つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

「龍馬伝」はいい味出している

 毎週日曜日夜のNHK大河ドラマは昔からフアンでしたが、今年の「龍馬伝」はいつになくおもしろい感じがします。何がいいかと言われれば、まずテーマソングが絶品です。オーストラリアかイギリス出身かは知りませんが、リサ・ジェラルドという女性歌手が歌っています。かつて映画「グラディエーター」の作曲などを手掛けた才能豊かな人のようで、龍馬伝のメロディーもなぜか外国にあこがれた龍馬の心情を表している感じがして、印象的です。
 それから、映像がこれまでの大河と違いますね。詳しいことは分かりませんが、龍馬伝は映画風の映像になっていて、背景も隅々まで神経が行き届いて、リアリティーがあります。カメラワークでは、逆光をふんだんに、しかも効果的に使っているように思います。新聞記者のはしくれとしてカメラもいじった人間からすると、逆光というのはいちばん忌み嫌うものですが、この演出家、カメラマンは芸術性が高い人なのでしょうか。なぜ、逆光を好むのか、一回聞いてみたい気がします。
 キャスティングもいいですね。ナルシストの権化のような人と思っていた福山雅治は意外に芸達者で、主役を張っても遜色がない感じです。彼の今の年は多分40歳前後でしょうか、実際に龍馬は1867年に33歳で死んでいるので、ちょうど今頃放映されている場面は27、8歳の設定になるのでしょうが、彼のハンサムぶりで実年齢との差を感じさせませんね。
 土佐藩参政の吉田東洋役をやった田中泯氏もかなり渋い味を出しており、「えーこんな役者いたの」という強烈な印象を持ちました。なんと、本職は前衛舞踊家だそうで、これまで役者としてはあまり出ていなかったとのこと、道理でテレビでなじみのない顔であることが分かりました。吉田東洋も暗殺された年の1862年には45歳くらいの年齢で、60歳以上である田中泯氏の実年齢からすると、かなり違いがありますが、それはそれでドラマとしてみれば、彼の存在感が光って、そんな問題は帳消しにされてしまうでしょう。
 香川照之は、性格俳優の感が強まった感じがします。「鬼が来た」などの中国映画に出演した作品を見て、もともと個性的な俳優だと思っていましたが、龍馬伝で彼の役者としての幅が一段と広がった感じがします。ただ、龍馬と岩崎弥太郎が実際に会ったのは、龍馬が亡くなる年の春が最初と言われていますし、弥太郎の家がある安芸と龍馬の高知では遠すぎて、そんなに頻繁に行き来できないことを考えると、ちょっと設定に無理があるなとも思いますが、それもドラマとしてみれば、いいのかも知れません。かつての大河ドラマでは、新撰組坂本龍馬が友人だったという設定でしたから、奇抜さもまた魅力でしょう。
 上の写真は、横浜・桜木町大岡川両岸で満開となった桜。下の写真は、皇居の清水門付近のお堀の桜。後ろは武道館です。