つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

共産党委員長まで「自衛隊使う」と言ったか

 先ごろ、共産党志位和夫委員長が、ロシアによるウクライナ侵攻に関連して、「急迫不正の主権侵害が日本に起こった場合は、自衛隊を含めてあらゆる手段を講じて主権を守る」と発言しました。あれ、共産党は確か「自衛隊憲法違反だ」として、その存在を認めていなかったのではないか。という意味で、党是とそのトップの主張が違うではないかとして、世間は呆れました。記者会見でこの矛盾点を突かれて、志位氏は、「戦争がなくなれば自衛隊を解消していこうという国民の合意が得られる」と、何だか訳の分からない説明に終始しました。でも、共産党の委員長まで自衛隊の存在意義を認めたのはそれなりの言葉でしょう。

 今回、どう考えても、ロシアが隣国に攻め込む正当な理由が見いだせません。「隣国がNATOに加盟すると自国が危ない」ということを理由にしていますが、別にウクライナNATOを後ろ盾にしてロシアに攻め入ろうとしているわけではないのですから考えすぎです。第一、NATO加盟の是非は主権国家の権利、勝手でしょう。要は、かつてソ連邦として一緒だったのだから、今後もずっと「兄貴分のロシアの言う通りに動け」ということで隷属国家にしたいだけでしょう。なんだか、広域暴力団が地方都市の小さなやくざ組織を力で威圧し、支配下に組み入れようとしている構図に等しいです。

 ウクライナ国民でロシアの侵略戦争を望んだ人は誰もいないでしょう。でも、こちらが望まなくとも、ロウグカントリー(ならず者国家)、無謀な指導者を持つ国は他国にやってくるのです。押し入ってくるのです。1939年のナチスドイツのポーランドへの電撃侵攻を見れば良く分かります。ナチスはこの時、どういう説明をしたか。「ポーランドでドイツ人がいじめられている」とか。本音はかつての戦争で失った”領土”の回復なのでしょうが、そうは言えないので愚にも付かない説明をしています。日本も中国大陸に攻め入った時、「満蒙、中国は日本の生命線」などと言いました。他国を生命線にするのはどう見てもおかしい、言いすぎでしょう。

 小生はかつて大学の授業で、「世界はアナーキー(無秩序)な社会です。乱暴な国家がいて理不尽なことをしても取り締まるところがないんです」と話しました。「国連は?」と言った学生もいましたが、「国連は無力です。なぜなら、対立している国家同士がその組織の中にいるので対立が持ち込まれるだけ。まして、大国が紛争に関われば彼らには拒否権があるから、何も決められません。国連軍というのは各国がその国益に基づいて出兵する軍隊。ですから、もともと成立しにくいし、成立したとしても、出兵する国の部隊は国益で動くからほとんど機能しません」と答えました。

 話を戻します。世界は不条理であり、力が弱いと見ると、露骨に侵略を試みる国が21世紀になってもいるということを今回のロシアの例が示しました。となると、日本国憲法の前文にある「諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という第9条「戦争放棄」条文の論拠が成り立ち得ないと思います。「日本は第9条がありますから、どうか攻めないでください」と言って許してもらえますか。むしろ逆でしょう。侵略国は「そうか、そちらが自分で手足を縛っているのなら、しめしめ、こちらは容易に侵攻しやすい」とむしろ考えるのではないか。

 ロシアの政治家が最近、「北海道もロシア領土」と言っているし、中国は2003年4月の人民日報で、尖閣諸島どころか沖縄全部が「まだ日本領と決まったわけでない未解決の土地だ」と書いています。隙があれば、日本を侵略しようとする国は歴然とあるのです。国際政治を学んだ人ならだれでもそうですが、国際社会がアナーキーであるからこそ現実主義から論を展開します。そちらが攻めてくるなら、いくらでも受けて立つ、それだけの軍事力をこちらも持っているし、国民の国土防衛の意思も強いぞという気概、姿勢を見せなくては、相手は舐めてかかってきます。

 再三ここで書いているように、みんな仲良くしましょうという理想主義は耳に心地よく、素晴らしいことなのですが、現実が許してくれません。ウクライナのブチャのケースを見れば分かるように、他国への侵攻とは略奪と女性への凌辱が伴います。それでも非武装、無抵抗主義を貫き、同胞としてそうした状況を黙過できますか。とういことで、志位氏もさすがに「憲法違反の」自衛隊を使うと主張したのでしょう。それは結構なことですが、矛盾を突かれて変な弁明をすればするほど笑い者になるから止めた方がいい。ここは昔の宮本顕治委員長が主張したように「米軍に頼らず日本は自力防衛」と強気の一国安全保障論を展開した方がよほど筋が通っていると思います。

 上の写真は、横浜みなとみらい地区のコスモワールド観覧車。隣は結婚式場。