つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

日本は駝鳥シンドロームに陥るな

 米軍がついに南シナ海に軍艦を出し、哨戒活動をするようになりました。当然だと思います。中国は南シナ海サンゴ礁を勝手に埋め立てて「島」とし、島だから領海12カイリあるよね、接続海域12カイリあるよね、さらに排他的経済水域200カイリあるよねと言い張るつもりでしょうが、そうは問屋が卸しません。厚かましいにもほどがあります。南シナ海はあくまで公海、自由の海であるべきです。
 習近平が米国を訪問した際、オバマ大統領は習に南シナ海の軍事基地化を止めるよう求めたのに対し、習はまったく無視する態度を示しました。米国のメンツ丸つぶれです。習というか中国軍部は、オバマの時代には決して中国を挑発してこないだろうと高を括っていたようです。でも、オバマもさすがに堪忍袋の緒が切れましたね。これはオバマだけでどうこうするという問題でなく、米国、西側自由主義圏全体の問題なのです。
 南シナ海を中国に支配されると、日本にとってどんなに不自由を強いられるか。日本の輸入エネルギーの8割以上がこの海域を通過してきます。もし、日本は中国に不愉快なことをしたら(不愉快なことを中国側が意図的に作り出す場合もある)、この海域の通航は難しくなるでしょう。これは日本にとってはかなりの脅威です。そんな簡単なことが分からない御仁が多いのです。
 小生の友人の中にも、日本の周辺には脅威がないと言っている人がいますが、それは現時点の国際環境が理解できていないからでしょう。単なる勉強不足か駝鳥現象ですね。尖閣諸島周辺海域に毎日中国公船が接近してくる、北朝鮮日本海の公海上にミサイルをぶっ放すのを見ただけでも、日本周辺には脅威が存在すると思わざるを得ないのではありませんか。
 小生は国際関係論の授業で学生に「駝鳥になってはいけない」と言っています。駝鳥というのは危険物を察知すると砂の中に首を突っ込んで見ないようにし、恐怖から逃れようとするそうです。そうやって日本が駝鳥シンドロームになっていると、いつか日本の島々は奪われ、隣の独裁国の支配下に置かれてしまうでしょう。覇権主義の国は冷静に組み立てた戦略を持っているのですから、駝鳥国を追い落とすなどいとも簡単なことです。
 われわれは今一度、フィリピンのミスチーフ礁が奪われた経緯をかみしめる必要があります。モンスーンシーズンの時、中国はフィリピンに「ミスチーフを漁民の退避場所にしたい」と言ってきて、モンスーンシーズンが明けた時には、その岩礁に膨大な軍事施設が造られていたのです。そういう国際政治の過去は知らないと、「脅威がない」と言うのでしょうね。ノー天気、天下泰平君が日本には多すぎます。


 上の写真は、松江市を旅行した際に泊まった玉造温泉の宿「皆美」の庭園。山陰地方では有数の庭園だそうです。