つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

痴漢行為の判定は難しい?

 先ごろ、最高裁で痴漢に関する判決がありました。防衛医大の教授(63)が女子高生に痴漢をした容疑で逮捕・起訴され、下級審では有罪とされたが、最高裁で逆転無罪になったとされるものです。もし、この先生が本当に冤罪だとしたら、これは喜ばしいことでしょうが・・。
 ところで、痴漢行為の認定は難しいですね。満員電車という日本独特の日常性の中では、意思ある行為としても、無意識であってもこういう”状況”は起こりうることですから。満員電車であれば、体が接触することは必然であり、これは避けられないです。意思ある行為としては、手を動かして相手に触るということでしょうが、これも、手が下の方に下りていれば、無意識でも女性の体に接触することもあるでしょう。ですから、誤解を防ぐには両手を挙げているしかありません。
 たとえ両手を挙げていても、男性が股間を必要以上に押しつければ、これは痴漢行為でしょう。ただ、満員電車の場合、どこまでが必要以上か、これも認定しにくいところがありますね。男性の股間のものは、ご存知のように不随意筋に左右されるわけですから、性衝動のあるなしにかかわらず、そういう状態になることもあり、そうなると一定距離を開けていても、接触する可能性があります。
 小生は長い記者時代、出勤はいつも10時すぎであり、満員電車には縁がありませんでした。今でも、大学に行く水曜日以外は鈍行電車で座って通勤しているし、水曜日朝7時過ぎの横浜から東京までの横須賀線もそれほどの混みはないので、そういうリスクを冒すことなく過ごしてきました。これは意思ある行動を取るべきかどうか”悩む”以前の問題であり、ある意味幸せだったのかも知れません。
 もし、積極的な意思なく痴漢扱いされたら辛いですね。くだんの教授がそうだとしたら同情します。でも、このケースは最高裁の5人の裁判官でも意見が割れたように、非常にグレーなところがあったようです。詳しい状況は書きませんが、3対2で辛うじて無罪となったのは、やはり疑わしきは罰せずという原則に則ったものでしょう。
 この判例が普遍化されれば、これからは、女性側が確たる証拠を提示しないと、痴漢と認定されないことになります。勉強会に出てきた女性弁護士はこの物的証拠について、「そんなときには相手の手に引っかき傷を残せばいいのです」と話していました。これも、女性が男性に一種の傷害行為に及ぶわけですから、口で言うほど簡単なことではないですね。女性とっては、辛い判例になってしまいました。
 下の写真は、浙江省紹興市の小水路わきにある老街。夕暮れの風景はなぜか、80年代の北京の胡同を思い出させてくれました。