つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

消費税導入は5年先でいいかも

 小生が代表理事を務める団体で会長職を引き受けていただいている元国務大臣、水野清先生は毎月、自身の勉強会を開き、高名な方を講師に招いています。昨日開催された4月定例会は元大蔵官僚の榊原英資さんが講師ということで、小生も期待をもって参加しました。有能な官僚であった同氏だけにさすが能弁で、何のペーパーも見ることなく、1時間余にわたって、災害についてや日本のあり方などについてよどみなく話し続けました。
 この中で榊原氏は、「この未曾有の大震災に遭って世の中が不景気になるのに、自粛はいけません。マクロ的に見れば、パーティー、会合など取りやめずに普通に続ければいいのです。隅田川の花火を中止なんてとんでもない」と自粛ムードを批判していました。
 そして、災害復興財源について、「復興構想会議は増税を考えているようですが、この時期に増税はないでしょう。経済学のイロハも知らない人の話。増税でなく国債の発行にすべきだ」と主張。その国債も、「再借り入れしない10年程度の期限を決めた債券を20兆円くらい出せばいい。その償還財源は5年くらいたってから改めて考えればいいのでは」と言うのです。
 これは小生の考え方とは違うので、大先生を前に、「では、5年たってどういう償還財源が考えらますか。今でも40兆も50兆も国債発行しているのに、償還できる財源などないでしょう」と、無責任は発想だと言わんばかりに聞きました。すると、榊原氏は「5年たって財源が考えられなかったら、そのときこそ(景気が戻っているでしょうから)消費税の導入です」と言うのです。
 小生は思わず、そうか一理あるなとうなりました。再借り入れなしの期限付き国債発行であれば、突き詰めると、事実上、5年先の消費税の導入を約束することになるわけです。打ち出の小槌のような他の財源など考えられないわけですから。榊原氏の話は結局、消費税の導入を5年程度先延ばしするだけのことなのだと合点が入った次第です。
 財源問題は大きな問題であるのですが、確かに、災害で景気が冷え込んでいる今、いきなり消費税を上げることはちょっと無謀な気がしないでもありません。消費税の上乗せで復興財源を作るのだという基本線は変えないまでも、その実施時期を4、5年先にずらすことは十分考えられましょう。
 ただ、心配もあります。4、5年先にはかなり災害復興は成っているでしょうから、果たしてその時に、国民一人ひとりが大震災直後の現在のように一体感を持ちながら、復興の負担としてこころよく消費税の上乗せに応じてくれるかどうかという点。のど元過ぎれば熱さを忘れるにならなければいいのですが、、。
下の写真は、市川の大学のすぐ近くにある真間山弘法寺の境内にあるしだれ桜。満開時は見事で、大勢の人が見物に来ます。この日は肌寒い生憎の雨模様で、人はまばらでした。