つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

北朝鮮の秋波にはこたえるべきだ

 北朝鮮拉致問題の解決に熱心に対応する方向に傾いてきました。つまり、北朝鮮が日本に秋波を送ってきているということです。一見、奇異な感じを受けますが、これって、世界情勢にまで行かなくとも、北東アジアの情勢を見ると、すぐに理解できることなんですね。中国と韓国が接近していれば、北は勢い中国や韓国の”敵対勢力”に接近しようと試みるでしょう。敵の敵は味方という単純な構図なのです。
 習近平国家主席は思い切ったことをしました。本来、中国は朝鮮戦争北朝鮮が苦戦を強いられた時に義勇軍を送って助けた仲で、両国は「血で固められた同盟」関係にあるのです。北朝鮮は、中国から物資をもらっていたし、もちろん、中国にとっては、米国など資本主義、自由主義の空気が自国国境近くまで及ばないよう北朝鮮をバッファとして活用していた面がありました。すなわち、双方にとって有意義な関係だったのです。
 しかし、北朝鮮の今の指導者、カリアゲ君は軍部に支配されているためか、なぜか中国の言うことを聞きません。中国は、北東アジアに自分以外に核兵器を持つ国が現れることを極端に嫌っていますが、北はひそかにこれを開発して所持してしまい、中国の破棄要求にも応じていません。中国が権利を得た北部の羅津・先鋒地区の開発にも協力の姿勢を見せません。北朝鮮は中国の属国化を拒否しているのです。
 それに怒った習近平主席は、今年に入ってから北朝鮮への石油、食糧援助を断ってしまいました。もう5ヶ月間送られていないとのことです。また、中国の指導者なら韓国より先に「同盟国」の北朝鮮を訪問するのがスジですが、今回、習はこの慣習を破って韓国を優先させました。どちらが先に原因を作ったかは知りませんが、こうしたことで両国関係は悪化しているのです。
 北朝鮮は今、外国の援助がのどから手が出るほど欲しいのですから、中韓の”敵対国”である日本に接近してくるのは、ごく自然なことです。であれば、われわれ日本もこの流れに乗るべきです。もちろん、拉致問題でしっかりした結果を見せることが前提となりますが、北の接近を歓迎すべきです。北との接近はすなわち中韓、とりわけ中国に近づき事大主義を復活させている韓国へのプレッシャーになります。
 国際政治では、たとえ体制が違っても、相手が独裁国であっても、自国の安全や利益のためなら、場合によってはマヌーヴァーとして付き合わなければならない時があると思います。あんなカリアゲ君の国とまじめに付き合わなければならないのかという感じもありますが、それが国際社会の冷厳な現実なんですね。

 上の写真は、秋田県岩手県寄り八幡平近くにある玉川温泉の風景。ここでは至る所に硫黄の蒸気が出ており、この岩盤の上に寝ているとガンが治ると言われています。小生らが行った残雪ある5月中旬でも、大勢来ていました。