つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

放射能の被害をタバコと比較すると

 小生が昔いた通信社の同僚の中に、反原発で名を馳せた先輩記者がいました。もう、20年以上前のことでしょうか、彼はいつも「日本は原発などなくとも、既存の発電所でやっていける」と口癖のように言っていました。小生は当時、原発問題に特別関心はなかったのですが、専門家の彼が言うのならそうかも知れないと思ったりしました。正直、原発があったほうがいいか、ないほうがいいかについて、小生の頭の中ではいまだに整理されていません。
 今年早々、彼の訃報を新聞で見ました。たぶん70歳にならずの他界でしょう。昔の同僚としてたいへん残念であり、心の中でお悔やみを申し上げました。思い起こせば、その彼はたいへんなヘビースモーカーであり、いつもタバコを口にくわえていた印象があります。
 ですから、小生は当時、「反原発や反公害を叫ぶ人が(明らかに害である)タバコを吸うのは少しおかしいのではないか」というようなことを彼に直接話したことがあります。彼は笑っているばかりでしたが、そのしぐさから、頭では同意しても、なかなか悪い習慣から抜け出せないんだということを小生に伝えたようでもありました。
 そこで今回の原発事故の発生。改めて、放射能とタバコの被害の関係をサイトで調べますと、脳トレーニングで有名な東北大学の川島教授は「現在のレベルの放射能を1カ月間浴び続けるよりも、たばこを一箱吸う方が皆さんの寿命を縮めます」と言っています。両者の比較で具体的な数字を挙げているサイトもありますが、ここでは書きません。要は、タバコの害のほうがよっぽと危険なことを縷々説明しています。
 私の畏友である山本悦夫氏は、こう言っています。氏は終戦直後に台湾から引き揚げてきて長崎の爆心地に近いところに住み、放射能汚染された庭を畑にして野菜を栽培、食べていたそうですが、「それでも私は76歳まで生きている。小学校の仲間もみんな長生きだ。放射能なんて少しくらい受けたからといって、そんなに影響が出るものではない」。これは彼の確信です。
 また、彼からこんなメールも来ました。「イタリア国営放送(RAI NEWS24 3月16日発)、イタリア環境保護チーム調査によると、大気中の放射線値はローマで0.25マイクロシーベルト 東京で0.04マイクロシーベルト、香港天文台のウェブサイトによる、と香港九竜では0.14マイクロシーベルト。これで、ローマは東京の6倍、香港九竜は東京の3倍も被曝の危険度が高いということになりますか? もしそうだったら放射線値が6倍も高い放射線に被曝してきたローマ人はとっくに死に絶えていたはずです。でもローマ人は生きていますね。生きているどころではなく、東京人よりずっと明るく朗らか元気そうではないですか。つまりこの程度の放射能は無視していいということ。東京は安全です。あまりエキセントリックにならないように…」。
 山本氏の言のように、日本の一部の人や日本に住んでいる外国人は騒ぎすぎだと小生は思います。諸外国の都市で実際に現在の放射能値を計ってみれば、日本以上に高い国はゴマンとあるはずです。外国人は逃げ帰った自らの都市の放射能数値を、改めて計ってみてはどうかと言いたいですね。
 4月4日、大学からの帰りに上野公園に出て、桜を堪能しました。