つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

麻薬犯死刑に文句言えるのか

 中国で麻薬(覚せい剤)を所持し、密輸をしようとした日本人が処刑されました。これに対し、桜井よしこさんら右派系の人を含めて「刑罰が厳しすぎる」「もっと人権を」などと中国にクレームをつけていますが、これってよく考えれば、おかしな話ではないですか。
 おかしさの第一は、日本が自らの制度との比較をしていないこと。イギリス人が先に中国で麻薬所持、密輸の罪で処刑されたときにイギリス政府が文句を言いましたが、これはある程度理解できます。なぜなら、EU諸国はすでに死刑制度を廃止しているからです。しかし、日本には厳然と死刑制度があり、実際に外国人を処刑しているケースがあります。自らが死刑を認めていて、外国に死刑をするなというのは暴論です。まあ、民主党政権になってから、千葉法務大臣は死刑執行に署名していません(これはこれで問題)が、制度としては厳然とあります。
 おかしさの第二は、刑罰の軽重に言及していること。麻薬所持、密輸程度で死刑執行が妥当かという点について小生が聞かれれば、「妥当さを欠く」と言うかも知れません。ただ、刑罰はその国が決めることであって、主権にかかわることです。オランダやアフリカ諸国のようにマリファナが合法のところもあれば、厳罰に処す国もあります。殺人に関しても、その刑罰は国によって大きく変わります。
 それは、その国が歴史や国情などさまざまな要素によって処罰の中身を決めているということであって、外国が文句をつける筋合いのものではないはずです。日本も死刑制度があることに対し、同制度をなくしたEU諸国などからクレームをつけられています。が、国民世論の8割以上が死刑制度を支持している以上、いくらEUからとやかく言われたからといっても止めないでしょう。
 おかしさの3番目は、今回の死刑執行を中国の人権のなさと結び付けている点。これも、論理としては無理があります。というのは、刑の中身に政治的要素がない、純粋に刑法犯罪であるからです。たとえば、かの国で人権擁護を訴えて死刑になったというのなら、われわれも相応の姿勢を示す必要があるでしょう。しかし、今回は麻薬に絡む話であり、これは刑罰の軽重こそあれ、日本でも罰せられるものです。したがって、その犯罪者が相当の処罰を受けるのは、致し方ないことではありませんか。
 「(渡航先の)外国では、こんな罪になるとは思わなかった」という人がいますが、これも滑稽な話。日本訪問の外国人を含めて日本にいる人間は、日本の刑法の中身を知らなくても、国内で然るべく裁かれるのと同じように、外国でもその国の法制度で裁かれることを海外旅行者は知っておくべきです。日本人だから日本の法律で裁いてくれ、日本の刑務所に入りたいなどというのも愚の骨頂。われわれはイージーに海外に出ていますが、海外にいったら、日本の法制度を離れ、その国の制度に身をゆだねるということをもっと自覚しなければならないと思います。
 2枚の写真は、3月末の隅田川花見の宴のときのもの。小生の隣にいるのは、日本で仕事をしている中国人女性のヤンリン。こんなかわいくて美人なのに、まだ独身です。