つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

何でも住民投票で聞いていいのか

 最近、地方自治体レベルで住民投票がはやっています。埼玉県所沢市では、航空自衛隊入間基地周辺にある小中学校に騒音対策としてクーラー(エアコン)を設置するかどうか、沖縄県与那国島与那国町)では、陸上自衛隊「沿岸監視隊」の配備を認めるかどうかの賛否を問うのだそうです。与那国島の投票はこれからですが、所沢のエアコン投票はすでに結果が出て、5対3くらいの票差で設置賛成派が勝利しています。
 日本はあくまで代議制なのですから、本来、住民投票には法的拘束力がありません。第一、行政の方針や政策の中身をいちいち住民に問うていたら、住民の代表として審議するべき議会など要らないということになってしまいます。エアコン設置の是非はともかく、国の安全保障にかかわることについて、人口が数千人でしかない一自治体の住民の意向を聞くとのはちょっと無茶すぎる感があります。
 日本ではもともとなじまなかった住民投票がはやるのは、スコットランドなどで国家分離を問う住民投票があったことや、日本国憲法の改正には最終的に国民投票が必要だということで国民投票法ができたりして、テーマごとに住民の意思を聞く直接投票の発想が日本人の間にも生まれてきたためでしょうか。民主主義の観点で言えば分かりやすい手段ですが、半面、一部の情緒に流されて全体の方向を誤らせる危険な要素も持っています。
 所沢・学校エアコン問題について、小生も意見を言わせてもらうならば、まあ常識的な判断が出たなと感じていますし、市民であれば自身も賛成票を投じていたでしょう。小生が過ごした千葉の小中学校時代、確か冬にだるまストーブの暖房がありましたが、夏にクーラーなどありませんでした。だからと言って今の学校生徒にクーラーなしの強要はできないでしょう。
 夏の暑さは地球温暖化のせいで、昔よりかなり厳しくなっています。恐らく内陸部の所沢市なら40度近い気温になるでしょう。高温多湿の日本だけに、日陰にいれば、窓を開けて風を通せば大丈夫ということでもありません。しかも、入間基地の周辺で航空機の離発着騒音が激しく、窓が開けられないとのこと。であれば、むしろ当然の処置でしょう。
 先進国であるのならば、子供に相応の学習環境を整えてあげるのが大人の義務です。設置反対派はなんだか、戦争中の「欲しがりません、勝つまでは」などと言う精神論優先の頑迷派をほうふつさせます。反対派は一度、真夏の盛りに自宅でクーラーを使わず過ごしてみてはいかがでしょうか。精神論優先の無意味さが分かるでしょう。
 ただ、エアコンは膨大な電気を消費します。この快適な学習環境を維持するために、大量の電気が使われていることも併せて生徒に教えるべきで、エネルギーや環境、温暖化の話につなげることも必要だと思います。

 上の写真は、知り合いの中国人が埼玉県浦和駅近くに開いたワインバーの店内。先日、開店祝いに行ってきました。