じ国家を形成していた隣国に攻め込み、3カ月でロシア国民2万人以上が戦死するというバカな戦争を国民が支持するわけはありません。一方、大都市上海の機能を完全停止し、多くの市民を奈落の底に落とした「封城」などを支持する人もまた少ないでしょう。

 ロシア国内の様子を見ていると、そろそろ厭戦気分が出てきたようです。他国侵略での戦死があって、しかもその数が多数であると知れ渡れば、一般国民ばかりでなく、軍隊でも士気が上がらないでしょう。徴兵延期や免除を希望する若者が法律家に相談する件数が激増しているとか。また、各地の徴兵事務所が焼き討ちにあったりしています。3カ月も4カ月も経てば、多数の戦死者が出ていることを当局も隠せないようになり、ますますプーチンは追い詰められます。

 一方、上海のロックダウンも、多数の餓死者、自殺者が出ていますから、多くの支持を得ているとは思えません。飛び降り、首吊りの動画がSNS上で多数登場しましたが、当局がすぐに消しにかかっていました。また、白衛兵と市民が衝突している動画もやはり削除されています。市民の意見交換ツールであるSNSさえ、意のままの発言、それを載せることが許されない状態はストレスがたまる。こんなことをいつまで中国国民は許していくのか。まあ、中国は世論調査も選挙もない社会ですから、反党、反政府の発露がしにくいのでしょうが、ロシアは一応選挙制度があるので、意思表示はできると思うのですが、、。

 このほか、ウクライナ侵攻とゼロコロナ政策を見ると、投資費用の割には効果が薄いという点でも共通性があります。ウクライナであれだけの人を殺し、建物を破壊してウクライナ人民の共感が得られると思っているのか。少なくとも「ロシアは兄弟国」として親近感を持っていた人にも今後は「ロシアは絶対許せない」との感情を持たせてしまったに違いない。これで、ウクライナの領土の一部を掠め取って、ロシア領土にして、うまくいくと思っているのでしょうか。必ずしっぺい返しがきます。

 ゼロコロナやロックダウンをしても、相変わらず感染者は減らない。WHOのテドロス事務局長は「オミクロンの新株は空気感染するので、封じ込めをしても無理」と中国側に伝えているのですが、中国は聞く耳を持たないそうです。これは習近平という独裁者が武漢の”成功体験”から一人進軍ラッパを鳴らしているから、取り巻きは反対ができないのでしょう。武漢と上海では新型コロナウイルス株の株種が違うので、参考にならないと思うのですが、なぜか執着している。市民もうんざりしています。ほとんどイソップ物語の「裸の王様」状態ですね。

 ウクライナへの侵攻では、西側が大結束し、ロシアへの反発がますます強まっています。これは戦争が終わっても、反ロシア感情はしばらく続くものと思われ、ロシア人は今後しばらく欧米には出国できないでしょう。ということは、欧米に溜め込んだロシア人の金は当分、自由にできないということです。バルト国の一部からは、海外にあるロシア資産を召し上げ、ウクライナの復興資金に使うべきだとの声も出ています。イエレン米財務長官はそれに反対していますが、あるいは召し上げが実現するかもしれません。

 上海のロックダウンで、西側諸国は改めて一言堂支配の独裁政権中国とサプライチェーンをつなげることを不安視するようになりました。一部の企業はこれを奇禍として東南アジアや西アジアなどに工場移転しています。感染が広がったことで、中国製ワクチンの有効性が問われました。これも東南アジアやアフリカ諸国などから不信感が出ています。中国のロシア侵略戦争支持表示に対しても、西側は不快感を持っています。いろんな意味で、今後中国と西側のデカップリングは拡大していくような気がします。であれば、貿易で国を富ませてきた中国には大きなマイナスになりましょう。

 ロシア人と中国人に対する西側の不快感を和らげるには、すぐにもウクライナ侵攻を止めること、ゼロコロナ政策を中止することが必要ですが、それにはやはり強権的なトップがいる限り無理です。強権的なトップを替えなければ、何も変わらないという点でもこの2つは共通しています。

 上の写真は、横浜みなとみらいのショッピングセンターにあるウルトラマン