つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

「キーウのハチ公」から戦争の悲惨さを知る

 犬というのは人に優しい存在だが、言葉が話せないだけに飼い主にはより切ない思いを抱かせます。かつてNHKのドラマでやっていたけど、戦地の南太平洋の島である日本軍部隊が複数の犬を飼っていた。だが、そこからの撤退が決まり、犬を連れて行けないことが噂になると、犬たちはそれを察知し、撤退直前、兵隊さんの前から姿を消します。兵隊さんに別れの嘆きをさせたくないと思ったのでしょうか。兵隊さんはいぶかしがるが、そのまま船に乗る。船が島の岬に差し掛かると、その岬に複数の犬が現れて遠吠えをし、兵隊さんに別れを告げるのです。見ていて泣けました。

 このほど亡くなった俳優の宝田明さんは旧満州の出身。彼が日経新聞の「私の履歴書」か何かで語っていましたが、確か、今の黒竜江省の都市にいて、やっと帰国のための列車に乗れることになった時、少年の宝田さんは飼い犬と別れなくてはならないことを覚悟します。家からそっと出るが、犬もそれを察知し、駅舎までやって来て宝田さんの方を見て吠え、列車をしばらく追って来たそうです。飼い主から離れるということは、その犬はその後、エサが保証されない野犬として生きていかなければならないのです。そのことを考えると、小生などはちょっと辛くなる。

 南極物語のタロー、ジローらは観測隊が少しの食料は残していったのでしょうが、ほぼ1年の間、氷原の中で毎日必死にエサを求め続けたに相違ありません。彼らは樺太犬で割と大柄なので、あざらしやペンギンなどを襲い、命をつなぐことができたのでしょう。でも、小生が飼っていたチワワなどは南極などに残したら、翌日死んでしまうでしょう。これもあまりにも有名な忠犬ハチ公は、御主人の帰りを待って毎日渋谷駅前で待ち続けたというストーリーですが、実は野犬になってエサがないため、駅前に出ている屋台のおばさんから、客の食べ残しをもらうために駅に行ったという説もあります。

 仲代達也主演の映画では、加藤登紀子扮する屋台のおばさんが駅前に座り続けるハチ公を見て哀れに思い、余りものをあげたとなっています。屋台で食べ物をもらうためといっても、同時に大学教授の御主人の帰りを待ちわびていたことは事実でしょう。ご主人が死んだことを知らずに、その遺体の前にずっと座り込んでいたり、一定の場所でずっと待っていたりする犬の話は数多くあります。最近、話題になっている「キーウのハチ公」もその手の孝行犬です。

 ネット動画で話題なっている「キーウ州マカリウのハチ公」は、ウクライナ戦争で飼い主の女性がロシア兵に暴行され、殺害された。だが、飼われていた秋田犬「リニ」はそのことを知らずに、家の玄関でずっと主人の帰りを待ち続けているのです。ボランティアの人が不憫に思い、エサをあげ、他のところに移そうとするがリニは断固拒否し、逃げ回るそうです。これはユーチューブで動画になっています。まさに「忠犬リニ公」。見ているだけで、悲しくて切ない。 

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 また、ウクライナの動物園では、多くの動物が戦争のために満足な食事が与えられず、死亡しています。戦争は人間にとって悲惨ですが、動物たちも巻き添えを食って悲しい状態に置かれます。戦争はすぐに止めるべきです。ただ、侵略者ロシアに良い思いをさせるような形での終戦には賛同しませんが、、。

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 上の写真は、野毛の飲み屋街で見た小猿さん。